メールマガジン労働情報 No.1931

■□――【メールマガジン労働情報/No.1931】

能登半島地震に関わる雇用調整助成金と雇用保険の特例実施を公表/厚労省 ほか

―2024年1月17日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】能登半島地震に関わる雇用調整助成金と雇用保険の特例実施を公表/厚労省 ほか
【統計】街角景況感、前月差1.2ポイント上昇/12月景気ウォッチャー調査 ほか
【労使】物価上昇から働く者の生活を守る観点も強調/自動車総連の中央委員会 ほか
【動向】2023年の全国企業倒産、8,690件/民間調査
【企業】人材の相互受入スキーム「民鉄キャリアトレイン」を民営鉄道事業者78社に拡大/日本民営鉄道協会など ほか
【海外】雇用・個人請負分類基準の新規則を発表―連邦労働省、6要素で判断/アメリカ ほか
【イベント】シンポジウム「“ウェルビーイング”を重視した経営のゆくえ」/健康いきいき職場づくりフォーラム ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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★第129回労働政策フォーラム(オンライン開催) 申込受付中!
 <労働関係図書優秀賞記念企画>

テーマ :仕事と介護の両立─介護離職ゼロに向けた課題
日 時 :第1部 記念講演        2月1日(木)~5日(月)
     第2部 パネルディスカッション 2月5日(月)14:00~16:30
開催方式:Zoomウェビナー
参加費無料/申込期限1月31日(水)

本フォーラムでは、働きながら家族の介護をしている人に寄り添った地域の支援や、職場・企業における
両立支援の取組の現状と課題について議論し、介護離職の防止に向けて何が求められているのか考察します。
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240205/index.html

◇英文ジャーナル『Japan Labor Issues』(電子版)2024年冬号を公開しました!

https://www.jil.go.jp/english/jli/index.html

◇「最近の統計調査結果から」(2023年12月)

官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2023/202312.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2023/documents/202312.pdf

◇労働政策フォーラムの開催報告を掲載しています

第128回「外国にルーツを持つ世帯の子育てと労働を考える」(2023年10月13~19日開催)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20231019/houkoku/index.html

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【行政】
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●能登半島地震に関わる雇用調整助成金と雇用保険の特例の実施を公表/厚労省

厚生労働省は11日、能登半島地震に伴い、雇用調整を行わざるを得ない事業主に対し、雇用調整助成金の特例措置を
講じると公表した。(1)生産指標の確認期間を3カ月から1カ月に短縮、(2)最近3カ月の雇用量が
対前年比増でも対象、(3)地震発生時に事業所設置1年未満でも対象、など。
また同日、能登半島地震が激甚災害に指定されたことによる雇用保険の特例措置の適用を公表した。
これは地震災害による事業の休・廃止のため休業し、被保険者が就業できず賃金を受けられない場合に、
「失業」とみなして雇用保険の基本手当を支給するもの。
▽能登半島地震に伴う雇用調整助成金の特例
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37290.html
▽能登半島地震の激甚災害の指定及び雇用保険の特例
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107715_00007.html

●労政審職業安定分科会で雇用保険法等改正法律案要綱等を諮問/厚労省

厚生労働省は12日、労政審職業安定分科会に「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」を諮問した。
適用対象者を拡大し所定労働時間を週10時間以上とするなどの雇用保険法の改正、育児休業給付に係る雇用保険率の改正など。
また同日「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(雇用保険法等の一部改正関係)要綱」も諮問した。
雇用保険の目的に育児のための時短就業への給付を追加し、出生後休業支援給付及び育児時短就業給付を新設し、
出生後休業支援給付制度、育児時短就業給付制度を創設するなどの内容。
いずれも「雇用保険部会報告」(1月10日)を踏まえたもの。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_030127159_001_00064.html
▽雇用保険部会報告
https://www.mhlw.go.jp/content/11607000/001187882.pdf

