メールマガジン労働情報 No.1899

■□――【メールマガジン労働情報/No.1899】

 フリーランス保護新法の施行に向け、議論開始/厚労省検討会 ほか

―2023年9月13日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】フリーランス保護新法の施行に向け、議論開始/厚労省検討会 ほか
【統計】23年4~6月期GDP実質成長率、年率4.8%/内閣府 ほか
【労使】2014年以降で最高の賃上げ額となった2023年闘争を総括/金属労協の定期大会 ほか
【動向】「ゼロゼロ融資」利用後の倒産、4カ月連続で50件超える/民間調査 ほか
【企業】再雇用制度「カムバック採用」を開始/南海電鉄
【イベント】「産業保健フォーラム IN TOKYO 2023」 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム「企業で働く人の社会貢献活動と生涯キャリア」

 9月23日~27日(オンデマンド配信)
  ・講演「ソーシャルキャピタルからみる日本の違和感─企業に求められる姿勢」
  ・報告「生涯キャリアと社会貢献活動─パラレルキャリアの可能性」

 9月27日(水)14:00~16:30(ライブ配信)
  ・「社員が企業に在籍したままNPOで働く社会貢献の形」(花王株式会社)
  ・「社会貢献活動の実践から」(藤沢市民活動推進機構)
  ・「60歳再雇用でNPO出向、全くの新領域での経験とその後の発展」(個人実践者)
(参加無料・要申込)
 https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20230927/index.html

★「最近の統計調査結果から」(2023年8月)

 官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2023/202308.html
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2023/documents/202308.pdf

★企画展示「職業訓練・職業教育、キャリア…その先へ」/労働図書館

 JILPT労働図書館では、閲覧室内の展示コーナーで、テーマを決めて企画展示を
しています。9月29日まで「職業訓練・職業教育、キャリア…その先へ」と題し、
所蔵資料から展示しています。
 https://www.jil.go.jp/lib/exhibition/index.html

★『労働関係法規集2023年版』 発売中!
 https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

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【行政】
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●フリーランス保護新法の施行に向け、議論開始/厚労省検討会

 厚生労働省は11日、第1回「特定受託事業者の就業環境の整備に関する検討会」
を開催した。特定受託事業者(フリーランス)の就業環境の整備については、
2023年5月に新法(いわゆる「フリーランス保護新法)」が公布された。同法では、
発注事業者が業務委託する際、「広告等による募集情報の的確な表示」「育児介護
等と業務の両立への配慮」「ハラスメント対策」「中途解除等の事前予告」の措置
等を講じることとされている。検討会では、政令・省令等の制定に向け、具体的
内容や実施の細則等について検討し、来年年明け以降の報告書とりまとめを予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34974.html

●夏季一時金の平均妥結額は84万円、過去2番目の高水準/厚労省集計

 厚生労働省は8日、2023年民間主要企業夏季一時金妥結状況を公表した。平均
妥結額は84万5,557円で、前年比1万3,217円(1.59%)の増加。2018年に次ぎ
過去2番目の高水準となった。平均要求額は86万9,113円で、同843円(0.1%)減。
集計対象は、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある351社。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34971.html

●持続可能な建設業目指した中間整理案、「標準労務費」の設定・勧告も/国交省

 国土交通省は8日、中央建設業審議会・基本問題小委員会を開催し、中間整理案
「副題:担い手確保の取組を加速し、持続可能な建設業を目指して」について議論
した。当面講ずべき措置の一つに掲げた「適切な労務費等の確保や賃金行き渡りの
担保」については、適正な工事実施のために計上されるべき「標準的な労務費」を
中長期的にも持続可能な水準で設定し、下請契約等において明確化されるルールを
導入することで、労務費の額が市況の影響を受けにくい環境をつくること、などを
提示。同審議会から「標準労務費」として勧告すべきだとしている。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/tochi_fudousan_kensetsugyo13_sg_000001_00019.html

●経済的虐待が87%超で最多、「使用者による障害者虐待の状況等」結果/厚労省

 厚生労働省は8日、「2022年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表した。
障害者虐待防止法に基づき、労働局と都道府県等が把握した状況を取りまとめたもの。
通報等があった事案のうち虐待が認められたのは、最低賃金特例を下回る低賃金などの
「経済的虐待」が87.3%に上り、心理的虐待(6.8%)、身体的虐待(3.5%)等を大きく
上回った。虐待が認められたのは430事業所(前年度比9.7%増)・656人(同30.7%増)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000172598_00009.html

