メールマガジン労働情報 No.1939

■□――【メールマガジン労働情報/No.1939】

技能実習制度及び特定技能制度の見直しについて政府対応決定/政府会議 ほか

―2024年2月14日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】技能実習制度及び特定技能制度の見直しについて政府対応決定/政府会議 ほか
【統計】正規職員・従業員、前年同期比14万人増/労働力調査・詳細集計10~12月期平均 ほか
【労使】24年度のみ要求することにし、賃金改善の要求基準は1万2,000円以上/基幹労連の中央委員会
【動向】「仕事と私生活の充実の関係性」、影響・関係あるは70%/民間調査
【企業】2025年度新卒初任給、平均10%の引き上げ/ルネサンス ほか
【海外】「安全で信頼できるAIの開発と使用」で大統領令―労働への弊害軽減策を検討/アメリカ ほか
【イベント】セミナー「この一年の労働立法と重要判例」/神奈川県 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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★第131回労働政策フォーラム(オンライン開催) 申込受付開始!
「時間帯に着目したワーク・ライフ・バランス―家族生活と健康―」

 第1部  基調報告・研究報告 ※オンデマンド配信(3月2日土曜~6日水曜)
 「時間帯の視点からみた労働者の生活と健康、子どもへの影響」
   大石亜希子 千葉大学大学院教授
 「就労世代の生活時間の貧困」
   浦川邦夫 九州大学教授
 「生活時間と健康の確保に関わる働き方」
   高見具広 JILPT主任研究員
 第2部  パネル討論 ※ライブ配信
  日時 3月6日水曜 14時20分~16時30分
 <登壇者>
   大石亜希子 千葉大学大学院教授
   中野円佳  東京大学 男女共同参画室 特任助教
   桂山奈緒子 認定NPO法人フローレンス みらいのソーシャルワーク事業部マネージャー
   高見具広  JILPT主任研究員
   濱口桂一郎 JILPT研究所長
 https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240306/index.html

★第130回労働政策フォーラム(オンライン開催) 申込受付中!
「ガイダンスツールを活用した就職相談とキャリア支援─相談支援現場からの実践報告─」

 第1部 「VRTカード」講習会
  ※会場参加の受付終了。キャンセル待ち受付中です。
   講習会の一部(演習除く)をオンラインでもご視聴いただけます。
  日時 2月27日火曜 13時00分~14時25分
  会場 東京都中央区(AP日本橋)
 第2部  労働政策フォーラム ※ライブ配信
  日時 2月27日火曜 14時45分~17時10分
 <登壇者>
   原田千絵 (公財)愛知県労働協会 職業適性相談グループ主任
   奥村英生 北海道労働局 北見公共職業安定所所長
   玉手桃子 キャリアコンサルタント
   太幡竜一 (株)エイチ・アール・シー・キャリア 対人支援グループ
   深町珠由 JILPT主任研究員
 https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240227/index.html

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【行政】
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●技能実習制度及び特定技能制度の見直しについて政府対応決定/政府会議

政府は9日、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議を開催し、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に
関する有識者会議の最終報告書等について議論し、政府対応について決定した。本人意向の転籍について、
同一機関での就労が一定期間を超え、一定水準以上の日本語能力試験に合格し、転籍先が一定の要件を満たす場合に
認める。就労の「一定期間」は業務内容等を踏まえ、各分野ごとに1年~2年の範囲内で設定する(資料2-1、2)。
首相は、「我が国が外国人材から選ばれる国になるという観点に立ち、制度の見直し作業を進める」として、
今国会への法案提出作業の加速化を含め、外国人材の受入れ環境の整備に取り組むよう指示した。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202402/09gaikoku.html
▽資料
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai17/gijisidai.html

●2024年問題に対応し一部改正法案を閣議決定/国交省

政府は13日、国土交通省の「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する
法律案」を閣議決定した。2024年問題に対応し、荷主・物流事業者に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について
努力義務を課す。一定規模以上の者に中長期計画作成や定期報告等を義務付け、取り組み状況が不十分な場合、勧告・命令を
実施する。トラック事業者の取引については、元請け事業者には、実運送体制管理簿の作成を義務付け、荷主・トラック事業者
・利用運送事業者には役務の内容や対価等に関する書面の交付等を義務付ける。また、軽トラック運送業の死亡・重傷事故件数
増加への安全対策強化として、軽トラック事業者に対し、管理者選任と講習受講、事故報告を義務付ける。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000747.html

●特定一般教育訓練、146講座を新規指定/厚労省

厚生労働省は9日、教育訓練給付の対象となる「特定一般教育訓練」の2024年4月1日付の指定講座を公表した。
同給付は、速やかな再就職と早期のキャリア形成に資するものとして、厚生労働大臣が指定する講座を修了した
場合、受講費用の40%(上限20万円)を支給するもの。今回の新規指定は、介護支援専門員実務研修、
大型自動車第一種免許などの業務独占資格等の取得を目標とする課程など計146講座。4月1日時点の給付対象
講座数は707講座。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37812.html