●民間主要企業の年末一時金、2年連続の80万円台/厚労省調査

厚生労働省は12日、2023年の「民間主要企業年末一時金妥結状況」(加重平均)を公表した。
平均妥結額は84万9,545円、前年比6,567円(0.78%)増で、2年連続の80万円台。
平均要求額は88万2,117円で、同1万862円(1.25%)の増。集計対象は、妥結額などを把握できた、
資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業331社。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37190.html
▽2023年民間主要企業年末一時金妥結状況
https://www.mhlw.go.jp/content/12604000/001185631.pdf

●時間給制水道検針員に対する労働協約の地域拡張適用を決定/福岡県

福岡県知事は5日、2023年1月13日付けで自治労福岡市水道サービス従業員ユニオンとヴェオリア・ジェネッツ
株式会社及び第一環境株式会社との間に締結した労働協約の、地域的拡張適用を決定した。
福岡県労働委員会が、一部修正のうえ拡張適用することが適当と決議したことによるもの。
これにより福岡市全域の時間給制水道検針員について、実労働時間と検針件数に応じた
1時間当たり賃金額の下限額や、労働保険・社会保険の加入などについての労働協約が拡張適用される。
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/extended-application.html
▽公告
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/210038.pdf
▽自治労書記長談話
https://www.jichiro.gr.jp/all/240105fukuokaarea/

●日・イタリア社会保障協定が本年4月1日に発効/厚労省

厚生労働省は12日、「社会保障に関する日本国とイタリア共和国との間の協定(日・イタリア社会保障協定)」が
2024年4月1日に発効すると公表した。日・イタリア両国の企業からそれぞれ相手国に一時的に派遣される企業駐在員等には、
日・イタリア両国で年金制度加入が義務付けられており、保険料の二重払いが生じているのを解消するもの。
これにより、派遣期間が5年以内の見込みの場合は、原則、派遣元国の年金制度のみ加入すればよいこととなる。
日本が社会保障協定を締結(発効済)しているのは22カ国で、今回のイタリアで23カ国となる。
https://www.mhlw.go.jp/stf/pressrelease_nenkink20240112_00001.html

●技能五輪国際大会出場の日本代表選手決定/厚労省など

厚生労働省と中央職業能力開発協会は12日、9月10日~15日にフランス・リヨンで開催される「第47回技能五輪国際大会」に
出場する、47職種、55人の日本代表選手を公表した。技能五輪国際大会は、幅広い職種の青年技能者(原則22歳以下、
一部職種は25歳以下)を対象とした世界レベルの技能競技大会で、職業訓練の振興と技能水準の向上、技能者の国際交流を
目的に2年に一度開催。今大会は68の国・地域から1,500人程度の選手が参加し59の競技職種が開催される予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37108.html

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【統計】
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●街角景況感、前月差1.2ポイント上昇/12月景気ウォッチャー調査

内閣府は12日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた2023年12月の「景気ウォッチャー調査」
結果を公表した。現状判断DI(季調値)は、前月差1.2ポイント上昇の50.7。上昇は5カ月ぶり。
家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てのDIが上昇した。先行き判断DI(同)は、前月差0.3ポイント低下の49.1。
今回の結果について、「景気は緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる。先行きについては、
価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」としている。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2024/0112watcher/menu.html

●12月の企業物価指数、前年比0.0%で伸び率は12カ月連続低下/日銀

日本銀行は16日、企業物価指数(2023年12月速報)を公表した。国内企業物価指数は119.9、前年比0.0%で、
前月(11月)の前年比(0.3%)を下回り、伸び率は12カ月連続で低下。前月比は0.3%の上昇。
製品別の前年同月比での低下は「電力・都市ガス・水道」(マイナス27.6%)、「木材・木製品」(マイナス15.5%)
などが大きい。上昇は、「窯業・土石製品」(11.6%)、「パルプ・紙・同製品」(8.3%)など。輸入物価指数
(ドルなどの契約通貨ベース)は前年比9.5%低下、前月比は0.0%。円ベースではそれぞれ4.9%と3.0%のいずれも低下。
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2312.pdf

