メールマガジン労働情報 No.1889

■□――【メールマガジン労働情報/No.1889】

最低賃金1,000円超へ、41円の引上げは過去最大/中央最低賃金審議会 ほか

―2023年8月2日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】最低賃金1,000円超へ、41円の引上げは過去最大/中央最低賃金審議会 ほか
【統計】男性育児休業取得者の割合、前年度比3.16ポイント上昇/雇用均等基本調査 ほか
【労使】24春闘で実質賃金の低下をとり戻す賃上げを/全労連評議員会 ほか
【動向】5割超の企業が「SDGsに取り組んでいる・取り組みたい」/民間調査
【企業】初任給の引上げ、大卒・院卒の「隔地転勤あり」は9.7%アップ/福井銀行 ほか
【海外】9地域が最低賃金の引き上げを発表―2023年7月時点/中国
【イベント】「社会保険レベルアップ講座」/神奈川県労働福祉協会 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇調査シリーズNo.229『新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査
 [JILPTコロナ連続パネル個人調査(第1~7回)]結果

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大やその予防措置が、仕事や生活に
及ぼす影響について把握するため、2020年4月1日時点で国内に居住する20歳以上
64歳以下の「民間企業で働く雇用者」及び「フリーランスで働く者」を対象に、
2020年5月下旬~2022年3月上旬迄、全7回の連続パネルWeb調査を実施しました。
一連のデータは、就労者の働き方や意識の変化等についての示唆に富む追跡記録と
なりました。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2023/229.html

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【JILPTからのお知らせ】
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☆2023年度・第71回「東京労働大学講座専門講座」(通学・会場開催)受講者募集中!

 専門講座では、受講者参加型のゼミナール形式による講義を中心に、理論・実務両面での
課題対応力の強化を目指します。「人事管理・労働経済コース」、「労働法コース」の
2コースがあり、第一線の講師が指導します。多くの方々のご受講をお待ちしております。

人事管理・労働経済コース 9月13日開講~11月30日(計15日)
労働法コース       9月1日開講~11月28日(計15日)

時 間:18時30分~20時10分(100分)
会 場:ビジョンセンター永田町(東京都千代田区)
受講料:4万5,000円(税込・各コースとも)
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html

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【行政】
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●最低賃金1,000円超へ、41円の引上げは過去最大/中央最低賃金審議会

 中央最低賃金審議会は7月28日、2023年度の地域別最低賃金額改定の目安を答申した。
引上げ目安は、「Aランク」(東京、大阪など6都府県)が41円、「Bランク」(北海道、
兵庫、広島など28道府県)が40円、「Cランク」(青森、沖縄など13県)が39円。仮に目安
どおりに各都道府県で引上げが行われた場合、全国加重平均は1,002円で初めて1,000円を
超える。全国加重平均の上昇額は41円(22年度は31円)で、1978年度に目安制度が始まって
以降の最高額。
 連合(事務局長談話)は、「労働側の主張は一定受け入れられ、連合がめざす「誰もが
時給1,000円」に向け前進する目安が示された」などとした。
 日本商工会議所(会頭コメント)は、「今回の最低賃金引き上げ分も含め、労務費の
価格転嫁の一層の推進が極めて重要」として政府の支援策を求めた。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34458.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001126554.pdf
(中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001126634.pdf
(連合・事務局長談話)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1256
(日本商工会議所・会頭コメント)
https://www.jcci.or.jp/news/2023/0728180500.html

●自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況を公表/厚労省

 厚生労働省は7月31日、全国の労働局や労働基準監督署が、2022年にトラック、バス、
タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場に対して行った監督指導や送検等の
状況を公表した。労働基準関係法令違反が認められた事業場は、監督指導を実施した
3,785事業場のうち3,142事業場(83.0%)。改善基準告示違反は2,037事業場(53.8%)。
主な違反事項は、労基法関係は労働時間(47.6%)、割増賃金の支払(22.0%)など、
改善基準告示関係は、最大拘束時間(39.2%)、総拘束時間(30.3%)、休息期間
(28.1%)。重大・悪質な労働基準関係法令違反による送検件数は58件。また、2024年
4月1日の改正改善基準告示の施行に先立ち、長時間労働の要因である恒常的な荷待ち
を発生させないよう、荷主等に要請する取組を進めるとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34461.html
(発着荷主等に対する要請のリーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001126504.pdf

●トラックドライバーの働き方改革、PR動画(第2弾)を公開/厚労省

 厚生労働省は7月28日、「働き方改革PR動画『はたらきかたススメ』シリーズ第2弾」
を公開した。この動画シリーズは、2024年4月から開始する建設業で働く人やドライバー
への時間外労働の上限規制の適用に向けて制作するもの。
 今回の第2弾は、トラックドライバーの働き方改革を進めるにあたり、荷主をはじめと
する人たちに周知したい内容を取り上げている。今後は、今年8月に「バス編」、9月に
「建設業編」を公開する予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34452.html
(参考・自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html

