メールマガジン労働情報 No.1804

■□――【メールマガジン労働情報/No.1804】

「労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題」について分析/2022年版労働経済白書 ほか

―2022年9月7日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】「労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題」について分析/2022年版労働経済白書 ほか
【統計】現金給与総額、前年同月比1.8%増、実質賃金は1.3%減/毎勤統計調査7月速報値 ほか
【動向】季節需要がプラス材料になり、景気は改善/民間調査 ほか
【海外】失業保険特例措置の終了と雇用への影響を分析―連邦準備銀行/アメリカ ほか
【イベント】9月は「障害者雇用支援月間」/JEED ほか

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【新型コロナウイルス関連情報】
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☆JILPTリサーチアイ 第74回
 「職場における感染防止をめぐる法政策─ドイツにおけるコロナ労働保護規則の変遷を追う」
 労働法・労使関係部門 主任研究員 山本 陽大(9月7日)

 2020年初頭以降における新型コロナウイルス感染症の世界的流行を契機として、
ここ数年の間、各国の労働政策においてはコロナ危機への対応が中心となっている。
このような政策領域は非常に多岐にわたるが、おおまかにいえば、コロナ禍に起因する
事業縮小や休業時の雇用保障・所得保障(フリーランスに対するものを含む)に関する
ものと、テレワークの実施をはじめとする職場における感染の防止に関するものとに
区分することができよう。諸外国においては、上記のうち後者の政策領域についても
積極的に立法によって対応しようとする例がみられる。なかでも、ドイツにおいては、
2021年1月に「コロナ労働保護規則」が制定されており、それによって、職場での
感染防止のために使用者が講じるべき措置が、法的に規制されている。
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/074_220907.html

▽最近の更新情報(9月6日更新)

 国内統計:賃金
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c10.html

 国内統計:総実労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c11.html

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【JILPTからのお知らせ】
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☆労働政策フォーラム「転職と中途採用について考える─キャリア採用の取組を中心に」の動画配信!

 7月に開催した労働政策フォーラム「転職と中途採用について考える─キャリア採用の取組を中心に」
の開催当日の動画をYouTubeでご視聴いただけます。
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20220726/video/index.html
(当日の配布資料)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20220726/resume/index.html

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【行政】
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●「労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題」について分析/2022年版労働経済白書

 厚生労働省は6日、2022年(令和4年)版「労働経済の分析」(労働経済白書)
を公表した。分析テーマは「労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた
労働移動の促進に向けた課題」。白書では、介護・福祉分野やIT分野の人材の
需要の高まりなど、労働力需要の変化に対して外部労働市場を通じた労働力需給の
調整が今後重要であること、キャリアコンサルティング等を通じた主体的な
キャリア形成の意識付けや自己啓発によるスキルの向上等が、転職などの
キャリア形成の希望をかなえる重要な要素であること、などを指摘している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27381.html
(概要)
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000981627.pdf
(本文)
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/21/21-1.html

●10~11月の小学校休業等対応助成金等の内容を公表/厚労省

 厚生労働省は2日、10~11月の小学校休業等対応助成金・支援金の内容
について公表した。支給日額は、助成金が原則8,355円、特例地域1万2,000円を
上限とし、支援金は定額で、原則4,177円、特例地域6,000円。施行には省令改正等
が必要のため、現時点での予定としている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27766.html
(助成金・支援金の改正内容)
https://www.mhlw.go.jp/content/11911000/000984350.pdf

●2022年度「地域雇用活性化推進事業」の採択地域、10地域を決定/厚労省

 厚生労働省は8月31日、2022年度「地域雇用活性化推進事業」の採択地域として、
北海道、宮城県等の10地域を決定した。「地域雇用活性化推進事業」は、雇用機会が
不足している地域や過疎化が進む地域が、その特性を生かして「魅力ある雇用」や
「それを担う人材」の維持・確保を図るために創意工夫する取組みを支援するもの。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27556.html

●第6回「テレワーク・セミナー」を開催/厚労省

 厚生労働省は10月7日、第6回「テレワーク・セミナー」をオンラインで開催する。
テレワークを導入するに当たって、必要な労務管理、ICTにおける留意点、テレワークの
活用方法、導入企業の事例等を説明するとともに、テレワーク導入企業の体験談なども
紹介する。「個別相談会」も実施予定。参加無料。定員200人(先着順)。
https://kagayakutelework.jp/seminar/2022/1007.html
(チラシ)
https://kagayakutelework.jp/seminar/pdf/telework_seminar_2022_1007.pdf

