メールマガジン労働情報 No.1962

■□――【メールマガジン労働情報/No.1962】

2024年1~3月期のGDP実質成長率、年率2.0%減/1次速報値 ほか

―2024年5月17日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】教師の処遇改善のため「教職調整額」10%以上/文科省部会 ほか
【統計】2024年1~3月期のGDP実質成長率、年率2.0%減/1次速報値 ほか
【労使】「昨年を上回る大幅な妥結相次ぐ」/UAゼンセン ほか
【動向】「人手不足」関連倒産が急増/東京商工リサーチ
【企業】社内起業制度の運用開始/大和ハウス工業 ほか
【海外】ホワイトカラー・エグゼンプションの俸給水準要件を二段階で引き上げ/アメリカ ほか
【イベント】学術大会「法知識を踏まえた問題解決を考える」/日本産業保健法学会

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【JILPTからのお知らせ】
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本フォーラムでは、シニアの活躍の場と、独立して働くフリーランスのプラットフォームとしての
可能性に注目し、自らのキャリアの構築と社会や地域の課題解決を掛け合わせた労協ならではの
事業展開と組織運営について深掘りします。

日時 第1部(オンデマンド配信)6月14日金曜~19日水曜
   第2部(ライブ配信)   6月19日水曜14時30分~17時00分
共催 日本総合研究所
オンライン開催(Zoomウェビナー)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240619/index.html

★2025年度 職員(事務職員)募集について

労働政策研究・研修機構では、以下のとおり事務職員を募集します。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2024/index.html

★2024年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)

<人事管理・労働経済> 部門 5月7日火曜~7月3日水曜(17講義日+試験)
<労働法> 部門       7月9日火曜~8月30日金曜(14講義日+試験)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

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【行政】
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●教師の処遇改善のため「教職調整額」10%以上/文科省部会

文部科学省中教審の特別部会は13日、「「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備
に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」を文科相に提出した。教師の勤務時間の内外を問わずに、
時間外手当と休日給ではなく、給与月額に一定率を乗じた「教職調整額」を支給している仕組みについては、
職務と勤務態様の特殊性を踏まえれば現在も合理性がある(p.50)としつつも、教師の処遇改善を図るため、
「教職調整額」の率を現行の4%から、少なくとも10%以上とすることが必要(p.52)、としている。
また、精神疾患による休職数が過去最多となっているとし、教師の健康確保のため、メンタルヘルス対策(p.27)
や11時間を目安とする「勤務間インターバル」への取り組み(p.30)を促している。
https://www.mext.go.jp/b_menu/activity/detail/2024/20240513.html
▽資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/099/mext_01759.html

●事業所、飲食店等で屋内全面禁煙施設が増加/厚労省調査

厚生労働省は15日、2022年度「喫煙環境に関する実態調査」結果を公表した。
一般施設、事業所、飲食店のうち、火をつけて喫煙するたばこについて、屋内全面禁煙の施設は74.1%
(前年度比2.5ポイント増)、喫煙専用室設置の施設は9.7%(同0.5ポイント増)。加熱式たばこを
屋内全面禁煙とする施設は72.2%(同1.9ポイント増)。学校、医療施設、児童福祉施設、行政機関等で
敷地内全面禁煙の施設は86.3%(同1.1ポイント減)で、施設種別では「病院」(100%)が最高、次いで
「幼稚園、小学校、中学校、高等学校」等(91.0%)など。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kenkou/kituen/r04/index.html
▽概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kenkou/kituen/r04/dl/gaiyou.pdf

●「建設人材育成優良企業表彰」の募集/国交省

国土交通省は8日、建設産業の担い手の確保及び育成に取り組む企業・団体を表彰する、第3回「建設人材育成
優良企業表彰」の対象企業・団体の募集を開始した。建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用をはじめ、
技能や経験に応じた給与の引き上げ、キャリアパスに基づいた計画的な人材育成、これらを可能とする環境整備
など、「建設工事の担い手の確保・育成」に向け、功績を上げた企業、団体を表彰し、取組を推進するもの。
募集期間は、同日より6月28日まで。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00217.html