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【労使】
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●物価上昇から働く者の生活を守る観点も強調/自動車総連の中央委員会

自動車総連(金子晃浩会長、約79万9,000人)は11日、京都市で中央委員会を開催し、今春の賃上げ交渉に向けた
取り組み方針(「2024年総合生活改善の取り組み」)を決定した。各組合が目指すべき賃金水準の達成を目指す
「絶対額を重視した取り組み」を今年も継続。物価上昇に対して実質賃金が追いついていないとして、
働く者の生活を守る観点も強調した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240117a.html

●定昇相当分含め6%の賃上げに取り組む/JEC連合闘争方針

化学・エネルギー関連産業の労組でつくるJEC連合(堀谷俊志会長、約12万5,000人)は11日、都内で中央委員会を開き、
2024春季生活闘争方針を決めた。闘争方針は、24春闘で昨年を上回る賃上げに取り組む必要性を明記したうえで、
定期昇給相当分(JEC連合では約2%)の確保を大前提に、平均所定内賃金4%のベア要求を示した。
堀谷会長は、中小の賃金引き上げに向けて「大手労組が先行組合として世間相場を形成すること」と
「原資が捻出できるよう取引先に対して適正な価格を支払うこと、あるいは値上げ交渉に真摯に向き合う
ことを要求書に書き込む」取り組みの必要性を強調した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240117b.html

●第3回企業行動憲章に関するアンケート結果を公表/経団連

経団連は12日、「第3回 企業行動憲章に関するアンケート結果」を公表した。
経団連は2022年12月に「企業行動憲章 実行の手引き」を改訂し、今回の調査は3年ぶり。
企業行動憲章の実践状況について、今後3年先において最も重視する項目(複数回答)で
過去3年の傾向より大きく増加したのは「グリーントランスフォーメーション(GX)の推進」、
「人権デュー・ディリジェンス(DD)の適切な実施」、「多様な人材の就労・活躍」など。
SDGsを活用した取組みは、「優先課題の決定」、「事業活動をSDGsの目標にマッピング」、
「報告とコミュニケーション」の順に多く、いずれも8割以上が実施。人権に関しては、
回答企業の76%が、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき取組みを進めており、
前回調査(2020年)から2倍以上の40%ポイント増加するなど、着実に進展、としている。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/005_kekka.pdf

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【動向】
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●2023年の全国企業倒産、8,690件/民間調査

東京商工リサーチは15日、2023年の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は8,690件(前年比35.1%増)と発表した。
件数は、2年連続で増加し、4年ぶりに8,000件台となり、増加率35.1%は、1992年以来、31年ぶりの高水準。
産業別では、最多は飲食業を含むサービス業他で2,940件(前年比41.6%増)で、31年ぶりに10産業すべてで前年を上回った。
地区別では9地区すべてで前年件数を上回り、増加率が最も高かったのは中国地区で57.4%。全地区で前年を上回るのは15年ぶり。
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1198286_1610.html

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【企業】
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●人材の相互受入スキーム「民鉄キャリアトレイン」を民営鉄道事業者78社に拡大/日本民営鉄道協会など

日本民営鉄道協会および民鉄キャリアトレイン参加78社は10日、ライフイベントなどに伴い、勤務場所の都合で
就労継続が困難となった社員を各社相互に受け入れるスキーム「民鉄キャリアトレイン」を、
業界の深刻な人材不足に対応するため、中小民鉄事業者まで拡大し、業界内での多様な働き方の実現や
人材・ノウハウの確保に取り組むと発表した。民鉄協が各社をつなぐことで、日本各地の民鉄各社間での人材移動が可能になる。
参加各社は、各社でノウハウ獲得した人材を相互に即戦力として活かし、各社社員もライフイベントによらずキャリア継続可能となる、としている。
https://www.mintetsu.or.jp/association/news/fdc1695b08d067ad1258b6cf881b7fd406137df6.pdf

