ディスカッションペーパー 09-02
属性別にみた地域間労働移動の実態
―都市と地方の間での移動に注目して―
概要
本研究の目的は、厚生労働省からの要請に基づき、「地方から都市」あるいは「都市から地方」といった移動方向に着目しつつ、日本における地域間労働移動の実態を属性別に検討することにあります。日本の地域間労働移動に関する研究は、未だ十分には蓄積されていないことにくわえ、その実態について詳細に検討した研究はさらに限られています。分析で利用した主要データは『雇用動向調査』ですが、『国勢調査』も併せて利用しました。主たる結果は、以下の通りです。
- 男性と女性を比較すると、女性の方が「都市から地方」へと移動する傾向が強いことがわかった。
- 年齢別の分析からは、19歳以下層では「地方から都市」への移動傾向が顕著であるのに対して、20歳代、30歳代それに60歳以上の高齢層では逆方向への移動傾向が強いことがわかった。
- 職歴別分析からは、新規学卒入職者は「地方から都市」へと移動する傾向が強い一方、既就業入職者は「都市から地方」へと移動する傾向にあることがわかった。
- 学歴別に検討すると、小学校・中学校卒および大学・大学院卒の者は「都市から地方」へと移動する傾向が強いことが確認された。
- 時系列的な観察からは、平成3年および4年においては「地方から都市」への移動が顕著であったのに対して、平成5年から7年の期間および平成9年においては逆の状況が生じていることが指摘された。平成10年以降については、移動方向についての明確なトレンドは観察されなかった。
本文
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執筆担当者
- 大谷 剛
- 労働政策研究・研修機構 研究員
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