資料シリーズ No.152
雇用保険業務統計分析Ⅱ

平成27年5月27日

概要

研究の目的

雇用関連の統計指標としての雇用保険データの活用拡大の可能性を探るため、適用・給付等のさまざまなデータについて、他の経済統計との関係も含めて動きを分析する。

研究の方法

雇用保険事業年報その他各種統計報告書、政府統計の各Webサイト等から統計を入手し、時系列変化をみる。総務省「労働力調査」による雇用、失業統計と被保険者数や受給者数の動きを比較するなど、前回「雇用保険業務統計分析」(2013年)からさらに踏み込んだ。産業別、都道府県別にもみた。また、月次データのあるのが雇用保険データの特徴の一つであり、今回は月次変化についても、系列相互の、或いは他の雇用失業指標、景気変動を表す指標との先行、遅行の状況等をみた。

主な事実発見

報告書は年度統計と月次統計の2章からなり、年度統計は中長期的な動きをみる観点から、月次統計は月々の短期的な動きをみる観点から、それぞれまとめてある。被保険者数や各種失業等給付の動きをほぼ網羅的にみた。

以下、月次統計の章から、特徴的な結果をいくつか選び紹介する。

  1. 被保険者数と労働力調査による雇用者数

    図表1 前年同月比

    図表1画像

    被保険者数の動きを総務省「労働力調査」による雇用者数の動きと比べると、

    ○雇用者数よりも総じて遅行

    ○雇用者数に比べてなめらかに変動

    ○増加トレンドがある(増加トレンドについては第1章で詳述)

  2. 被保険者資格喪失者数(一般被保険者)――喪失理由により動きが逆

    図表2 事業主都合 資格喪失者数 季節調整値とTC要素

    図表2画像

    事業主都合

    不況期に増加(1997~98年、2001年、2008年後半)、

    回復・拡大期に減少(1999~2000年、2002年~2006年)

    図表3 事業主都合以外 資格喪失者数 季節調整値とTC要素

    図表3画像

    事業主都合以外

    景気回復・拡大期に増加、不況期に減少

  3. 事業主都合の資格喪失は、景気動向指数と比較すると、逆サイクルで、やや先行して動く。

    図表4 

    図表4画像

    内閣府
    「景気動向指数」
    前年同月比と景気動向指数の水準との相関係数
    先行指数 -0.647996
    一致指数 -0.543315
    遅行指数 0.013631
  4. 事業主都合の資格喪失者数に1月程度遅れて、特定受給資格の初回受給者数が動く。

    図表5

    図表5図表

      前年同月比の相関係数
    当月 0.9011
    1月前 0.9543
    2月前 0.8982
    3月前 0.7747
  5. 事業主都合以外の資格喪失は、求人に連動し、遅れて動く。

    図表6 

    図表6画像

政策的インプリケーション

被保険者数や基本手当受給者数の統計は、動きに景気との相関が認められ、経済指標として活用が期待できる。

政策への貢献

被保険者や失業等給付についてほぼ網羅的にみており、それぞれの特徴をできる限り露わにしているので、政策企画立案や日常業務の基礎資料としての活用はもとより、経済の動きをみるうえで雇用保険データを使う際の参考資料として活用いただけるものと考える。

本文

  1. 資料シリーズNo.152全文(PDF:3.3MB)

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研究の区分

課題研究「雇用保険業務統計分析」

研究期間

平成26年度

執筆者

石原 典明
調査・解析部情報統計担当部長

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