同型的な施策導入?─日本企業におけるフレキシブル施策導入の規定要因
要約
フレキシブルな働き方を可能にする施策(フレキシブル施策)の導入が大企業を中心に進められている。こうした施策の利用機会は企業や雇用形態によって異なることが指摘されてきた一方で,日本企業において,どのような要因が施策の導入を規定してきたかを検討した研究は少ない。そこで本稿は,フレキシブル施策の導入に至る要因の1つを,制度的同型化の理論に基づいて予想した。そして,2000年代後半から2020年代前半までの国内大企業パネルデータを分析し,この予想を可能な限り厳密に検証した。分析の結果,日本国内の有名大企業について,自社と同産業でフレキシブル施策の導入が進むと,その企業の施策導入も促進されていた。さらに,多様な人材の登用を目的とする専任部署(ダイバーシティ部署)が設置されている企業では,こうした同産業からの影響がより顕著になっていた。この結果は,日本企業におけるフレキシブル施策の導入が,制度的同型化,具体的には模倣的同型化および規範的同型化で説明できるという予想と整合する。こうした施策は,自社の業務効率性を高めるためだけでなく,組織フィールドにおける制度的圧力への対応としても導入されていたことが示唆される。
【キーワード】人事労務一般,労働時間・休日休暇,産業・企業
2026年2・3月号(No.788) 公募特集●フレキシブルな働き方の実態・影響・課題〈論文(投稿)〉
2026年2月25日 掲載