●光榮・昌榮産業不当労働行為再審査事件で初審命令を取り消し/中労委

中央労働委員会は9日、昌榮とその親会社である光榮(会社ら)が、労働者供給事業を行う組合からの
日々雇用労働者の供給依頼を停止したことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件の再審査事件
において、会社らは組合との関係において労働組合法第7条の使用者に該当するが、供給依頼停止には相応の
合理性があり、組合の排除を意図し、組合所属や正当な組合の行為を理由として行われたものとは認められず、
不当労働行為には該当しないとして、初審命令を取り消し、その余の申立てを棄却した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r060510-1.pdf

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【統計】
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●2024年1~3月期のGDP実質成長率、年率2.0%減/1次速報値

内閣府は16日、2024年1~3月期の四半期別GDP(国内総生産)1次速報値を公表した。
GDP成長率(季節調整済前期比)は、実質がマイナス0.5%、年率換算でマイナス2.0%。需要項目別では、
民間最終消費支出が実質マイナス0.7%(前期はマイナス0.4%)、うち家計最終消費支出(除く持ち家の
帰属家賃)は実質マイナス0.8%(同マイナス0.5%)で、どちらも4期連続のマイナス。
雇用者報酬の伸び率は実質マイナス0.4%、名目0.7%。
2023年度のGDPも公表され、実質成長率は1.2%だった。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2024/qe241/gdemenuja.html

●4月の企業物価指数、前年比0.9%上昇/日銀

日本銀行は14日、企業物価指数(2024年4月速報)を公表した。国内企業物価指数は121.2で、前年比0.9%、
前月比0.3%の上昇。製品別の前年同月比での上昇は、「非鉄金属」(11.7%)、「窯業・土石製品」(6.6%)、
「石油・石炭製品」、「その他工業製品」(いずれも5.3%)など。低下は「電力・都市ガス・水道」(マイナス19.7%)、
「木材・木製品」(マイナス4.1%)、「鉱産物」(マイナス3.3%)など。輸入物価指数(ドルなどの契約通貨ベース)
は前年比4.3%、前月比0.1%のいずれも低下。円ベースでは順に同6.4%、同1.8%のいずれも上昇。
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2404.pdf

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【労使】
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●昨年を上回る大幅な妥結相次ぐ/UAゼンセン

繊維、流通、サービス産業等の組合で作られるUAゼンセンは10日、「昨年を上回る大幅な妥結相次ぐ」として、
5月7日(4月末)時点の妥結状況を発表した。正社員組合員(640組合)の妥結総合計(制度昇給、ベア等込)
は、加重平均で5.33%・1万5,904円で、前年4月末の4.01%・1万1,832円を上回った。300人未満の組合の
妥結総合計(同込)は、4.78%・1万2,957円。短時間(パートタイム)組合員(266組合)の妥結総合計(同込)
は、加重平均で6.02%・65.6円となり、前年4月末の5.42%・56.5円を上回った。9年連続で正社員組合員の
引き上げを上回り、雇用形態間格差是正の流れが進んでいる、としている。
https://uazensen.jp/2024/05/10/99585/

●企業行動憲章に「サプライチェーン全体の共存共栄を図る」/経団連

経団連は7日、「企業行動憲章」および「実行の手引き」の改定を発表した。改定は2017年の全面改定以来、
7年ぶり。憲章第2条に「とりわけパートナーシップ構築宣言に基づき、サプライチェーン全体の共存共栄を
図る。」を加える。「サステイナブルな資本主義を実現のため、自社における分配構造の見直しや取引の適正化
などを行い、サプライチェーン全体での共存共栄関係構築が必要」とし、「パートナーシップ構築宣言」の
趣旨を徹底し、「取引の適正化をソーシャル・ノルム(社会的規範)として一層推進するため」としている。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/038.pdf

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【動向】
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●「人手不足」関連倒産が急増/東京商工リサーチ

東京商工リサーチは9日、2024年1~4月の「人手不足」関連倒産は累計90件(前年同期比104.5%増)と、
前年同期(44件)の2倍に急増したと発表した。2013年以降の、「人手不足」関連倒産の同時期の最多である
2020年・48件を大きく上回る。内訳は、「求人難」が38件(前年同期比153.3%増)、「従業員退職」が25件
(同127.2%増)と、それぞれ2倍以上に増加。産業別では、最多はサービス業他の27件(前年同期比92.8%増)。
次いで4月から残業時間の上限が規制された、建設業(同250.0%増)と運輸業(同90.9%増)が各21件で、
増加率が大きかった。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198561_1527.html