●専門実践教育訓練、209講座を新規指定/厚労省

厚生労働省は9日、教育訓練給付の対象となる「専門実践教育訓練」の2024年4月1日付の指定講座を公表した。
同給付は、中長期的なキャリア形成に資するものとして厚生労働大臣が指定する講座を修了した場合、費用の
50%(年間上限40万円)を支給し、訓練修了後1年以内に資格を取得して就職した場合には、受講費用の20%
(年間上限16万円)を追加支給する。支給額の上限は訓練期間1年で56万円、2年112万円、通常の訓練期間上限の
3年で168万円(専門職大学院等は上限4年224万円)。新規指定は、第四次産業革命スキル習得講座や、専門職学位
取得課程、看護師などの資格取得を目標とする養成課程など計209講座。4月1日時点の給付対象講座数は2,972講座。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37811.html

●派遣労働者の待遇決定、労使協定方式が88%、通勤手当は実費が9割超/厚生労働省集計

厚生労働省は、派遣労働者に関する労使協定書の賃金等の記載状況(一部事業所の集計結果・2023年度)を公表した。
「労働者派遣事業報告書」に添付の労使協定書(2023年6月1日現在有効なもの)を集計したもの。
賃金決定方式は、地域の同種業務の一般労働者との比較による「労使協定方式」が88.8%(前年度88.6%)、
派遣先労働者との比較による「派遣先均衡・均等方式」が7.9%(同5.2%)、両方式「併用」が3.3%(同6.2%)。
通勤手当は、「実費」92.3%(同86.3%)、「定額支給」6.7%(同4.6%)など。退職金は、毎月の賃金等での
前払いが56.0%(同56.4%)、所定の制度に基づく支給が30.2%(同28.3%)、中退金制度や確定拠出年金等に加入が8.4%(同6.5%)。
https://www.mhlw.go.jp/content/001198508.pdf

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【統計】
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●正規職員・従業員、前年同期比14万人増/労働力調査・詳細集計10~12月期平均

総務省は9日、「労働力調査(詳細集計)」結果を公表した。2023年10~12月期平均の役員を除く雇用者は5,756万人。
うち、正規の職員・従業員は前年同期比14万人増の3,595万人で、3期連続の増加。非正規の職員・従業員は、
同31万人増の2,160万人で、8期連続の増加。非正規として働く理由は、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が
722万人(同23万人増)、「家計の補助・学費等を得たいから」が386万人(同6万人増)。「正規の職員・従業員の仕事が
ないから」は194万人(同23万人減)。失業者は184万人(同1万人増)。失業期間別にみると、「3カ月未満」は71万人
(1万人増)、「1年以上」は59万人(2万人減)。就業者6,759万人のうち、追加就労希望就業者は197万人(同1万人増)。
非労働力人口4,045万人のうち、潜在労働力人口は33万人(同1万人増)。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/2.html#latest
▽結果の概要
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/gaiyou.pdf

●1月の企業物価指数、前年比0.2%上昇/日銀

日本銀行は13日、企業物価指数(2024年1月速報)を公表した。国内企業物価指数は120.1、前年比0.2%上昇。
前月(12月)の前年比(0.2%)と同じ。前月比は0.0%。製品別の前年同月比での低下は「電力・都市ガス・水道」
(マイナス27.7%)、「鉱産物」(マイナス13.7%)などが大きい。上昇は、「窯業・土石製品」(10.9%)、
「パルプ・紙・同製品」(7.1%)など。輸入物価指数(ドルなどの契約通貨ベース)は前年比8.8%、前月比1.1%の
いずれも低下。円ベースでは順に同0.2%低下、同0.2%の上昇。
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2401.pdf

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【労使】
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●24年度のみ要求することにし、賃金改善の要求基準は1万2,000円以上/基幹労連の中央委員会

鉄鋼、造船重機、非鉄などの業界の労働組合でつくる基幹労連(津村正男委員長、約27万1,000人)は7日、
都内で中央委員会を開催し、AP24春季取り組み方針を決定した。本来は2024年度からの2年分の賃上げ
要求基準を示す年にあたるが、国内外の情勢の先行きを見通すことが困難として、賃金改善について
2024年度のみの要求とするとした。要求額は1万2,000円以上と掲げた。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240214.html

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【動向】
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●「仕事と私生活の充実の関係性」、影響・関係あるは70%/民間調査

マイナビは21日、「正社員のワークライフ・インテグレーション調査2024年版(2023年実績)」を発表した。
調査対象は20~59歳の正社員(有効回答3,000人)。「できることなら働きたくない」は「そう思う」、「ややそう思う」
合計で56.9%。「静かな退職(やりがい・キャリアアップは求めず、決められた仕事を淡々とこなすこと)をしている」と
感じるは、合計で48.2%。「仕事と私生活の充実の関係性」について、影響・関係があるは合計70.0%。仕事と私生活の
両方の充実の追求については、「できている」は26.6%、「できていない」は39.0%。また、両方の充実を追及できている人は
できていない人と比べ、職場の柔軟性が高く、特に仕事の裁量権、服装や勤務時間の柔軟性で差が大きかった。
https://www.mynavi.jp/news/2024/02/post_40867.html

