1947年教育制度改革に伴う教育年数の延伸と就学率の変化
要約
本稿の目的は,義務教育年数を8年から9年に延伸した1947年の教育制度改革によって,中学校3年相当の15歳の子どもの就学率がどのように変化したのかを記述的に捉えることにある。多くの既存統計では,これらの子どもの数を改革前後で一律に比較することができず,本改革により実際に教育年数が延伸したのか,その規模がどの程度であったのかが明らかでない。本稿では,『文部省年報』(文部省)及び『人口推計』(総務省)を使用し,旧制及び新制の学校区分と学年を照らし合わせ,15歳の子どもの就学率を算出した。集計に先立ち,改革前の義務教育修了状況を精査すると,改革前からすでに約9割の子どもが8年間の義務教育を受けていることが確認された。集計の結果,改革後15歳時点就学率が77.2%から94.0%まで上昇しており,男子は13.5%ポイント,女子は20.0%ポイント上昇したことから,実態としても義務教育9年制が確立していたことが示された。また,本改革は改革前に存在した就学率の男女差の縮小にも寄与したことがわかった。
【キーワード】労働政策一般(社会政策を含む),教育訓練政策
2025年6月号(No.779) ●研究ノート(投稿)
2025年5月26日 掲載