論文要旨 教員のキャリア形成を校長はどう考えているか
─首都圏私立中高校長50人へのインタビュー調査結果の分析

古市 好文(法政大学大学院政策創造研究科博士後期課程)

本研究の考察対象は私立教員のキャリア形成である。首都圏中高校長50名にインタビューを実施した。木下(1999, 2003)の修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの分析方法を採用し、分析ワークシートを用い、概念とカテゴリーを生成した。その結果、8カテゴリーと32概念が生成された。

分析の結果、私学は、組織規模が小さく、生徒確保と独自性維持という課題があり、私学固有の問題やマイナス要因も存在する。校長がコントロール機能をもったキーパーソンであり、校長の視点は、学校経営と教員のキャリア形成を結びつけて考え、双方がうまくいくことである。

また、少子化と競争市場の中で、学校教育の見直しを全学的におこない、積極的に献策や意見を採り入れ、参加型組織の活性化を図る。学校ごとの異動がない小さな内部労働市場のなかで、教員のキャリア形成に必要な機会と環境を整備し、教員の質の確保に腐心し、教員を手塩にかけて育てる。私学の教員キャリア形成は公立とは大きく異なる。

2013年特別号(No.631) 自由論題セッション●Bグループ

2013年1月25日 掲載