●おかえりリターン制度、社内兼業・配偶者同行等の制度を導入/中国電力

中国電力および中国電力ネットワークは12月27日、自己都合退職者の再雇用制度「おかえリターン制度」の導入を発表した。
過去3年以上の在籍実績があり、かつ自己都合退職後10年以内の人が対象。募集・選考は通年で常時、両社HPで応募受付。
また、社内兼業制度を2024年4月から、自部署に所属しながら各部署が公募する業務にも従事できるよう拡充予定、
2023年3月に、配偶者の転勤に同行できる配偶者動向休職制度(1回につきを最大3年まで)を導入済みであることも発表した。
https://www.energia.co.jp/press/2023/15090.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<アメリカ>
▽雇用・個人請負分類基準の新規則を発表―連邦労働省、6要素で判断

連邦労働省は9日、公正労働基準法(FLSA)のもとで「雇用労働者と分類して保護する対象となるかどうか」の
判断基準に関する新たな連邦規則(以下、「新規則」)を発表した。スマホアプリなどを介して輸送や配達などに
従事する「ギグ・ワーカー」らを個人請負事業主に分類しやすくしたトランプ前政権制定の現行規則は取り消す。
新規則は2024年3月11日に発効する予定だが、経営者団体やウーバーなどのプラットフォーム企業などは反発している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/01/usa_02.html

<中国>
▽超高齢化社会に近く突入、介護人材不足とその対策

中国では2035年までに60歳以上の高齢者が4億人を突破し、総人口の30%を超え、超高齢化社会へ突入すると
予想されている。要介護者数は2016年に4,000万人を超えたが、介護を担う人材は大幅に不足している。
大学生は低賃金、仕事の厳しさ、高齢者とのコミュニケーションの困難さから介護の仕事に就きたがらない。
北京や上海などの地方政府では介護サービスに就く若者に「入職奨励金」を支給するなど、さまざまな対策を講じている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/01/china_01.html

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【イベント】
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●シンポジウム「“ウェルビーイング”を重視した経営のゆくえ」/健康いきいき職場づくりフォーラム

「健康いきいき職場づくりフォーラム」(事務局:日本生産性本部)は2月6日(火)、シンポジウム
「“ウェルビーイング”を重視した経営のゆくえ」を会場(千代田区)とオンラインで開催する。
昨今注目を集める、ウェルビーイングおよびウェルビーイングを重視した経営のあり方や、事例に関する
現時点での研究成果や論点を発表し、「ウェルビーイングを重視した経営」の現在地と今後の可能性について
明らかにする。参加費無料。定員は、会場30名、オンライン300名。
https://www.ikiiki-wp.jp/eventseminar/tabid/74/Default.aspx?itemid=215&dispmid=418

●第2回「多様な正社員」制度導入支援セミナー/厚労省委託

厚生労働省は2月9日(金)、第2回「多様な正社員」制度導入支援セミナーを会場(千代田区)とオンラインで
開催する(事務局:PwCコンサルティング合同会社)。勤務地や職務内容、勤務時間などを限定した
「多様な正社員」制度のポイント、「多様な正社員」制度の導入事例などを紹介する。「多様な働き方」を
どのように取り入れているか、事例を通じ各社の工夫を学べる内容。参加無料、要事前申込。
https://tayounaseishainseido.com/

●2023年度若年性認知症企業向け研修会/東京都

東京都福祉局は2月13日(火)、2023年度「若年性認知症企業向け研修会」をオンラインで開催する。
65歳未満で発症する「若年性認知症」は、就労継続や経済問題などの課題に直面し、職場での正しい理解と支援が
重要となる。企業・団体の人事・労務担当者等を対象にした、若年性認知症について理解を深めるための研修会。
参加無料。定員1,000名。2月6日(火)正午までにHP申込フォームより申し込む。
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/zaishien/ninchishou_navi/gyouji/jakunen_seminar/
▽チラシ
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/zaishien/ninchishou_navi/gyouji/jakunen_seminar/jakunen_seminar.pdf