日本における「休み方・働き方」の課題と改善策
要約
日本で過労が増加し労働生産性が低迷している背景には,「休み方」(休日と休息時間の量と質)の課題がある。まず「休日」の課題として,OECD諸国に比べて有給休暇の取得日数(量)が少なく,法定祝日の割合が高いため混雑しやすい(質が低い)ことが挙げられる。この解決には,祝日の代わりに別日を自由に選べる「フレックス休暇」の導入促進などが有効である。次に「休息時間」の課題として,日本人の睡眠時間(量)はOECD最短であり,脳の機能維持に必要な8時間を下回っている。睡眠不足は酒気帯び状態と同等まで認知的能力を低下させ,生産性を阻害する。国内実証研究によれば,デジタル化等で労働時間を短縮し睡眠を確保することは,企業の利益率向上につながる。睡眠不足の背景には,残業割増率が25%と低いため企業がデジタル投資よりも残業を優先し長時間労働をさせる現状がある。平均的な人で最適な「8時間労働・8時間睡眠・8時間余暇」という時間配分に向けた解決策として,「残業割増率の欧米並みの50%への引き上げ」などでデジタル化を促すことが有効である。労働時間の短縮は,知的能力が世界トップレベルの日本の女性・若者や,欧米からの高度人材の採用につながり,人手不足解消と生産性向上という副次効果をもたらす。さらに,「フレックスタイム」や「時間単位有休」の導入促進により,労働時間や余暇時間の質を高めることも有益である。以上の「休み方」の改善策により,過労と低生産性という日本の社会課題が解決に向かうと期待できる。
2026年5月号(No.790) 特集●生活時間と休み方から読み解く労働
2026年4月27日 掲載


