メールマガジン労働情報 No.1827

■□――【メールマガジン労働情報/No.1827】

定昇相当分を含め5%程度の賃上げを求める2023春季生活闘争方針を決定/連合中央委員会 ほか

―2022年12月7日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策等策について議論/物価・賃金・生活総合対策本部 ほか
【統計】実質賃金は前年同月比2.6%減、7か月連続の減少/毎勤統計調査10月速報値 ほか
【労使】定昇相当分を含め5%程度の賃上げを求める2023春季生活闘争方針を決定/連合中央委員会 ほか
【動向】国内景気は4か月連続で改善/民間調査 ほか
【海外】「ハルツ4」から「市民手当」へ/ドイツ ほか
【イベント】厚生政策セミナー「新型コロナウイルス感染症と生活困窮者支援―住まいの保障を考える」/社人研 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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☆第122回労働政策フォーラム(オンライン開催)

テーマ:高齢者の雇用・就業について考える
日 時:2022年12月7日(水曜)~12日(月曜)
プログラム:研究報告、事例報告(住友電設、太陽生命保険、ベイシア)
      パネルディスカッション
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20221212/index.html

◇『ユースフル労働統計2022―労働統計加工指標集―』を公開しました!

 既存の労働統計から新しい統計指標を計算する方法と結果を紹介する資料集です。
2022年版より書籍としての刊行・販売を取り止め、ホームページにおける掲載(PDF)
に移行しました(11月28日公表)
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2022/index.html

☆ホームページ停止のお知らせ

 点検のため、下記の期間、当機構ホームページ(蔵書DB・論文DB、調査研究成果DBを含む)を停止いたします。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。
<12月9日(金曜)18時~12月10日(土曜)16時>

☆任期付研究員の募集について(2023年度採用)

 労働政策研究・研修機構では、任期付研究員を募集します。
応募書類の提出期限は2023年1月16日(月曜)必着です。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2022/06.html

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【新型コロナウイルス関連情報】
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☆JILPTリサーチアイ 第75回
 医療・介護従事者に対するワクチン接種証明義務は有効か?
 ─感染症予防法20a条の施行停止を求める仮命令申立てに関するドイツ連邦憲法裁判所2022年2月10日決定
 労働法・労使関係部門 主任研究員 山本 陽大(12月7日)

 2020年初頭以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行を契機として、
ここ数年の間、各国の労働法政策においてもコロナ危機への対応が重要テーマとなっている。
このような政策領域は非常に多岐にわたるが、その一つとしてワクチン接種をめぐる問題が
挙げられる。この点について、わが国では厚生労働省が、労働者にとってワクチン接種を
受けやすい環境整備を企業(使用者)に促すべく、ワクチン休暇制度の導入等を望ましい対応例
として示しつつ、接種自体については(労働者を含む)国民の任意性を徹底しているのに対し、
諸外国では、上記の意味での環境整備や、更にはワクチン接種そのものについても、法的に
義務付けることによりこれらを強制する立法政策を採る例がみられる。
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/075_221207.html

▽最近の更新情報(12月6日更新)

 国内統計:賃金
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c10.html

 国内統計:総実労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c11.html

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【行政】
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●物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策等策について議論/物価・賃金・生活総合対策本部

 政府は6日、第5回「物価・賃金・生活総合対策本部」を開催し、物価高克服・
経済再生実現のための総合経済対策等について議論した。総理は、議論を踏まえ、
「今後の成長と分配の好循環の実現は、来年春の春闘の成果にかかっている」とし、
「中小企業の生産性向上・省エネ対策について、企業への徹底周知を図り、前向きな
投資と物価高騰に負けない賃上げにつなげていく」などと述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202212/06taisakuhonbu.html
(議事次第・資料)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bukka/dai5/siryou.pdf

●12月以降の雇用調整助成金のコロナ特例の経過措置について/厚労省

 厚生労働省は、雇用調整助成金が通常制度となる2022年12月以降について、
2020年1月24日から2022年11月30日までの間の休業等でコロナ特例を利用した
特に業況が厳しい事業所について、2023年1月までの間、上限9,000円とする
経過措置を設けた。また、これまでコロナ特例を利用しておらず、12月以降に
新たに助成金を申請する事業所は通常制度の適用となるが、2023年3月31日までは
休業計画届の提出不要など支給要件を緩和する。厚生労働省は、これらについての
リーフレットを公開している。
(コロナ特例の経過措置)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001008098.pdf
(通常制度の適用における支給要件の緩和)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001007940.pdf

