柔軟な働き方と働く環境における従業員の能動性の意義─境界管理とオフィス活用に関する研究展望
要約
2020年前後から日本企業でも働き方や働く環境の柔軟性が増している。たとえば,共働きが一般的になる中で仕事と家庭の両立が課題となり,テレワークのように公私一体となりやすい柔軟な働き方は,両立を支える要因にも,阻害する要因にもなりうる。また物理的な働く環境,主にはオフィス空間をめぐっても,フリーアドレス制の導入や,オフィス内に多様な活動を支える空間を設けるなど,空間設計の自由化や多様化が進んでいる。こうした働き方と働く環境の柔軟性は,総じてそこで働く労働者が自律性を発揮できる余地を増すものであるほか,自律性を発揮してこそ有効活用されるものであるともいえる。そこで本稿では,仕事と家庭の両立という「働き方」と,オフィス空間に代表される「働く場所」の2つのテーマに関して,テレワークや前述の自律性の要求などとの関連を含めて研究レビューを行う。特に近年これら2つのテーマの双方で注目される,労働者自らが自分に最適なバランスを求めて能動性を発揮するという,いわば環境のクラフターとしての労働者のあり方(e.g., 境界管理戦術,オフィス空間の使いこなしの工夫)の重要性についても関連する先行研究を紹介し,今後の研究の展望を論じる。
2026年8月号(No.793) 特集●ジョブ・クラフティングを問い直す
2026年7月27日 掲載


