時間のジェンダー不平等─研究の現状とその課題・展開の方向性
要約
日本社会では家事に費やす時間が男性より女性で長いといった時間の男女差があり,日本社会がジェンダー不平等な状況にあることの論拠として引用されることが多い。すなわち従来の研究において,時間のジェンダー不平等とはおもに家事や市場労働といった,特定の活動に費やされた時間の長さの男女差と等しいと考えられてきた。しかし,時間はいつ,どこで,どのように,どれくらいの時間を過ごしたかなど複数の視点から分析することができる。本稿では,さまざまな活動に費やす時間の長さと仕事・家事・育児の時間帯別の行動者率から,日本社会における女性と男性の生活時間を検討し,「活動に費やす時間の長さ」以外の側面の重要性をⅡで示す。Ⅲでは生活時間研究を概観する。そのうえで,時間のジェンダー不平等がもっぱら活動に費やす時間の長さから検討されてきたのは,時間の長さ以外の側面から時間のジェンダー不平等を検討した実証研究の知見が,時間のジェンダー不平等という包括的な枠組みで捉えられてこなかったためであると指摘する。Ⅳでは時間のジェンダー不平等の社会学的な研究を展開するためには,時間の社会学が時間の不平等をどのように扱ったのか,またジェンダーの議論は時間の多様性を議論に組み込めたのかを検討する必要があると述べる。
2026年5月号(No.790) 特集●生活時間と休み方から読み解く労働
2026年4月27日 掲載


