ディスカッションペーパー 08-08
企業から見た両立支援施策の現状と課題
―次世代法への対応を中心として―
概要
本稿は、企業における両立支援施策の現状と課題を探るために、必要な基礎的情報を収集・整理することをねらいとしています。
育児と仕事との両立を中心とするワーク・ライフ・バランス(WLB)の追求は、今や国全体の課題となりつつありますが、その言葉の外延は実に広く、本稿ではまず、WLBを人材マネジメントに関連づけながら、その捉え方を整理した上で、中小企業における取り組みをアンケート調査結果から再検討します。
これまで、次世代育成支援対策推進法などの施策が実施されてきましたが、今後、同法はより小規模の企業に対してその取り組みが義務化される予定です。現時点では、中小企業の現状を見ると、法に対する認知の普及など根本的な面での取り組みがさらに必要となっています。ただ、一部の中小企業は、取り組みが義務化されていない段階でも、WLBの追求を支援しています。その点は積極的に評価すべきでしょう。
また、大企業の中でも特に先進的に取り組んできた企業に対し、ヒアリング調査を実施し多面的に見ることによって、職場・現場レベルで、代替要員とそれに関連する評価という点に問題があることが明らかとなってきました。
最後に、来年度のアンケート調査の実施に向けて、(1)企業がWLB施策を推進する根本的な意図、(2)WLB施策を推進するための制度の整備状況や利用実績、(3)職場レベルでの運用状況、(4)それらを評価制度の中に、いかに取り込んでいくのか、などを把握することが今後の課題であるとしています。
本文
執筆担当者
- 中村 良二
- 労働政策研究・研修機構 主任研究員
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