勤務間インターバルをめぐる議論の検討─労働からの解放の保障

要約

石﨑 由希子(横浜国立大学教授)

EU労働時間指令においては,勤務間インターバルの規制が設けられているが,日本において,勤務間インターバルの確保は基本的には事業主の努力義務である。事業主に努力義務を課す規定は,2018年の労働時間等設定改善法の改正により追加されたものであり,この間,勤務間インターバル制度の導入の推進に向けた取り組みも行われてきたが,導入企業割合は低い状況に留まっている。勤務間インターバルの義務化に向けた議論は,これまで立法過程ないし政策立案過程あるいは学界においてなされてきたが,今日に至るまで,一致した方向性は見出されていない。本稿では,EU労働時間指令及び日本の現行制度・諸政策の内容のほか,勤務間インターバルの義務化に関する国会,厚生労働省の審議会・研究会,学界における議論を確認した上で,この点に係る論点を整理した。その上で,勤務間インターバルには,健康確保だけでなく,生活時間の確保という観点から重要な意義を持つものであり,全ての労働者を対象とし,11時間以上の勤務間インターバル確保を目指して制度設計がなされるべきこと,他方,事業上の支障等に応じて,労使合意による基準からの逸脱も認められるべきであるが,その際には代償休息の確保が必要となること,義務化は段階的に進められるべきであり,まずは望ましい勤務間インターバル制度の内容について,労使の協議等を促進すべきことなどを私見として示した。


2026年5月号(No.790) 特集●生活時間と休み方から読み解く労働

2026年4月27日 掲載