メールマガジン労働情報 No.1901

■□――【メールマガジン労働情報/No.1901】

 育児・介護の両立支援制度等の見直しに向け議論/厚労省 ほか

―2023年9月20日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】育児・介護の両立支援制度等の見直しに向け議論/厚労省 ほか
【統計】75歳以上人口が2,000万人超、10人に1人が80歳以上/総務省レポート
【労使】パートタイマーの賃上げは実質賃金を維持できたと評価/UAゼンセンの定期大会 ほか
【動向】「訪問介護」事業者の倒産が急増、ヘルパー不足や物価高が打撃/民間調査
【企業】卵子凍結の補助を福利厚生制度として導入/パナソニックコネクト
【海外】ホワイトカラー・エグゼンプションの俸給水準要件引き上げを提案/アメリカ連邦労働省 ほか
【イベント】「社会保険入門講座」及び「社会保険・労働保険基礎講座」/神奈川県労働福祉協会 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇記者発表「企業の賃金決定に係る調査」(企業調査)結果

 JILPTは15日、「企業の賃金決定に係る調査」(企業調査)結果を記者発表しました。
現在の企業収益(3年前比)は、「減少」傾向が5割前後で、「増加」傾向は3割前後。
今後の収益見通しは、「増加」は6割で、「減少」は3割。過去1年間の価格転嫁の
状況は「全く価格転嫁出来ていない」が3割でした。
 賃上げ(定期昇給・ベースアップ)実施企業は、2021年、22年とも9割以上を占め、
賃上げ実施の理由は、「社員のモチベーションの向上、待遇改善」が7割弱でトップ、
「最賃引上げへの対応」「社員の定着・人員不足の解消」が4割、などが分かりました。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20230915.pdf

◇調査シリーズNo.230『家事使用人の実態把握のためのアンケート調査』

 家事使用人の労働条件等について実態を把握し、必要な取組について検討するため、
家政婦(夫)紹介所を通じ、家事使用人に対するアンケート調査を実施しました。
 家政婦(夫)は女性が98.8%を占め、平均年齢は68.9歳。家政婦(夫)業を選んだ理由は、
「年齢問わず働けるから」(51.9%)、「収入を得るため」(50.1%)が上位。個人家庭に
雇用される働き方については「満足」49.2%、「やや満足」36.2%、などとなりました。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2023/230.html

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム「外国にルーツを持つ世帯の子育てと労働を考える」
 (Zoomウェビナー・オンライン開催)

 10月13日(金曜)~19日(木曜)
  <第1部>研究報告     10月13日~19日(オンデマンド配信)
  <第2部>事例紹介・パネル 10月19日 13時30分~16時(ライブ配信)

 日本に暮らす外国人は300万人を超え、日本に定住して子どもを産み育てる人々が
増えています。移住してきた外国籍の人々の非正規雇用の割合は高く、移住第一世代
が労働市場において直面する問題は依然として多くあります。
 本フォーラムでは、外国にルーツを持つ世帯が置かれた環境を概観し、支援現場の
報告を交えながら、課題や支援のあり方について様々な視点から議論します。
(参加無料・要予約)
 https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20231019/index.html

★労働政策フォーラム「企業で働く人の社会貢献活動と生涯キャリア」

 9月23日(土曜)~27日(水曜) ※ライブ配信:27日(水曜)14時~
 https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20230927/index.html

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【行政】
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●育児・介護の両立支援制度等の見直しに向け議論/厚労省

 厚生労働省は15日、労働政策審議会雇用環境・均等分科会を開催し、仕事と育児・介護
の両立支援制度等の見直し、2024年度の雇用・均等局関係予算の概算要求について審議した。
両立支援制度については、2023年6月の「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する
研究会報告書」を踏まえ、育児中のテレワークの拡充や残業免除の3歳以上への延長、
短時間勤務をはじめ両立支援を複数講じ、労働者が選択できる仕組みを作ることなどを
論点として提起。2024年度概算要求では、「両立支援等助成金」に「選べる働き方制度
支援コース(仮称)」などの予算を新たに計上している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35285.html
(両立支援制度等の見直しについて)
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001147084.pdf
(2024年度概算要求の概要/「両立支援等助成金」21ページ)
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001147086.pdf