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【統計】
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●23年4~6月期GDP実質成長率、年率4.8%/内閣府

 内閣府は8日、2023年4~6月期の四半期別GDP(国内総生産)2次速報値
(季節調整済)を公表した。物価変動を除いた実質GDP成長率は、前期比1.2%増、
年率換算で4.8%の増加。8月に公表された1次速報値(前期比1.5%増、年率換算
6.0%増)から下方修正した。民間企業設備等の下方改定が主な押し下げ要因。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf
(統計表)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/gaiyou_top.html

●街角景況感、前月差0.8ポイント低下/8月景気ウォッチャー調査

 内閣府は8日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた
2023年8月の「景気ウォッチャー調査」の結果を公表した。現状判断DI(季節
調整済)は、前月差0.8ポイント低下の53.6となった。家計動向、企業動向、雇用の
全てのDIが低下。先行き判断DI(同)は、前月差2.7ポイント低下の51.4。
 今回の結果について、「景気は、緩やかに回復している。先行きについては、
価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」としている。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2023/0908watcher/menu.html

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【労使】
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●2014年以降で最高の賃上げ額となった2023年闘争を総括/金属労協の定期大会

 自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5産別でつくる金属労協
(JCM、議長:金子晃浩・自動車総連会長、約199万9,000人)は5日、都内で
定期大会を開催し、今春闘の総括となる「2023年闘争評価と課題」を確認した。
賃上げ獲得組合比率、賃上げ獲得額ともに2014年以降での最高となったことをうけ、
「評価と課題」は「組合員の生活の安心・安定はもとより、金属産業の現場力・
競争力を高め、日本経済を好転させる契機となり得るなど、JC共闘の社会的な
役割を果たすことができた」と総括。金子議長は2024年闘争に向け、「こうした
取り組みをけっして今年単発で終わらせてはいけない」と強調した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230913a.html

●「例年を大きく上回る回答引き出しと産業全体への波及を図れた」と今春の賃上げ交渉を総括/自動車総連の定期大会

 自動車総連(金子晃浩会長、約79万6,000人)は7、8日の両日、都内で定期
大会を開催し、2023年春季生活闘争の総括を確認した。今春の取り組みでは、
賃金改善分の平均獲得額が5,050円、獲得した組合の割合が89%となり、ともに
賃上げが復活した2014年以降で最高を記録。総括は全体の結果について「自社・
産業の魅力向上に向け労使で真摯に論議し、例年を大きく上回る回答引き出しと
産業全体への波及を図れた」などと評価した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230913b.html

●「参加と対話」型の運動をめざす組織変革プロジェクトの最終報告を確認/JAMの定期大会

 金属、機械関連の中小労組を多く抱えるものづくりの産別労組、JAM(安河内
賢弘会長、約36万7,000人)は8月31日から2日間、静岡県静岡市で第25回定期
大会を開催した。組織変革プロジェクトの最終報告や2023年春季生活闘争総括を
確認するとともに、向こう2年間の新運動方針を決定。組織変革プロジェクト
最終報告では、組合員の単組やJAM本部、地協の活動への参加を促すため、
日常的なコミュニケーションの促進や、レクリエーション活動を通じた組合活動の
楽しさを伝える工夫などを提言した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230913c.html

●長期雇用を前提とした賃金制度を/基幹労連定期大会

 鉄鋼、造船重機、非鉄関連などの労働組合で構成する基幹労連(神田健一委員長、
約26万8,000人)は7日から2日間、都内で定期大会を開き、新運動方針を確認した。
春季取り組みの評価と課題では、過去との比較で前進回答率や平均獲得額が向上した
ことを「大いに評価できる」とした一方で、企業規模間での賃金格差や賃金カーブの
歪みなどを今後の課題にあげて、長期雇用を前提とした賃金制度の必要性を強調した。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230913d.html

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【動向】
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●「ゼロゼロ融資」利用後の倒産、4カ月連続で50件超える/民間調査

