調査シリーズNo.227
「シフト制勤務」で働く非正規労働者の実態等に関する調査結果

2023年3月31日

概要

研究の目的

「シフト制勤務」で働く非正規労働者がどういった雇用管理の下、どのような働き方をしているのか等の実態を把握するため、本調査を行った。

研究の方法

本調査では、「非正規労働者 に対するWebアンケート調査」とその回答者から抽出した「『シフト制勤務』で働く非正規労働者に対するヒアリング調査」、また、「『シフト制勤務』を活用する企業の労使に対するヒアリング調査」を実施した。

このうち、「非正規労働者 に対するWebアンケート調査」については、調査会社に登録されているインターネット調査モニター会員を対象に「スクリーニング調査」を行い、「就業構造基本調査」の性別×年齢階層別×地域ブロック別の人数分布(学歴、婚姻状況も勘案)に基づき、層化割付された15~69歳の「非正規労働者」1万人分の「本調査」回答を収集した(実査期間2021年9月10日~16日)。

主な事実発見

  • 本調査に回答した【非正規労働者(日雇いを除く)】計9,930人を対象に、現在の勤務日や勤務時間がどのように決められているか(勤務のタイプ)について尋ねると、「固定勤務者:固定した勤務日と勤務時間が、決められている」割合が45.8%、「交代制勤務者:勤務日数等は決められているが、具体的な始業・終業時刻等は就業規則等に定められた勤務時間パターンの組合せで一定期間毎に決まる」が4.0%に対し、「シフト制勤務者①:勤務日数や勤務時間数は決められているが、具体的な勤務日や勤務時間は一定期間毎のシフト表等で決められる」が29.2%、「シフト制勤務者②:勤務日数や勤務時間数は決められておらず、単に、具体的な勤務日や勤務時間が一定期間毎のシフト表等で決められる」が17.4%、「オンコール(シフト)勤務者:勤務するかどうかは、前日や当日等に1日単位で、会社から打診される」が3.5%となった(図表1)。

図表1 非正規労働者の勤務日や勤務時間の規定状況

図表1画像

  • 現在の勤め先の主な業種を勤務のタイプ別にみると、【固定勤務者】(n=4,545)では「製造業」が19.8%等、【交代制勤務者】(n=399)でも「製造業」が21.8%、「サービス業計」が20.1%等に対し、【シフト制勤務群】(n=4,986)では、「サービス業計」が28.1%、「卸売業、小売業」が22.6%等となった。同様に、現在の仕事の種類(職種)について、【固定勤務者】では「事務的な仕事」が35.4%等、【交代制勤務者】では「サービスの仕事」が22.3%、「生産工程の仕事」が19.0%等に対し、【シフト制勤務群】では「サービスの仕事」が27.3%、「販売の仕事」が23.7%等となった(図表2)。

図表2 現在の勤め先の主な業種と現在の仕事の種類(職種)

図表2画像

  • 現在の勤め先で働き始めるに当たっての労働条件の明示状況について(複数回答)、「労働条件が、書面で交付された」割合は、【固定勤務者】が70.2%、【交代制勤務者】が68.4%、【シフト制勤務群】が59.5%で、明示を「一切、受けていない」は、同順に13.9%、15.5%、20.6%となった(図表3)。