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【企業】
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●2025年度新卒初任給、平均10%の引き上げ/ルネサンス

スポーツクラブ等を運営するルネサンスは6日、2025年度新卒初任給の引き上げを発表した。平均2万1,900円、10%の
引き上げ。大卒・勤務地全国(海外含む)で、2万1,000円(9%)引き上げて、26万1,000円とする。
2024年度新卒社員については整合性をとるため、段階的に処遇改善するとしている。
https://www.s-renaissance.co.jp/news/detail/?did=2083&t=1

●初任給2万円引上げ、社員の給与平均7.8%引き上げ/アイザワ証券

アイザワ証券は1月30日、初任給と給与水準の引き上げを発表した。初任給は、人材確保に向けた採用力強化のため、
従来比2万円の引き上げで、大卒で27万円。また、物価上昇に対応し、全社員の給与水準を引き上げる。
ベースアップと定期昇給等を含めた引き上げ幅は、入社3年目以下の若手社員で10.3%、全体では平均7.8%程度となる。
https://www.aizawa.co.jp/documents/newsrelease/20240130.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<アメリカ>
▽「安全で信頼できるAIの開発と使用」で大統領令―労働への弊害軽減策を検討

バイデン大統領は2023年10月30日、「安全で信頼できるAI(人工知能)の開発と使用に関する大統領令
(Executive Order on the Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence)」を
出した。労働者支援に関して、AIの普及に伴う雇用喪失、職業訓練、公平性確保といった課題に取り組み、
労働者にとってのAIの弊害を軽減し、利益を最大化するための原則とベストプラクティスを開発するとした。
AIの労働市場への影響に関する報告書も作成する。これらは大統領令発令から180日(2024年4月30日ごろ)以内に、
経済諮問委員会委員長や労働長官から大統領に報告する予定にしている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/02/usa_02.html

<フランス>
▽2023年の合計特殊出生率が1.68に低下―若い世代の出生率低下とその要因

フランスは出生率を向上させる政策で成果を上げた国として知られており、1993年に合計特殊出生率が
1.66まで低下したが、2006年には2.03に達し2014年にかけて2以上で推移した。だが、2015年以降低下し、
23年は1.68まで低下し1946年以降、93年と94年を除いて最も低い水準になった。その背景には出産年齢人口の
減少と出産年齢の高齢化があり、若い世代の出生数が減少していることがある。若い世代は仕事と育児の
両立が経済的に困難だと考えるようになっているのに加えて、女性の高学歴化が進み母親になる以外の
将来像を優先する変化も見られる。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/02/france_01.html

▽出生率の低下と「出産休暇」の創設

出生数が減少傾向にあり、近年は減少幅が著しい。2006年から2015年まで2前後で推移していた合計特殊出生率が、
17年には1.89となった。その後、22年に1.79となり、23年には1.68まで低下した。出生率低下の要因を特定するのは
困難だが、調査会社(Ifop)が実施したアンケートによると、50歳以下の子供を持つことを諦めた人の約半数が、
仕事と育児の両立が経済的に困難なためだと回答した。育児休暇制度などの家族政策を見直す必要があり、大統領は
24年1月、新たな育児休暇に関する制度「出産休暇」を2025年に導入する考えを示した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/02/france_02.html

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【イベント】
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●セミナー「この一年の労働立法と重要判例」/神奈川県

神奈川県かながわ労働センターは3月4日(月)、労務管理セミナー「この一年の労働立法と重要判例」を
横浜市で開催する。この一年の労働立法と重要判例について、フリーランス、LGBTQ、同一労働同一賃金等の
最新状況を交えて話す。参加無料。要事前申込、先着順。定員60名。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/k5n/cnt/f7600/#seminar

●シンポジウム「女性活躍の現況を考える」/キャリア権推進ネットワーク

認定NPO法人キャリア権推進ネットワークは2月20日(火)、シンポジウム「女性活躍の現況を考える~
いま私たちはどこまできたのか~」をオンラインで開催する。日本における女性活躍の状況は現在
どのような状態にあるのかを検討する。基調報告とパネルディスカッションを予定。参加費1,000円。要事前申込。
https://career-ken.doorkeeper.jp/events/168132

●「事例から学ぶ職場のメンタルヘルスセミナー」/中災防

中央労働災害防止協会は3月14日(木)、「事例から学ぶ職場のメンタルヘルスセミナー「職場のポジティブ
メンタルヘルス~いかに働き、いかに休むか~」」を会場(都内・港区)とオンラインで開催する。
「ワーク・エンゲイジメント」と「リカバリー経験」についての講義と、先進的にポジティブメンタルヘルスに
取り組む事例を紹介する。参加費26,400円。
https://www.jisha.or.jp/seminar/health/h3690_mh_case.html