●「めざせ!海技者セミナー」を開催/国交省

 国土交通省は17日、「めざせ!海技者セミナー」を愛媛県今治市で開催する。
海運事業者による企業説明会、就職面接会及び四国運輸局による船員就職相談を実施する。
当日、会場に来られない方に向けて、オンラインによる企業説明を実施する予定。
参加無料。
https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji09_hh_000147.html

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【統計】
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●現金給与総額、前年同月比1.8%増、実質賃金は1.3%減/毎勤統計調査7月速報値

 厚生労働省は6日、7月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)
を公表した。現金給与総額は、就業形態計で前年同月比1.8%増の37万7,809円、
うち一般労働者が同1.7%増の50万828円、パートタイム労働者が同3.0%増の
10万6,167円。一方、現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金では、
前年同月比1.3%減。消費者物価の上昇の寄与がマイナス3%超となったことによる。
実質賃金の減少は4か月連続となった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2207p/dl/pdf2207p.pdf
(統計表等)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2207p/2207p.html

●二人以上世帯の消費支出、前年同月比実質3.4%増/7月家計調査報告

 総務省は6日、7月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの
消費支出は、実質で前年同月比3.4%増、前月比(季節調整値)1.4%減の28万5,313円。
支出項目別での実質増減へのプラス寄与は、「住居」(1.20%)、「教養娯楽」(1.04%)、
「交通・通信」(1.03%)など6費目、マイナス寄与は、「食料」(マイナス0.39%)、
「家具・家事用品」(マイナス0.30%)など3費目。勤労者世帯の実収入(二人以上の世帯)は、
1世帯当たり実質で前年同月比4.6%減の65万7,263円。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
(報道発表資料)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

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【動向】
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●季節需要がプラス材料になり、景気は改善/民間調査

 帝国データバンクは5日、TDB景気動向調査(2022年8月調査)結果を発表した。
景気DIは前月比0.1ポイント増の41.4で、2か月ぶりに改善。「サービス」「不動産」
など5業界が改善、「運輸・倉庫」「卸売」など5業界が悪化、「情報サービス」
などデジタル関連は堅調に推移した。8月の国内景気については、「順調な季節需要や
デジタル関連需要の拡大など、小幅ながら2か月ぶりに上向きへと転じた」とし、
今後については、「通常の状態に戻ろうとするなかで、下方圧力を内在しつつも
おおむね横ばい傾向で推移するとみられる」としている。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/k220901.html
(詳細)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/202209_jp.pdf

●転職時に重視する条件、「テレワーク制度の導入」が35%/民間調査

 NTTデータ経営研究所は5日、「新型コロナウイルス感染症と働き方改革」
調査結果を発表した。転職時に重視する条件を尋ねたところ、「テレワークが
導入されている、または許可される頻度が高いこと」は35.4%となり、最も重視
される条件の「給与水準が高い」(38.5%)の次に高く、「自身の目指すキャリアと
業務内容が合致している」(31.5%)を上回った。テレワーク制度の導入有無が
転職を決める際の重要な要因となっているとしている。働き方改革の取り組みでは、
「テレワーク制度」(58.9%)と「休暇取得の推進」(53.8%)が、継続してほしい
施策として最も多く挙がっている。
https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/220905.html
(調査結果詳細)
https://www.nttdata-strategy.com/assets/pdf/newsrelease/220905/Surveyresults.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<アメリカ>
▽失業保険特例措置の終了と雇用への影響を分析―連邦準備銀行

 セントルイスとサンフランシスコの連邦準備銀行はこのほど、コロナ禍における
失業保険給付の特例措置の終了に伴う雇用への影響について分析した論文を
それぞれ発表した。セントルイス連銀の論文は、特例措置の終了後、失業保険
受給者数が100件減少するごとに、約35人分の雇用が増加していることを指摘し、
「給付の終了に対して、強力かつ迅速な雇用の反応がみられた」と評価。
一方、サンフランシスコ連銀の論文は、企業の採用率や求人率の動きに注目し、
「特例措置の終了が雇用に及ぼす影響は軽微だった」との見方を示している。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2022/09/usa_01.html