 東京商工リサーチは8日、2023年8月「ゼロゼロ融資後」倒産に関する
レポートを発表した。実質無利子・無担保融資の「ゼロゼロ融資」を利用した後
の倒産は、2023年8月は57件(前年同月比39.0%増)、4カ月連続で50件を超過。
倒産が初めて確認された2020年7月からの累計は1,025件。
 ゼロゼロ融資は、コロナ禍で急減な業績悪化に見舞われた中小・零細企業の
資金繰り支援策として実施。レポートは、「ゼロゼロ融資は、倒産抑制に劇的な
効果をみせたが、その副作用として過剰債務に陥った企業は多く、返済がピークを
迎え、業績回復の目途が立たず息切れする企業が増えている」と指摘している。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197974_1527.html

●非正規雇用労働者の働き方・意識調査結果をHP掲載/連合総研

 連合総研は、「非正規雇用労働者の働き方・意識と労働組合に関する調査」報告
書をホームページに掲載した。民間の非正規雇用労働者2,500人(組合員500人、
非組合員2,000人)を対象に、就業状況や職場環境の実態、公的年金や社会保険の加入
状況、非正規労働に関するルールの認知、コロナの影響等について2022年11月に実施
したアンケート調査結果をまとめたもの。労働組合・NPO・団体に対するインタ
ビュー調査も実施し、非正規雇用労働者に関する取組内容を紹介している。
(アンケート調査結果)
https://www.rengo-soken.or.jp/work/2023/08/311630.html
(インタビュー調査結果)
https://www.rengo-soken.or.jp/work/2023/08/311700.html

●中小企業の健康経営・福利厚生制度など調査/民間調査

 アクサ生命保険は4日、全国の中小企業経営者を対象に実施した、健康経営や福利
厚生制度に関するアンケート調査結果を発表した。従業員の健康づくりを重要な経営
課題と位置づけ、生産性や企業価値の向上につなげる「健康経営」について、「内容
を知っている」経営者は約半数(46.8%)。従業員のこころの健康をサポートする
ために取り組みたいことは、約6割が「ストレスチェックの実施」と回答。一方で、
実際にストレスチェックを「実施している」企業は約1割に留まっている。
https://www2.axa.co.jp/info/news/2023/pdf/230904.pdf

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【企業】
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●再雇用制度「カムバック採用」を開始/南海電鉄

 南海電気鉄道は7日、キャリアアップや育児介護等の理由で同社を退職した人を
対象とした再雇用制度「カムバック採用」の開始を発表した。要件は、「勤続年数
1年以上」「定年年齢に達していない」「選択定年・懲戒解雇等による退職でない」
の全てを満たすこと。再入社時の待遇は、退職後の職歴やスキルなどを踏まえ、
個別に決定するとしている。
https://www.nankai.co.jp/lib/company/news/pdf/230907.pdf

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【イベント】
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●「産業保健フォーラム IN TOKYO 2023」/東京労働局その他

 東京労働局、東京労働基準協会連合会、東京産業保健総合支援センターは共催で
10月11日(水)に「産業保健フォーラム IN TOKYO 2023」を江東区で開催する。
産業医による特別講演、産業医と弁護士によるトークセッションがある。
参加無料。東基連の下記HPから申し込む。
https://www.toukiren.or.jp/shf2023.html

●「職場のポジティブメンタルヘルスシンポジウム」/東京都

 東京都は10月19日(木)に「職場のポジティブメンタルヘルスシンポジウム」を
ライブ配信で開催する。11月1日(水)~30日(木)にオンデマンド配信も実施。
基調講演と都内中小企業2社の事例を交えたパネルディスカッションを行う。
視聴無料。ライブ配信、オンデマンドともHP掲載のフォームから事前に申し込む。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/kaizen/mental/suishin/r5/

●「メンタルヘルス支援に活かす認知行動スキルセミナー」/中災防

 中央労働災害防止協会は10月23日(月)に「メンタルヘルス支援に活かす認知行動
スキルセミナー」を港区で開催する。認知行動療法の基本、各種スキルを専門家から
学ぶ。また、ロールプレイの実習を通して面接法への理解を深める。
参加費:1万8,700円。定員:32名。HPから申し込む。
https://www.jisha.or.jp/seminar/health/h3571_mh_stuff04.html