メールマガジン労働情報 No.1890

■□――【メールマガジン労働情報/No.1890】

ポストコロナ時代の「つながり・支え合い」の在り方を提示/厚生労働白書 ほか

―2023年8月4日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】ポストコロナ時代の「つながり・支え合い」の在り方を提示/厚生労働白書 ほか
【統計】生活保護の申請件数、前年同月比11.4%増/5月被保護者調査
【動向】レポート「進む機械化・自動化 変わる働き方」、7業種の取組事例も/民間研究所 ほか
【企業】「社内副業制度」を開始、勤務時間の2割を副業従事可能に/東洋製罐グループ ほか
【海外】ドイツの雇用維持政策の評価:コロナ禍の労働市場―操短手当によって高失業を免れる
【イベント】第8回労働時間日本学会(WTJS)研究集会/労働時間日本学会

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【JILPT研究成果情報】
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◇調査シリーズNo.229『新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査
 [JILPTコロナ連続パネル個人調査(第1~7回)]結果
https://www.jil.go.jp/institute/research/2023/229.html

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【JILPTからのお知らせ】
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★「東京労働大学講座専門講座」(通学・会場開催)受講者募集中!

 専門講座では、受講者参加型のゼミナール形式による講義を中心に、理論・実務両面での
課題対応力の強化を目指します。「人事管理・労働経済コース」、「労働法コース」の
2コースがあり、第一線の講師が指導します。多くの方々のご受講をお待ちしております。

人事管理・労働経済コース 9月13日開講~11月30日(計15日)
労働法コース       9月1日開講~11月28日(計15日)

時 間:18時30分~20時10分(100分)
会 場:ビジョンセンター永田町(東京都千代田区)
受講料:4万5,000円(税込・各コースとも)
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html

★企画展示「職業訓練・職業教育、キャリア…その先へ」/労働図書館

 JILPT労働図書館では、閲覧室内の展示コーナーで、テーマを決めて企画展示を
しています。1日から9月29日までは「職業訓練・職業教育、キャリア…その先へ」
と題し、所蔵資料から展示しています。
https://www.jil.go.jp/lib/exhibition/index.html

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【行政】
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●ポストコロナ時代の「つながり・支え合い」の在り方を提示/厚生労働白書

 厚生労働省は2日、令和5年版「厚生労働白書」を閣議で報告した。白書は2部構成で、
第1部のテーマは「つながり・支え合いのある地域共生社会」。単身世帯の増加やコロナ
の影響による人々の交流の希薄化などを背景に複雑化する課題や、制度の狭間にある課題
(ひきこもりやヤングケアラーなど)が顕在化していると指摘。こうした課題に対して、
これまでの「つながり・支え合い」の概念は拡がりをみせており、ポストコロナの令和の
時代に求められる新たな「つながり・支え合い」の在り方を提示している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34301.html

●NPOやボランティアなど社会参加活動について調査/厚労省

 厚生労働省は1日、令和4年度「少子高齢社会等調査検討事業」の報告書を発表した。
NPO活動やボランティア等の社会参加活動に関する認識、参加状況、孤独感の関係等に
ついて意識調査したもの。社会参加活動をして良かったことは、「地域社会に貢献できた」
(48.9%)が最多、次いで「お互いに助け合うことができた」(35.7%)、「新しい友人を
得ることができた」(27.3%)など。参加意向があるものの参加していない人の理由は、
「どのような活動が行われているか知らない」(45.5%)、「時間的な余裕がない」(34.7%)、
「気軽に参加できる活動が少ない」(34.1%)など。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34459.html

●違法な時間外労働で1万4千超の事業場に是正勧告/厚労省

 厚生労働省は2日、長時間労働が疑われる3万3,218事業場を対象とした2022年度の
監督指導結果を公表した。違法な時間外労働で是正勧告をうけたのは、1万4,147事業場
(42.6%)。このうち、月80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、
5,247事業場(違法な時間外労働があった事業場の37.1%)。過重労働による健康障害
防止措置の未実施も、8,852事業場(26.6%)に上った。厚生労働省は、11月の「過重
労働解消キャンペーン」期間中においても重点的な監督指導を行うとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34504.html

