資料シリーズ No.121
中国進出日系企業の基礎的研究

平成25年5月31日

概要

研究の目的

今後、よりいっそうアジア、とりわけ中国との関係が円滑に緊密化し、わが国の経済状況に寄与するものとなるよう、正確な情報収集が必要である。中国社会の全体的な変容の構図と、その中で進出日系企業が直面する問題を整理検討し、ヒアリング調査をはじめ、今後の調査枠組みを考えるための基礎資料とする。

研究の方法

文献研究

主な事実発見

  1. 中国社会全体で社会的な中間集団の空白化が進み、社会的な調整能力が減少している。
  2. 階層や都市−農村の間の格差が拡大し、それらが次世代の格差を再生産している。職場においては、代表的な中間集団であった工会も十分には機能していない。

図表 2000年以降の経済発展と階層間格差の拡大

図表画像

  1. 非正規雇用者の増加など、雇用形態の多様化が進むと共に、沿海部の労働力不足による賃上げ圧力や、若年労働者の権利意識の増大などから、これまでの雇用システムが変容を迫られている。
  2. 外資系企業の中でも、とりわけ日系企業においてストライキが集中していることについての検討はさらに進める必要がある。その理由は、これまでにも日系企業が現地化を促進してもなお、欧米企業と比べた場合、その人事管理システムが魅力的ではないことなどが指摘されてきた。しかしながら、単なるストライキにとどまらずなぜ暴動にまで展開したのか、そして、地域によりなぜここまで大きな差異が生じたのかを含め、日系企業に関わる問題をより広い視野から検討していく必要がある。

政策的インプリケーション

アジア地域、中でも中国の動向情報は、わが国の雇用・労働の状況を考える際不可欠の情報となっており、労働政策の企画・立案などのための基礎情報として活用されることが期待される。

政策への貢献

中国の労働事情は急速に変化しつつあり、進出日系企業においてはそれに対応した的確な人事管理の実施が求められている。人事管理を取り巻く社会経済的な背景を含め、人事管理システムの変容を明らかにしながら、それへの対応の方向性を提示することを通して、あり得べき政策を探る上で重要な基礎情報を提供する。

本文

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研究の区分

プロジェクト研究「我が国を取り巻く経済・社会環境の変化に応じた雇用・労働のあり方についての調査研究」

サブテーマ「中国班―中国進出日系・韓国系企業と中国企業との人事管理に関する比較研究」

研究期間

平成24年度

執筆担当者

田中 重好
名古屋大学大学院環境学研究科教授
唐  燕  霞
愛知大学現代中国学部教授
中村 良二
労働政策研究・研修機構 主任研究員

入手方法等

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