図表3 現在の勤め先で働き始めるに当たっての労働条件の明示状況

  • 直近3ヶ月間でみた実際の1週間当たりの平均勤務時間数(残業含む)について、【固定勤務者】では「35時間以上~40時間未満」が23.9%、「30時間以上~35時間未満」が17.9%等、【交代制勤務者】では「30時間以上~35時間未満」が19.8%、「35時間以上~40時間未満」が19.3%等に対し、【シフト制勤務群】では「15時間以上~20時間未満」が17.9%、「20時間以上~25時間未満」が16.6%等となり、【固定勤務者】や【交代制勤務者】と比べて短時間の分布傾向が見られた。
  • 直近3ヶ月間に経験したことのある勤務時間帯について(複数回答)、【固定勤務者】では「早朝(8時以降~10時前)」~「午後(14時以降~16時前)」にかけての日中の回答割合が高いのに対し、【交代制勤務者】や【シフト制勤務群】ではそれ以外の、「早朝(6時以降~8時前)」や「夕方(18時以降~20時前)」~「深夜~明け方(24時以降~翌日の6時前)」にかけても一定の回答割合が見られた。
  • 直近3ヶ月間の平均月収について、【固定勤務者】では「5万円以上~10万円未満」が28.2%、「10万円以上~15万円未満」が25.6%、「15万円以上~20万円未満」が19.5%等、【交代制勤務者】では「10万円以上~15万円未満」が25.6%、「5万円以上~10万円未満」が22.1%、「15万円以上~20万円未満」が21.3%等に対し、【シフト制勤務群】では「5万円以上~10万円未満」が43.2%、「10万円以上~15万円未満」が22.1%等となり、【固定勤務者】や【交代制勤務者】と比べてより低位の分布傾向が見られた。
  • 新型コロナウイルス感染症の発生以降、現在の勤め先から何らかの休業(待機)を命じられた経験がある割合は、【固定勤務者】で計19.5%に対し、【交代制勤務者】で計28.1%、【シフト制勤務群】で計25.7%となった。また、【交代制勤務者あるいはシフト制勤務群】を対象に、新型コロナウイルス感染症の発生以降、現在の勤め先から勤務時間数等を減らされた(いわゆるシフトカット)経験がある割合は、【交代制勤務者】で計24.3%、【シフト制勤務群】で計26.9%となった。こうしたなか、休業(待機)を命じられた経験や勤務時間数等が減らされた(いわゆるシフトカット)経験がある者を対象に、現在の勤め先から賃金や休業手当が支給されたか、あるいは政府が本人に直接支給する「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」を受給したかについて尋ねると(複数回答)、【固定勤務者】では「現在の勤め先から、通常通り勤務した場合に支払われる賃金(100%)と同額で『賃金・休業手当』が支払われた」が38.8%、「現在の勤め先から、通常通り勤務した場合に支払われる賃金(100%)の60%以上の金額で『賃金・休業手当』が支払われた」が22.3%で、「一切、もらっていない」割合は26.5%となった(図表4)。同様に、【交代制勤務者】でも「現在の勤め先から、通常通り勤務した場合に支払われる賃金(100%)と同額で『賃金・休業手当』が支払われた」が30.7%、「現在の勤め先から、通常通り勤務した場合に支払われる賃金(100%)の60%以上の金額で『賃金・休業手当』が支払われた」が27.7%で、「一切、もらっていない」割合は31.4%となっている。これに対し、【シフト制勤務群】では「現在の勤め先から、通常通り勤務した場合に支払われる賃金(100%)の60%以上の金額で『賃金・休業手当』が支払われた」が19.3%、「現在の勤め先から、通常通り勤務した場合に支払われる賃金(100%)と同額で『賃金・休業手当』が支払われた」が17.1%で、「一切、もらっていない」割合は43.2%となった。

図表4 勤務のタイプ別にみた休業(待機)を命じられた経験や、いわゆるシフトカット経験に対する
現在の勤め先からの休業手当等の支給状況や政府の支援金・給付金の受給状況

  • 【交代制勤務者あるいはシフト制勤務群】を対象に、自身の「シフト制(交代制含む)」という働き方をより良いものにするためにどのようなことを改善して欲しいか尋ねると、「特にない」との回答が【交代制勤務者】で38.3%、【シフト制勤務群】でも35.4%となった。その上で、具体的な要望が挙げられた中では(複数回答)、「具体的な勤務日等(シフト等)は、ある程度の余裕をもって示してほしい」(【交代制勤務者】25.6%、【シフト制勤務群】31.6%)が最多となり、次いで「具体的な勤務日等(シフト等)の決定にあたっては、労働者の希望を十分踏まえてほしい」(20.8%、22.0%)、「設定される勤務日等(シフト等)が極端に少なくなる場合には、何らかの補填をしてほしい」(12.8%、17.2%)等となった(図表5)。

図表5 シフト制という働き方をより良いものにするために改善して欲しいこと

本文

研究の区分

緊急調査

研究期間

令和3年度

調査担当者

新井 栄三
調査部長
渡邊 木綿子
調査部(統計解析担当)主任調査員
多和田 知実
調査部(統計解析担当)調査員

データ・アーカイブ

本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.180)。

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内容について
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