●外国人技能実習、7割超の事業場で労働基準関連法令違反/厚労省

 厚生労働省は1日、外国人技能実習生の実習実施者に対する2022年の監督指導、送検等
の状況を公表した。労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施し
た9,829事業場のうち7,247事業場(73.7%)。主な違反事項は、使用する機械等の安全基準
(23.7%)、割増賃金の支払(16.9%)、健診結果についての医師等からの意見聴取(16.1%)
など。重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは21件だった。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34487.html

●家事使用人の実態調査について議論/労政審労働条件分科会

 厚生労働省は1日、第189回労働政策審議会労働条件分科会を開催し、「家事使用人に
係る実態調査」についての報告等が議論された。同調査は、全国の家政婦(夫)紹介所に
登録され、個人家庭と契約して働いたことのある家事使用人を対象に、JILPTが実施した
もの。家事使用人の業務・契約内容、勤務時間・報酬や、けが等の状況、労災保険・民間
保険の加入状況、トラブル等について調査。家事使用人のうち、女性が98.8%、60~70代
が77.5%を占めること、85.4%が働き方に「満足」していること、34.4%が労災保険に
特別加入していることなどが分かったとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34520.html
(家事使用人に係る実態調査について/JILPT実施)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001128024.pdf

●「全国労働衛生週間」を10月に実施/厚労省

 厚生労働省は10月1日から7日まで、2023年度「全国労働衛生週間」を実施する。
今年のスローガンは、「目指そうよ二刀流 こころとからだの健康職場」。「こころ」
と「からだ」の両面で対策を進め、誰もが快適で健康に働くことができる職場づくりを
目指していくことを表す。同週間は労働衛生に関する国民の意識を高め、職場での自主
的な活動を促し労働者の健康を確保することなどを目的に、1950年から毎年実施して
おり、今年で74回目。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34356.html

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【統計】
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●生活保護の申請件数、前年同月比11.4%増/5月被保護者調査

 厚生労働省は2日、生活保護法に基づく「被保護者調査」(2023年5月分概数)
結果を公表した。保護の申請件数は2万2,680件で、前年同月比2,327件(11.4%)
増。保護開始世帯数は1万9,847世帯で、同2,808世帯(16.5%)増。被保護世帯は
164万8,101世帯で、同8,596世帯(0.5%)増。被保護実人員は202万1,060人で、
同2,276人(0.1%)減。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2023/05.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2023/dl/05-01.pdf

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【動向】
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●レポート「進む機械化・自動化 変わる働き方」、7業種の取組事例も/民間研究所

 リクルートワークス研究所は7月31日、レポート「進む機械化・自動化 変わる働き方」
を発表した。Part2では、自動化で働き方が変わる事例として、7職種(運輸、建設、接客
調理、販売、医療、介護、事務営業)の取組みを掲載。ドローンや配送ロボットによる運輸、
計量・調理・洗浄等の厨房作業を自動化した飲食サービス、フロントや客室サービスをロボッ
ト化したホテル、商品管理から決済まで無人で行う店舗、計数調剤を一部自動化した「ロボッ
ト薬局」、移動・見守り・記録など周辺業務を自動化した介護など計15事例が掲載されている。
https://www.works-i.com/research/works-report/2023/automation_report.html

●副業者数の動向・属性など分析/民間研究所

 第一生命経済研究所は7月26日、レポート「急増する『副業者数』の分析~けん引役は
高齢者」を発表した。2022年の就業構造基本調査のデータを用いて副業者数の動向や属性
を分析。副業者数は2012年234万人、2017年268万人、2022年332万人と大幅に増加。副業の
ある人の数を有業者数で除した副業者比率も3.6%→4.0%→5.0%と上昇した。年齢別では、
この10年間の増加を牽引しているのは、32.7万人(2012年)から70.7万人(2022年)と2倍以上
に増えた65歳以上の高齢者だと指摘。また、副業者比率の変化をみると、15~19歳、20~24
歳の比率上昇が目立ち、若い世代において副業の広がりを確認できるとしている。
https://www.dlri.co.jp/report/macro/265707.html