▽ギグ・ワーカーに「最低報酬」を保障―シアトル市などで条例制定

 シアトル市のブルース・ハレル市長は6月13日、スマートフォンのアプリを使用して
食品・料理の宅配(フードデリバリー)業務などに従事するギグ・ワーカーに
「最低報酬(minimum pay)」を保障する条例案に署名した。1年半後(2023年末)
までに実施する予定。乗客輸送(ライドシェア)のギグ・ワーカーに対する最低報酬の
支払い義務化は、すでに同市やニューヨーク市で施行している。これらの条例は
ギグ・ワーカーを雇用労働者ではなく個人請負として扱い、その就業環境を保護する
ことを目的とする。対象者は失業保険など労働法による保護の枠組みから外れるため、
労働組合の賛否は分かれている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2022/09/usa_02.html

<中国>
▽直接的な救済に代わる就業機会を提供―地方の貧困対策で国家発展改革委

 中国政府の国家発展改革委員会は7月5日、「救済に代わる主要プロジェクト
を通じた就業支援の積極的な実施による地域住民の就業及び増収促進に関する
作業計画」を発表した。地方の貧困対策として、支援金や救援物資等で直接的に
救済する代わりに就業機会を提供する方針(中国語で「以工代賑」)のもとで、
雇用の受け皿となる建設等のプロジェクトの実施を提唱。その内容や基準を
明確化するとともに、すべての地域と関連部門に対し、当該地域の農民工
(農村戸籍を持つ出稼ぎ労働者)らにこうした雇用機会を提供し、所得の増加を
もたらすよう促している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2022/09/china_01.html

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【イベント】
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●9月は「障害者雇用支援月間」/JEED

 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)は、9月の「障害者雇用支援月間」
において、事業主のみならず、広く国民に対して障害者雇用の機運を醸成するとともに、
障害者の職業的自立を支援するため、厚生労働省、都道府県と協力して、さまざまな
啓発活動を展開している。月間では、「障害者雇用優良事業所等全国表彰式」、
「絵画・写真コンテストの入賞作品の紹介」、「障害者雇用職場改善好事例の案内」
などを行う。
https://www.jeed.go.jp/disability/activity/education/index.html

●復職・就労支援のための「リワーク」に関する説明会/東京都

 東京都は9月28日、「リワーク」に関する説明会をオンラインで開催する。
「リワーク」とは、心の健康問題により休業した労働者が、職場に復帰する
際に行う準備のこと。第1部の「復職コース」では、紹介動画の視聴、
リワークの特徴、コンサルティング事業について説明し、第2部の
「就労/復学・進学コース」では、紹介動画の視聴、高次脳機能障害者向け
プログラム、復学コースを紹介し、復職・就労のための支援を行う。
対象は、都内企業及び関係機関のメンタルヘルス部門担当者等。職場での
精神保健福祉に関する問題に対して助言・相談も行う。参加無料。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/chusou/oshirase/deikeasetsumeikai2.html

●「シニア人材の活かし方オンラインセミナー」/千葉県ジョブサポートセンター

 千葉県ジョブサポートセンターは9月22日、「シニア人材の活かし方
オンラインセミナー」を開催する(11月17日にも同一内容で開催)。
これからのシニア人材の重要性やシニア人材の活かし方など、具体的な
事例を交えて解説する。参加無料。対象は県内企業の経営者及び採用担当者。
定員は20名程度(事前予約制)。
https://www.chiba-job.com/event/3594

●シンポジウム「副業のリアル~会社の枠を超える正社員~」/リクルートワークス研究所

 リクルートワークス研究所は9月22、28日の両日、シンポジウム「副業のリアル
~会社の枠を超える正社員~」をオンラインで開催する。「エビデンスに基づく
『副業解禁』の実践(9月22日)、「新たな人材活用施策『副業受入れ』」(28日)を
テーマに、研究報告とともに、すでに制度解禁や人材活用を実践中の企業や専門家より、
事例や副業推進のポイントを紹介する。参加無料。
https://www.works-i.com/column/seminar/20220922.html