警備員の労働に関する法律上の諸問題

要約

大石 玄(富山県立大学教授)

警備員の労働には,監視のために待機している時間が長い形態のものがあり,宿直勤務の場合は仮眠時間を含む長時間の就労になることもある。本稿ではまず,警備員の働き方の特殊性として「断続的労働」の問題を取り上げる。1947(昭和22)年の制定以来,労働基準法41条3号に該当すると認められれば,労働時間・休憩・休日に関する規定の適用が除外される仕組みが設けられている。しかしながら,手待時間が長くあるといっても在社時間が長ければ,長時間労働がもたらす健康への影響が懸念されることになるし,私生活の確保にも支障をもたらしかねない。本稿では,同じく断続的な労働である医療・福祉関係の働き方も踏まえ,労働基準法41条の適用除外制度について再考する。さらに,警備労働にまつわる法律問題として,労働者派遣法における特殊な取り扱いや,被保佐人を欠格事由としていた警備業法の規定についても言及する。


2025年11月号(No.784) 特集●警備の世界における労働問題

2025年10月27日 掲載