外国人労働者に10日間の検疫義務
人材開発省は4月10日、新型肺炎SARSが国内で拡大するのを防止するため、流行国から入国する外国人労働者を、検疫のために10日間隔離すると発表した。翌11日から施行した。感染者の流入を阻止し、外国人労働者の間や職場で拡大するのを防ぐ。
対象者は、1.就労許可証または雇用許可証(Q分類)の新規取得者で世界保健機構(WHO)が指定した流行国から入国する者、2.就労許可証または雇用許可証(Q分類)の既得者で指定流行国を訪問したのちに入国する者----である。
なお、就労許可証(work permit)は、一定の技能資格を有する労働者や非熟練労働者に、雇用許可証(employment pass)のQ分類は専門職・管理職に、それぞれ発給される。雇用許可証にはQ分類の他にP分類があり、幹部クラスに発給されるが、今回の措置では対象外となった。
検疫対象者は、政府が用意する2つの収容施設に10日間隔離される。Qパス保持者は、使用者が用意する宿舎または自宅での隔離を選択できる。隔離・検疫にかかる費用は、すべて使用者が負担する。感染がわかった場合、指定の収容病院に送られて治療を受けるが、費用は使用者が負担する。
さらに人材開発省は、使用者に対し、1.事態が収拾するまで流行国から外国人労働者を雇用しないこと、2.かわりにシンガポール人あるいは非流行国の労働者を採用すること、3.既存の外国人労働者を帰省休暇や仕事などで流行国へ渡航させないこと、4.国内のスタッフと流行国のスタッフとの間の交代制勤務を一時控えること、などを勧告した。
既存の外国人労働者が流行国へ出国した場合、就労許可書は取り消され、使用者は改めて発給の申請をしなければならない。
WHOは5月31日、シンガポールをSARSの感染地域リストから除外した。域内の最後の感染者が隔離された5月11日から20日が経過したためだ。31日現在の感染者の累計は206人で、うち死者31人、入院患者9人(うち4人は重症)となっている。
シンガポールは、5月18日にもSARSの制圧宣言を行うはずだったが、同日に新たな感染者が出たため持越しになっていた。
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