●就職氷河期の国家公務員中途採用、試験申込者9.2%増/人事院

 人事院は15日、就職氷河期世代を対象とした2023年度の国家公務員中途採用者選考試験
の申込状況を公表した。4回目となる23年度の申込者数は6,039人と、前年度と比べ507人
(9.2%)増加。受験資格は前年度と同様、1966年4月2日~1986年4月1日までに生ま
れた人で、学歴・職歴等は不問。採用予定数は「事務」131人、「技術」29人、「刑務官」
22人の計182人。
https://www.jinji.go.jp/kisya/2309/2023hyougakimoushikomi.html

●2023度「高年齢者活躍企業コンテスト」入賞企業を公表/厚労省

 厚生労働省は15日、2023年度「高年齢者活躍企業コンテスト」の入賞企業を公表した。
高年齢者がその能力、経験を十分に活かし、いきいきと働くことができるような創意工夫が
なされている企業の事例を表彰するもの。審査の結果、最優秀賞1社、優秀賞2社など、
優秀な取組をしている26社を選定した。入賞企業の表彰式は、10月6日(金)に東京で開催。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34979.html

●10月から全都道府県で最低賃金を改定/厚労省

 厚生労働省は、都道府県の2023年度地域別最低賃金額及び発効年月日を公表している。
最低賃金時間額は、全国加重平均1,004円(2022年度961円)。1,000円超は東京(1,113円、
最高額)、神奈川(1,112円)、大阪(1,064円)などの8都府県、最低額は893円(岩手県)。
新たな地域別最低賃金額は、10月1日から順次発効する。
 厚生労働省と中小企業庁では、最低賃金引き上げに伴う支援を強化しており、関連の
助成金や補助金の利用案内をホームページに掲載している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html
(厚労省の支援事業)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/index.html
(最賃引上げを受けて賃上げに取り組む皆様へ/中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r4/r4_chinage.pdf

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【統計】
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●75歳以上人口が2,000万人超、10人に1人が80歳以上/総務省レポート

 総務省は17日、「敬老の日」(9月18日)に因み、「統計からみた我が国の65歳以上の
高齢者の現況」を公表した。高齢者人口(23年9月15日時点)は1950年以降、初めて減少
した一方、総人口に占める割合は29.1%と過去最高に。75歳以上人口が初めて2,000万人を
超え、10人に1人が80歳以上となる。
 高齢者の就業者数は、19年連続で増加し、就業者総数に占める高齢就業者の割合は13.6
%と過去最高。「医療、福祉」で就業する高齢者が10年前の約2.7倍に増加した。高齢者の
有業率は、男性は山梨県が最も高く、女性は福井県が最も高い。
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1380.html

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【労使】
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●パートタイマーの賃上げは実質賃金を維持できたと評価/UAゼンセンの定期大会

 UAゼンセン(松浦昭彦会長、186万7,000人)は13、14の両日、都内で定期大会を開催
した。連合方針を上回る賃上げ方針で臨んだ2023労働条件改善闘争の賃上げ妥結結果につ
いて、全体としては「賃上げの大きな流れ」をつくったとしたものの、正社員組合員につ
いては「実質賃金の確保について十分にできたとは言えない」と総括。パートタイマーに
ついては、「ベアに相当する賃金引き上げ分は物価上昇分を大幅に上回り、実質賃金が
維持されている」と評価した。大会ではまた、そごう・西武労組のスト実施をめぐって、
産別本部に対して多くの意見があがった。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230920.html

●仕事と育児の両立支援制度、男性の58%が「利用したことない」/連合調べ

 連合は14日、「仕事と育児の両立支援制度に関する意識・実態調査2023」を発表した。
利用したことがある両立支援制度は「育児休業」(41.9%)が最も高く、「短時間勤務制度」
16.3%、「子の看護休暇」13.9%、「時間外労働の制限」6.6%などの順。他方、「利用
したことのある制度はない」と答えた人は47.8%で、男性では58.4%に上る。政府が推奨
する「共働き・共育て」を実現するために効果的だと思うことは、1位が「育児休業給付
金の増額」、2位「フレックスタイム制の導入」など。調査対象は、小学生以下の子ども
がいる20歳~59歳の働く男女1,000人。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20230914.pdf

