論文要旨 「声」をあげる企業別組合

南雲 智映(連合総合生活開発研究所研究員)

本稿では2000年代に経営側に対して「声」をあげ、交渉力を発揮した企業別組合の事例を3つ取り上げ、その「声」のあげ方と争議を行える能力に着目して分析を行った。

具体的な「声」のあげ方はさまざまであったが、いずれの事例においても企業別組合は、上部団体の手助けを借りながら、労働条件交渉や敵対的な経営者への対抗のために集団的労使紛争を起こすことを匂わせ、また実際に起こしていた。

集団的労使紛争は減少しており、破壊的な紛争は生じにくいと考えられるが、現代でも企業別組合はいざという時に「声」をあげることが可能である。ただし、集団的に「声」をあげることができない未組織労働者が増加しているため、彼らの組織化が求められる。

2013年特別号(No.631) メインテーマセッション●労使紛争の現状と政策課題

2013年1月25日 掲載