●ひとり親家庭の就業支援に積極的に取り組む企業・団体を募集/厚労省

 厚生労働省は1日より、ひとり親家庭の就業支援に積極的に取り組む企業・
団体を表彰する「はたらく母子家庭・父子家庭応援企業表彰」の公募を開始した。
ひとり親家庭の親が働きやすい環境整備などの取組を促進すると同時に、
就業促進に向けた社会的機運を高めることを目的として2006年から実施
しているもの。募集期間は2023年1月31日まで。受賞企業・団体の発表は
2023年3月の予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28904.html

●「派遣先事業主・責任者研修会」/東京労働局

 東京労働局は12月14日、「派遣先事業主・責任者研修会」を港区で開催する。
労働者派遣事業の適正な運用を図るため、派遣労働者を受け入れている事業主を
対象としたセミナー。法制度について知りたい等、労働者派遣に関わる様々な
ルールも説明する。受講無料。定員20名。次回は2023年1月18日に同内容で開催予定。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/jyukyuuchousei_041214_00002.html

●「めざせ!海技者セミナー」を開催/国交省

 国土交通省は17日、「めざせ!海技者セミナー」を静岡市で開催する。
海運事業者による企業説明会、就職面接会及び中部運輸局による船員就職相談
を実施する。参加企業の一部はweb配信ツールを使用して会社説明を行う。
参加企業42者。参加無料。
https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji04_hh_000255.html

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【統計】
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●実質賃金は前年同月比2.6%減、7か月連続の減少/毎勤統計調査10月速報値

 厚生労働省は6日、10月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)
を公表した。現金給与総額は、就業形態計で前年同月比1.8%増の27万5,888円、
うち一般労働者が同1.9%増の35万7,332円、パートタイム労働者が同1.5%増の
9万9,556円。一方、現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金では、
前年同月比2.6%減。実質賃金の減少は7か月連続となった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2210p/dl/pdf2210p.pdf
(統計表等)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2210p/2210p.html

●二人以上世帯の消費支出、前年同月比実質1.2%増/10月家計調査報告

 総務省は6日、10月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの
消費支出は、実質で前年同月比1.2%増、前月比(季節調整値)1.1%増の29万8,006円。
支出項目別でのプラス寄与は、宿泊料、国内パック旅行費等の「教養娯楽サービス」
(0.86)が最高、次いで飲食代等の「外食」(0.39)、鉄道運賃等の「交通」(0.39)。
勤労者世帯の実収入(二人以上の世帯)は、1世帯当たり実質で56万8,282円
(前年同月比0.9%減)。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
(報道発表資料)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

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【労使】
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●定昇相当分を含め5%程度の賃上げを求める2023春季生活闘争方針を決定/連合中央委員会

 連合(芳野友子会長、687万8,000人)は1日、WEB方式を併用して千葉県・浦安市で
中央委員会を開催し、2023春季生活闘争方針を決定した。闘争方針は、来春の労使交渉で
経営側に求めていく月例賃金の引き上げ指標について、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)
を含め5%程度と設定した。連合が、定昇相当分を含めて5%以上の賃上げ要求を掲げるのは、
1995年以来28年ぶり。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20221207.html
(連合方針)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2023/houshin/data/houshin20221201.pdf
(報道資料資料)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2023/press_release/press_release_20221201.pdf

●2023春季生活闘争方針等についてコメント/経団連

 十倉経団連会長は5日の定例記者会見で、連合の春季生活闘争方針とJAM春季労使交渉
方針案について、「物価上昇分も加味して5%程度に要求水準を引き上げること自体に
驚きはない」とし、「物価上昇に負けない賃金引き上げは経営側の責務である。現下の
物価上昇を契機に、賃金と物価の好循環が実現するよう、2023年版の経営労働政策
特別委員会報告を通じて、会員企業に賃金引上げを呼びかけていきたい」と述べた。
中小企業の賃上げについては、「賃金引上げのモメンタムが広がっていく必要がある。
適切な価格転嫁が日本のサプライチェーン全体で起きることが理想であり、パートナー
シップ構築宣言の浸透に経団連は引き続き注力していく」と述べた。
https://www.keidanren.or.jp/speech/kaiken/2022/1205.html

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【動向】
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●国内景気は4か月連続で改善/民間調査

 帝国データバンクは5日、TDB景気動向調査(2022年11月調査)結果を発表した。
景気DIは前月比0.5ポイント増の43.1で、4か月連続の改善。新型コロナ第8波の
なかで、季節需要や観光関連が上向いた。今後は、海外経済の減速が懸念されるも、
観光関連などサービス消費を中心に、緩やかな改善傾向で推移するとみられる
としている。1年ぶりに全10業界で改善。クリスマスなど年末に向けた需要の
高まりが表れたほか、全国旅行支援などで「旅館・ホテル」など観光関連が好調を
維持したことも好材料となったことに加えて、公共工事の発注や大企業を中心
とする設備投資もプラスに作用した。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/k221201.html
(詳細)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/202212_jp.pdf