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【企業】
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●「社内副業制度」を開始、勤務時間の2割を副業従事可能に/東洋製罐グループ

 総合容器メーカーの東洋製罐グループホールディングスは7月31日、2023年度より
正社員を対象とした「社内副業制度」を開始したと発表した。同制度は、従業員が
異なる部署の業務に自ら手を挙げて従事できる仕組みを通じて、スキルアップや
モチベーションの向上等を高めることを目的としたもの。2023年6月から全15業務の
募集を行い、3業務4名が順次、社内副業を開始する予定。副業に従事できる時間は
勤務時間のおおよそ2割とし、将来的にはグループ各社への展開を検討するとしている。
https://www.tskg-hd.com/2023/07/31-News-Release.html

●24年度から初任給を引上げ、菓子製造業界の若手人財確保に向け/春華堂

 うなぎパイなどの菓子メーカーの春華堂は7月28日、2024年4月から入社する新卒
従業員の初任給を1~2万円(約6.7~9.5%)引き上げると発表した。世界的なエネ
ルギー価格の高騰や為替の影響等による物価高騰を受け、新卒入社従業員の家計に与
える負担を軽減させる目的と、菓子製造業界の将来を担う優秀な若手人財の確保を
目的に実施するとしている。大卒は20万3,000円から22万円(8.4%増)に、高卒は
17万8,000円から19万円(6.7%増)に引き上げられる。
https://group.shunkado.co.jp/press/20230728_%E5%88%9D%E4%BB%BB%E7%B5%A6%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97.pdf

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【海外】
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●フォーカス/JILPT

<ドイツ>
▽ドイツの雇用維持政策の評価:コロナ禍の労働市場―操短手当によって高失業を免れる

 コロナ禍において、ドイツ経済は低迷したものの、労働市場はきわめて堅調に推移
した。新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年の国内総生産(GDP)は実質5%低下
したが、就業率は0.7%の低下、失業率は5.0%から5.9%の上昇にとどまった。総じて
労働市場への影響は、失業率が大きく10ポイント上昇したアメリカに比べれば、比較的
緩やかであった。全体的に好ましい動きとなったのは、何よりも迅速かつ大規模に
「操業短縮手当」が導入されたおかげであった。これにより、失業率の急激な悪化が
阻止された。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2023/08/germany.html

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【イベント】
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●第8回労働時間日本学会(WTJS)研究集会/労働時間日本学会

 労働時間日本学会は9月5日(火)、「わが国の働き方を上質にする」をテーマに
研究集会をZoomオンラインで開催する。総会と特別講演、総合討論が行われる。非会員
は、参加費1,000円。参加希望者は、学会事務局へメールで申し込む。
https://square.umin.ac.jp/wtjs/index.html#230727

●ミドル・シニア社員向け「自律型・キャリア開発研修」/中高年齢者雇用福祉協会

 一般社団法人中高年齢者雇用福祉協会(JADA)は9月13日(水)、企業に勤めるミドル・
シニア社員を対象とした公開講座「自律型・キャリア開発研修」をオンラインで開催する。
70歳就業時代を迎え、ミドル・シニア社員のキャリア開発や活性化は企業にとって喫緊の
課題。JADAの独自ツールとグループ討議、複数講師によるサポート、希望者への個別カウ
ンセリングにより、ミドル・シニア社員のモチベーション向上を引き出す。
先着15名、JADA賛助会員1万8,000円(税込)、一般2万2,000円(税込)。
http://www.jada-prep.jp/business/seminar_j/pdf/jiritsu0913.pdf