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【動向】
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●「訪問介護」事業者の倒産が急増、ヘルパー不足や物価高が打撃/民間調査

 東京商工リサーチは15日、「訪問介護事業者の倒産動向調査(23年1-8月)」結果を発表
した。2023年1月~8月の「訪問介護事業者」の倒産は44件(前年同期30件)で、調査開始
の2000年以降、同期間では過去最多を更新。44件のうち、コロナ倒産は17件(前年同期4件)、
人手不足倒産は9件(同1件)で大幅に増加。レポートでは「デイサービスなどの通所・短期
入所介護事業や有料老人ホームなどを含む老人福祉・介護事業者では、倒産増が目立つのは
訪問介護事業だけだ。それだけヘルパー不足や物価高が訪問介護事業に打撃を与えており、
早急な解消も見通せず、今後も倒産が増える可能性が高まってきた」と分析している。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197990_1527.html

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【企業】
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●卵子凍結の補助を福利厚生制度として導入/パナソニックコネクト

 パナソニックコネクトは15日、女性従業員の自律的なライフプラン設計を支援するため、
卵子凍結への費用補助を国内社員向けの福利厚生制度として導入すると発表した。不妊治療
は精神的・肉体的・金銭的にも負担が大きく、女性のキャリアやライフプラン設計へのモチ
ベーション低下に繋がる大きな社会課題だと指摘。同社の女性社員を対象に40万円を上限に
補助し、社員向けのセミナーを実施してヘルスリテラシーの向上を図るとしている。
https://news.panasonic.com/jp/press/jn230915-2

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<アメリカ>
▽ホワイトカラー・エグゼンプションの俸給水準要件引き上げを提案―連邦労働省

 連邦労働省は8月30日、公正労働基準法に基づき、残業代の支給対象から外れる
「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、適用対象者の俸給水準要件を
引き上げる改定規則案を発表した。現在の「週給684ドル以上(年収3万5,568ドル以上
に相当)」を「週給1,059ドル以上(年収5万5,068ドル以上に相当)」に改める。これに
より、300万人以上が新たに残業代の支給対象になるという。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/09/usa_01.html

<ドイツ>
▽DGB組合員数と協約適用率の動向

 ドイツ労働総同盟(DGB)によると、2022年の組合員総数は、前年から約8.5万人減少
し、564万3762人となった。採用数の増加により組合員数が増えた警察官労組(GdP)を
のぞき、全ての産業別労働組合(産別労組)の組合員数が減少した。なお、2021年の
労働協約の適用率(就業者ベース)は、旧東独地域で45%、旧西独地域で54%と、
それぞれ前年比で1ポイントずつ上昇した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/09/germany_01.html

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【イベント】
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●「社会保険入門講座」及び「社会保険・労働保険基礎講座」/神奈川県労働福祉協会

 神奈川県労働福祉協会は下記の社会保険に関する講座を開催する。

 〇「社会保険入門講座」
  10月19日(木)に会場(横浜市中区、定員18名)とZoomで開催する。対象は、初めて
  保険事務を担当する方、社会保険の基本の全体像を学びたい方。基礎講座よりも前の
  段階の方向けの入門講座。受講料1万2,000円。指定日に見逃しオンデマンド受講可能。
  https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/hoken-beginner.html

 〇「よく分かる基本のしくみと実務!社会保険・労働保険基礎講座」
  11月9日(木)・16日(木)にZoomでライブ開催する。主な対象は、社会保険の基本を
  学びたい方、最新の情報や今後の動向まで踏まえ、全体を復習、確認したい方。
  受講料2万5,000円。講義日翌々日から1カ月間オンデマンド視聴も可能。
  https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/hoken-basic.html

●「うつ病休職者の職場復帰支援を考えるフォーラム」/東京都

 東京都は10月25日(水)、「第16回うつ病休職者の職場復帰支援を考えるフォーラム:
職場のメンタルヘルス再考―働き方改革の導入、ポストコロナに向けてどう変わって
ゆくのか―」を会場(杉並区)とオンラインで開催する。定員は会場180名、オンライン
200名。参加無料。要事前登録、締切は10月17日(火)。
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/chusou/kouenkaiboshu/16ustu.html