論文要旨 韓国における女性の労働市場参加の現状と政府対策
─積極的雇用改善措置を中心に

金 明中(ニッセイ基礎研究所研究員)

韓国政府は、女性の雇用拡大及び差別改善のため、2006年3月1日から積極的雇用改善措置制度を実施している。積極的雇用改善措置の実施により、女性従業員や女性管理職比率が徐々に上昇しており、職階における男女間の格差が少しずつ縮まっている。積極的雇用改善措置の適用対象企業は男女労働者の現状を報告する義務がある。しかしながら現在のシステムは職階や職種を基準に資料を提出することになっており、実際に女性の雇用増加が正規職の増加によるものか非正規職の増加によるものかを把握することは難しい。つまり、質的な側面で女性の雇用が改善されているとは言いにくい。女性労働者の相当数が非正規労働者として働いている現実を考慮すると、女性関連雇用政策を単純な量的増加よりは質的改善を重視する政策に切り替えて行く必要がある。韓国史上最初の女性大統領である朴槿惠氏が今後どのような女性雇用政策を行うか、今後の動きが注目されるところである。

2014年特別号(No.643) 自由論題セッション●第3分科会(労働市場と労働法制)

2014年1月24日 掲載