資料シリーズ No.89
労働力需給の推計
―新成長戦略(2010年6月18日閣議決定)に基づく将来推計―
概要
研究の目的と方法
- 経済構造、労働力需要・供給構造の変化に関する分析の基礎として、労働力需給推計データを提供することにより、我が国の今後の雇用政策の立案に資する。
- 「日本の将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所2006年12月中位推計)と政府の「新成長戦略」(2010年6月18日閣議決定)の目標値を踏まえた2020年の産業別の就業者数を、次の3ケースにわけて産業連関モデルと労働力需要関数によるシナリオ分析により推計した。また、同戦略の目標値に基づき、性・年齢階級別就業率の推計も行った。
Ⅰ) 基本ケース:「新成長戦略」による追加需要を考慮し、近年の最終需要の変化を反映してトレンド延長推計を行ったケース
Ⅱ) 参考ケース1:2005年における産業構造がいずれも2020年まで一定であるケース
Ⅲ) 参考ケース2:2020年における産業構造をRAS法(産業連関分析に用いられる手法)によって直接推計したケース
注)性・年齢階級別就業率は、上記の各ケースで共通となっている。
主な研究成果
- 政府の2020年の就業率目標57%に基づいて算出した就業者数は、6227万人(2009年比55万人減)であり、その産業別構成を推計し、2009年と比較すると、増加する産業は医療・福祉(基本ケース:230万人増)、情報通信業(基本ケース:100万人増)、および輸送用機械器具製造業(基本ケース:23万人増)などと見込まれる。
- 2020年の就業者数が2009年と比較して減少する産業は、飲食店・宿泊業(基本ケース:93万人減)や卸売・小売業(基本ケース:68万人減)などと見込まれる。
- 性・年齢階級別就業率については、性・年齢階級別にみるといずれの階級においても、2009年と比較して上昇する推計結果となっている。ただし、人口の高齢化の影響で、男性全体の就業率は2009年水準から低下している。
図表1 産業別就業者数の概要(単位:万人)
図表2 性・年齢階級別就業率(単位:%)
注)1. 2009年は総務省統計局『労働力調査』による実績値、2020年は推計値。
2. 「その他の製造業」は、ここで明示している製造業以外のものを指しており、日本標準産業分類のその他の製造業に加え、窯業・土石、鉄鋼、金属製品などの素材産業も含んでいる。
政策への貢献
- 本研究は、政府の新成長戦略の政策目標を前提とし、産業別就業者数及び性・年齢階級別就業率の推計を実施したものであり、今後の雇用政策の企画・立案に活用されることを予定している。
本文
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- 表紙・まえがき・執筆担当者・目次・労働力需給推計研究会 名簿(PDF:690KB)
- 第1章 研究の目的
第2章 研究結果の概要
第3章 労働力需給推計モデル
第4章 今後に向けて
補論 RAS 法による将来の産業連関表の推計(PDF:1.0MB) - 付属資料(PDF:686KB)
研究期間
平成22年度
執筆担当者
- 久古谷敏行
- 労働政策研究・研修機構 調査・解析部長
- 中野 諭
- 労働政策研究・研修機構 研究員
お問合せ先
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- 研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム