調査シリーズNo.247
雇用保険未適用である短時間労働者の実態に関する調査
概要
研究の目的
女性や高齢者等の労働参加が進む中で、働き方の多様化が進んでおり、また、新型コロナウイルス感染症は雇用にも大きな影響を及ぼした。こうした中で、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築が求められている。令和5年6月16日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」においては、雇用保険の適用拡大について検討することが盛り込まれた。こうした状況を踏まえ、当機構では、厚生労働省職業安定局の要請に基づき、雇用保険が適用されていない週所定労働時間が20時間未満である労働者の実態を把握するため、本調査を行った。
研究の方法
調査会社の登録モニターを対象としたインターネット調査を実施した。調査対象者は、15歳~74歳の国内に居住する雇用者で、主な仕事の週所定労働時間が20時間未満である者(雇用保険適用者を除く)で、性別、年齢階級別、週間就業時間別に層化割付回収を行った(目標回収数10,000)。実査期間は2023年7月25日から8月16日。
主な事実発見
現在の主な仕事の賃金の主な使い道は、「消費(生活上必須の物・サービス)」が57.3%と最も高く、次いで「貯蓄(預貯金)」が19.2%、「消費(趣味、娯楽)」が18.9%などとなっている。週所定労働時間別にみると、どの週所定労働時間でも「消費(生活上必須の物・サービス)」が最も高くなっている(図表1)。
今の働き方を変えずに雇用保険に加入できるとすれば加入したいと思うかたずねたところ、「加入したい」が42.6%、「加入したくない」が57.4%となっている。主な仕事での週所定労働時間別にみると、「加入したい」は「週15時間以上20時間未満」で46.3%、「週10時間以上15時間未満」で41.2%などとなっている(図表2)。
雇用保険に「加入したい」と回答した者についてその理由をたずねたところ(複数回答)、「失業給付が受けられるから」が74.8%と最も高く、次いで「生計維持のために働いているから」が25.1%、「雇用が不安定と感じているから」が23.3%などとなっている(図表3)。
雇用保険に「加入したくない」と回答した者についてその理由をたずねたところ(複数回答)、「保険料の負担があるから」が45.9%と最も高く、次いで「加入する必要性を感じないから」が29.7%、「加入するメリットがわからないから」が23.3%、「雇用保険についてよく知らないから」が16.8%などとなっている(図表4)。
政策への貢献
労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料で引用された。
本文
分割版
研究の区分
情報収集
研究期間
令和5~6年度
調査・執筆担当者
- 中原 慎一
- 前調査部統計解析担当部長(調査実施当時)
- 渡邉 学
- 調査部統計解析担当部長
- 上村 聡子
- 調査部統計解析担当主任調査員(執筆)
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