●「労働基準関係法令違反に関する公表事案」を公表/厚労省

 厚生労働省は7月31日、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を公表した。
2022年7月1日から2023年6月30日の間に、都道府県労働局が労働基準法、労働
安全衛生法、最低賃金法、労働安全衛生規則等の労働基準関係法令違反の疑いで
送検し公表した内容を都道府県別に集約したもの。
https://www.mhlw.go.jp/content/001101046.pdf


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【統計】
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●男性育児休業取得者の割合、前年度比3.16ポイント上昇/雇用均等基本調査

 厚生労働省は7月31日、2022年度「雇用均等基本調査」結果を公表した。
事業所調査(6,300事業所)では、育児休業取得者の割合は、女性は80.2%(2021年度
85.1%)で4.9ポイント低下、男性は17.13%(同13.97%)で3.16ポイント上昇。
企業調査(6,000企業)で、女性管理職等を有する企業割合を役職別にみると、
部長相当職ありは12.0%(2021年度12.1%)、課長相当職ありは22.3%(同20.1%)、
係長相当職あり22.9%(同21.0%)。管理職等に占める女性の割合では、部長相当職
8.0%(同7.8%)、課長相当職11.6%(同10.7%)、係長相当職18.7%(同18.8%)。
課長相当職以上の女性の割合は12.7%(同12.3%)で0.4ポイント、係長相当職以上
は14.7%(同14.5%)で0.2ポイント、それぞれ上昇した。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r04.html
(報道発表資料・結果概要)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r04/07.pdf

●6月の完全失業率2.5%、前月比0.1ポイント低下/労働力調査

 総務省は1日、2023年6月の「労働力調査(基本集計)」を公表した。
完全失業率(季節調整値)は2.5%で、前月に比べ0.1ポイント低下。
完全失業者数は179万人(前年同月比7万人減)で、2カ月連続の減少。
就業者数は6,785万人(同26万人増)で、11カ月連続の増加。雇用者数は
6,109万人(同61万人増)で、16カ月連続の増加。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
(概要)
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf

●6月の新規求人、「製造業」は前年同月比11.0%減/一般職業紹介状況

 厚生労働省は1日、「一般職業紹介状況」を公表した。2023年6月の有効求人
倍率(季節調整値)は1.30倍で、前月比0.01ポイント低下。新規求人倍率(同)は
2.32倍で、前月比0.04ポイント低下。新規求人(原数値)は、前年同月比で2.1%減。
産業別では、宿泊業・飲食サービス業(1.3%増)、医療,福祉(0.9%増)、学術研究,
専門・技術サービス業(0.8%増)で増加。製造業(11.0%減)、建設業(7.2%減)、
教育,学習支援業(2.6%減)などで減少。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34326.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001124114.pdf

●消費者マインドの基調判断、「改善に向けた動きがみられる」/7月消費動向調査

 内閣府は7月31日、2023年7月の「消費動向調査」結果を公表した。「消費者態度
指数(二人以上の世帯、季節調整値)」は、37.1(前月比0.9ポイント上昇)。
指数を構成する各指標について前月差を見ると、いずれも上昇しており、「耐久消費財
の買い時判断」が31.1(同1.2ポイント)、「暮らし向き」が33.9(同1.0ポイント)、
「雇用環境」が44.0(0.9ポイント)など。消費者マインドの基調判断は、「改善に
向けた動きがみられる」で前月の「持ち直している」から上方修正。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
(統計表等)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

●基調判断「生産は緩やかな持ち直しの動き」で据え置き/6月鉱工業指数

 経済産業省は7月31日、6月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。
生産指数(季節調整値)は105.3、前月比2.0%と、2カ月ぶりの上昇。
業種別では、上昇したのは、自動車工業、電子部品・デバイス工業、汎用・業務用
機械工業等。低下したのは、石油・石炭製品工業、パルプ・紙・紙加工品工業、
輸送機械工業(自動車工業を除く)等。出荷は同1.5%で3カ月ぶりの上昇。在庫は
同マイナス0.1%で、2カ月ぶりの低下。在庫率は同マイナス1.2%で、4カ月ぶり
の低下。基調判断は「生産は緩やかな持ち直しの動き」で据え置き。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
(概要)
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202306sj.pdf
(指数の解説)
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/archive/kako/20230731_1.html

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【労使】
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●24春闘で実質賃金の低下をとり戻す賃上げを/全労連評議員会