●仕入価格が「上昇した」企業は約8割、一方で販売価格を「引き上げた」企業は約4割/民間調査

 日本政策金融公庫は2日、飲食、理美容、ホテル・旅館業等を対象とした
「価格動向に関するアンケート調査」結果を発表した。仕入価格が前年に比べて
「上昇した」と回答した企業割合は76.6%(対前年調査比31.7ポイント増)。
業種別では、「ホテル・旅館業」(93.8%)、次いで、「飲食業」(92.3%)など。
経営悪化に「影響がある」とする企業が90.7%にのぼった。一方で、販売価格を
前年に比べて「引き上げた」企業は35.5%(同22.8ポイント増)。業種別では、
「食肉・食鳥肉販売業」(70.4%)が最高。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/seikatsu22_1202a.pdf

●2023年の「全国の周年企業」、100周年は2,649社/民間調査

 東京商工リサーチは2日、2023年に創業100周年(1923年創業)を迎える企業は、
全国で2,649社であると発表した。創業200周年(1823年創業)は9社。300周年
(1723年創業)は1社。400周年(1623年創業)は1社、それぞれ確認された。
一方、戦後生まれの創業50周年(1973年創業)は2万8,476社。産業別にみると、
創業50周年は「建設業」(1万89社、構成比35.4%)で最多、次いで「サービス業他」
(5,023社、同17.6%)、「製造業」(4,093社、同14.3%)、「卸売業」(2,989社、
同10.5%)、「小売業」(2,752社、同9.6%)など。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221202_01.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<ドイツ>
▽「ハルツ4」から「市民手当」へ

 求職者支援の刷新を図る「市民手当法案」が2022年11月25日、ドイツ連邦議会の
両院投票で可決、成立した。これにより現行の「ハルツ4(失業手当2)」は、
2023年から「市民手当」という新制度に移行する。ハルツ4が抱える課題を改善し、
「受給者が住み慣れた家や貯蓄を過度に失うことなく、将来的に長期に持続可能な
仕事に就く支援を可能にする」(ハイル労働社会相)仕組みに変える。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2022/12/germany_01.html

●実質賃金がインフレ高進で下落/ILO報告書

 ILOは12月2日、「世界賃金報告2021/22年版」を発表した。同報告書によると、
2022年上半期(1~6月)の世界の実質月額賃金は0.9%低下し、世界の実質賃金
上昇率がマイナスとなったのは2000年代では初めて。G20のうち先進国では2.2%減、
G20新興国では0.8%増となったものの、コロナ感染大流行前年の2019年と比較すると
2.6%の減少。また、深刻なインフレ危機と、ウクライナでの戦争やエネルギー
危機が世界的な経済成長の鈍化と結びつき、多くの国で実質月額賃金が著しく下落し、
中間層の購買力を低下させ、特に低所得世帯が大きな打撃を受けているとしている。
https://www.ilo.org/tokyo/information/pr/WCMS_863049/lang--ja/index.htm

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【イベント】
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●厚生政策セミナー「新型コロナウイルス感染症と生活困窮者支援―住まいの保障を考える」/社人研

 国立社会保障・人口問題研究所は12月15日、第27回厚生政策セミナー「新型コロナウイルス
感染症と生活困窮者支援―住まいの保障を考える」をオンラインで開催する。我が国の住宅困窮
に係るデータ分析、コロナ禍における居住確保支援策の現状や課題、住宅政策に係る国際比較
などを通じて、生活困窮者支援における住まいの確保のための支援策のあり方、それを支える
ための研究上の課題など議論する。参加無料(要予約)。
https://www.ipss.go.jp/seminar/j/seminar27/index.html

●「自律型キャリア開発勉強会」/JADA

 一般社団法人中高年齢者雇用福祉協会(JADA)は12月22日、企業経営者や人事担当者を
対象とした第2回「自律型キャリア開発勉強会」をオンラインで開催する。社員のキャリア
自律支援に取り組んでいる企業の事例紹介、企業が抱える課題や悩みを深掘りして議論する
座談会、および来年1月中旬に開催予定の公開講座「JADA【自律型】キャリア開発研修」の
紹介を予定している。参加無料。
http://www.jada-prep.jp/jiritsubenkyo3.pdf

●「2023春闘セミナー」/日本生産性本部

 日本生産性本部は20223年1月13日、「2023春闘セミナー~今次労使交渉をめぐる
課題と展望~」を会場(新宿区)とオンラインで開催する。2023年春季労使交渉に関して、
主要産別のトップリーダーから春季労使交渉に臨む考え方や方針、交渉の焦点を聞く。
対象は労使幹部・人事労務実務担当者。参加費46,200円。
(会場)
https://www.jpc-net.jp/seminar/detail/006092.html
(オンライン)
https://www.jpc-net.jp/seminar/detail/006098.html