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【企業】
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●社内起業制度の運用開始/大和ハウス工業

大和ハウス工業は9日、2024年6月より社内起業制度「Daiwa Future100(ダイワフューチャーワンハンドレッド)」
の運用を開始すると発表した。対象は同社グループの正社員(新入社員から役員まで)で、業種・テーマ等の
制限は無い。外部パートナーと連携して事業検証ができる制度とし、事業開発の確度や質を高め、既存事業の
延長線にとらわれない事業創出を目指す、としている。
https://www.daiwahouse.co.jp/about/release/house/20240508181320.html

●最大4,000人の「早期退職優遇制度」を実施、本社機能の集約も/東芝

東芝は16日、新たな中期経営計画「東芝再興計画」を発表した。計画の「人員適正化」では、
東芝グループ全体を対象に、一定条件を満たす者に「早期退職優遇制度並びに再就職支援」を
実施するとした。規模は最大4,000人。「人への投資」については、賃金引上げや働き方改革など
直近の取り組みを推進するとともに、人材のエンゲージメント向上に取り組むとしている。
このほか、本社と事業の連携強化のため、2025年度上期中に、浜松町本社を川崎本社がある
川崎地区に移転・集約する。
https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/jp/ir/corporate/finance/pdf/tpr20240516.pdf

●両立応援カフェテリアプラン制度の導入/三井住友信託銀行

三井住友信託銀行は4月30日、本年4月から「両立応援カフェテリアプラン制度」を導入したと発表した。
産後休暇・育児休業から子が1歳未満で復職した女性社員に、毎月5万円分の両立応援カフェテリアポイントを
1年間付与する。ポイントは、家事代行、ベビーシッター等、家事・育児の負荷軽減や時間短縮サポートの
サービス費用の補助として利用できる。家事・育児の負担が女性に偏重する社会背景を踏まえ、育児負担が
特に大きい早期復職直後の女性社員に対し、負担軽減を図る両立支援制度としている。
https://www.smtb.jp/-/media/tb/about/corporate/release/pdf/240430.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<アメリカ>
▽ホワイトカラー・エグゼンプションの俸給水準要件を二段階で引き上げ

連邦労働省は4月23日、公正労働基準法(Fair Labor Standards Act、FLSA)に基づき、残業代の支給対象から
外れる「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、適用対象者の俸給水準要件を引き上げる「最終規則」
を発表した。現状の「週給684ドル以上(年収3万5,568ドル以上に相当)」を2024年7月1日に「週給844ドル
以上(年収4万3,888ドル以上に相当)」としたうえで、25年1月1日に「週給1,128ドル以上(年収5万8,656ドル
以上に相当)」へと二段階で引き上げることとした。2027年7月以降は3年ごとに、定期的に見直すことも定めている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/05/usa_01.html

▽VWテネシー工場で労組結成へ―UAW

全国労働関係委員会(NLRB)は4月19日、テネシー州チャタヌーガにある独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)社
の工場で行われた労働組合結成に関する従業員投票で、労組結成に賛成する者が過半数を占めて勝利したことを
発表した。労組は全米自動車労組(UAW、組合員数約15万人)に加盟する。大手3社以外の南部外資系自動車メーカー
に初めて労組が結成されることになる。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/05/usa_02.html

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【イベント】
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●学術大会「法知識を踏まえた問題解決を考える」/日本産業保健法学会

日本産業保健法学会は9月21日(土)、22日(日)に、第4回学術大会を会場(大田区)とオンラインで開催する。
オンデマンド配信も行う(10月1~31日)。テーマは「産業保健格差と法~時代を跨いだバックランナー対策を
考える~」。わが国の産業保健における格差課題を理解し、法の視点から総合的に再検討を行い、とるべき方策
について考える。「中小企業の産業保健と法」をテーマとした講演・シンポジウムや講演「労働行政の動向」
などを予定。要事前登録。参加費は、非会員10,000円、学生3,000円(9月4日までに登録の場合)。
https://jaohl.info/