開催速報:第1回国際フォーラム
アメリカの非典型労働者 ―その現状とAFL-CIOの対応―
(2003年11月7日)

労働政策研究・研修機構は、11月7日に大同生命霞ヶ関ビルで、国際労働政策フォーラムを開催した。アメリカUCLA労働研究教育センターのケント・ウォン所長が「アメリカの非典型労働者−その現状と AFL-CIOの対応−」をテーマに講演し、後半のセッションでは、当機構の池添弘邦副主任研究員が、日米の非典型労働者の概念や制度、法的立場の相違について説明した。

国際フォーラム開催の様子

ウォン所長は、ブッシュ政権が推し進める新自由主義(ネオリベラリズム)の問題点を指摘し、AFL-CIOが新たに取り組んでいる社会的労働運動(ソーシャル・ユニオニズム・ムーブメント)を紹介した。その中で、産業構造の変化とマイノリティ労働者や女性労働者、非典型労働者の増加を背景とした国際サービス労組(SEIU)の組織化を例示し、清掃労働者や在宅介護労働者の労働条件改善の取組みについて語った。

同所長はさらに、第ニ次産業から第三次産業へと変化する雇用の流れを引用しつつ「労働組合もコントロールできない脱工業化の流れが進んでいる。この流れは新自由主義やグローバリズムの進展の中で、ますますパートタイムやテンポラリー労働者を拡大させている」と述べた。その上で結論として「こうした非典型の労働者を運動の中に取り組むことによって米国の進む方向を転換させることが可能となる」と労働組合の役割を示した。

質疑応答の部分では、会場参加者から寄せられた質問をもとに、非典型化がすすむ若年者やホワイトカラーの問題、非典型とフルタイム労働者間の均等処遇をめぐり、幅広く意見を交わした。

フォーラムには行政、労働組合、企業の関係者に加えて、研究者など約150人が参加するなど、日本でも増加しつつある非典型労働への関心の高さが伺えた。