 全労連(小畑雅子議長、約70万2,000人)は7月28、29の両日、横浜市で第64回
評議員会を開き、2023年度運動方針を確認した。方針は、「たたかう労働組合の
バージョンアップで職場・地域から労働者が声を上げ平和で公正な社会をつくろう」
と呼び掛け、24春闘での実質賃金の低下を取り戻す賃上げの実現や、労働者の権利を
守り労働条件を改善する運動の展開などを運動の方向性として示し、今後1年間の
取り組みの具体化と充実を訴えている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230802a.html

●社会的役割にふさわしい専門職としての賃金水準獲得を/日本医労連定期大会

 日本医労連(佐々木悦子中央執行委員長、約14万6,000人)は7月18~20日の3日間、
都内で定期大会を開催し、2023年度の運動方針を決めた。方針の柱は(1)賃金底上げ
と大幅賃上げ、(2)大幅増員、働くルールの確立、(3)安全・安心の医療・介護の
実現、(4)いのちと平和を守る政治の実現、(5)20万人医労連の早期達成、を提示。
社会的役割にふさわしい専門職としての賃金水準の獲得をめざす姿勢を強調するほか、
安全・安心な医療・介護提供に向けた人員確保や環境整備、財政保障などを求めている。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230802b.html

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【動向】
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●5割超の企業が「SDGsに取り組んでいる・取り組みたい」/民間調査

 帝国データバンクは7月27日、SDGsに関する企業の意識調査結果を発表した。
自社におけるSDGsの重要性を理解し、取り組んでいる企業は27.4%で、前回調査
(2022年6月)より3.8ポイント増加。「取り組みたいと思っている」は 26.2%
(2.4ポイント減)で、前向きな姿勢の企業は、前年の50.2%から53.6%へ増加。
 2030年までに達成すべきSDGsの17目標のうち、現在力を入れている項目(複数
回答)は、働き方改革や労働者の能力向上などを含む「働きがいも経済成長も」
が32.8%で最多。SDGsへの取組み効果を「実感している」企業は69.2%、中でも
「企業イメージの向上」が38.1%でトップとなった。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230714.html
(調査結果詳細)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230714.pdf

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【企業】
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●初任給の引上げ、大卒・院卒の「隔地転勤あり」は9.7%アップ/福井銀行

 福井銀行は7月28日、優秀な人財の採用強化と定着促進を目的として、初任給の引上げを
行うと発表した。大学卒・大学院卒の「隔地転勤あり」が22万5,000 円(2万円・9.7%増)、
「隔地転勤なし」が19万5,000 円(1万円・約5.4%増)、短大卒・高専卒が17万5,000円
(1万円・約6.0%増)に引き上げられる。実施は2024年7月1日予定。
https://www.fukuibank.co.jp/press/2023/salary_202307.pdf

●夏季の働き方改革推進施策、「エコ年休」で原則週休3日へ/日本製鉄

 日本製鉄は7月24日、夏季における働き方改革推進施策と節電施策の実施を発表した。
勤務施策では、年休取得奨励日として「エコ年休」を実施する。7月下旬~9月上旬の
金曜日を中心に計5日を年休取得奨励日(原則週休3日)とし、皆が休みやすい環境を
つくる。オフィス施策としては、時差出勤促進に向け、空調稼働時間を30分前倒し(8時
30分→8時開始)、「エコ年休」取得奨励日における18時30分での全館一斉消灯(空調
終了)などを実施する。
https://www.nipponsteel.com/news/20230724_200.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<中国>
▽9地域が最低賃金の引き上げを発表―2023年7月時点

 中国各地域の人的資源・社会保障局は、月額最低賃金の最新の改定額を相次ぎ明らか
にした。現時点(2023年7月)で、北京市をはじめ、上海市、河北省、山西省、安徽省、
貴州省、チベット自治区、陝西省、甘粛省の9つの省・地域が最低賃金の引き上げを
発表している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/08/china_01.html

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【イベント】
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●「社会保険レベルアップ講座」/神奈川県労働福祉協会

 神奈川県労働福祉協会は9月14日(木)、「社会保険レベルアップ講座」をZoomライブ
とオンデマンドで開催する。総務、人事労務、給与計算担当者を対象とし、実務担当者が
知っておくべき基礎知識と実務上の重要ポイントやイレギュラーなケースなどを解説する。
オンデマンド配信は9月16日(土)~10月15日(日)。受講料1万5,000円。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/hoken-levelup.html

●セミナー「ハラスメント講座」/中災防

 中央労働災害防止協会は9月12日(火)、セミナー「ハラスメント講座」を
会場(東京都港区)とオンラインライブのハイブリッド方式で開催する。午前は
第1回「もっと知りたい!ハラスメント対策~メンタルヘルス不調者をどう守るか」、
午後は第3回「科学データに基づく パワハラ上司をつくらない職場づくり」。
参加費は、各回1万9,800円。
https://www.jisha.or.jp/seminar/health/h3981_anti_harassment.html