労働組合のない企業における過半数代表者の役割─労働条件をめぐる労使コミュニケーションとの関連に着目して

要約

岩月 真也(JILPT研究員)

本稿では,労働組合のない企業における労働条件をめぐる労使コミュニケーションと過半数代表者の役割の実態を明らかにし,両者の関連および過半数代表者の活動を支える仕組みを検討した。その結果,第一に,労働条件をめぐる労使コミュニケーションの形態として,委員会・会議,意見交換会,日常的な声かけが確認され,処遇,労働時間,休暇,36協定,就業規則などが協議されていた。第二に,過半数代表者には,36協定の内容確認と署名・捺印のみを行う限定的な役割と,意見集約や協議も行う多様な役割が確認された。前者には時間外労働の少なさや委員会・会議の存在が,後者には時間外労働の多さ,労使コミュニケーションの方針,過半数代表者が直接参加する委員会・会議や意見交換会の存在が関連していることが示唆された。第三に,意見交換会で従業員の意見を集約し,協議結果を把握したうえで36協定の締結や就業規則の改定に関与する事例が確認され,意見交換会と多様な役割との関連が示唆された。第四に,活動時期・時間を限定する運用や安全総務グループ担当者による補助が,過半数代表者の負担軽減に資する仕組みとして示唆された。以上をふまえ,今後の労使コミュニケーションのあり方を検討する視点として,過半数代表者の役割を労使コミュニケーションとの関連の中で捉えること,その活動を支える仕組みや労働条件に関する情報公開のあり方に着目することを提示した。


2026年11月号(No.796) 特集●「ノンユニオン職場」における労働条件決定─労使コミュニケーションの可能性と限界

2026年10月26日 掲載