基礎情報:スペイン(2000年)

※このページは、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

  1. 一般項目
  2. 経済概況
  3. 対日経済関係
  4. 労働市場
  5. 賃金
  6. 労働時間
  7. 労使関係
  8. 労働行政
  9. 労働法制
  10. 労働災害
  11. その他の関連情報
国名
スペイン
英文国名
Spain
人口
3941万8017人(1999年7月1日の国勢調査による)
面積
50万5992平方キロメートル
人口密度
78.76人/平方キロメートル
首都名
マドリッド
言語
カスティーリャ語、地方語(カタルーニャ語、ガリシア語、バスク語)
宗教
カトリック
政治体制
議会君主制

実質経済成長率
+3.7%(1999年) +4.0%(1998年) +3.5%(1997年)
通貨単位
ペセタ(2002年よりユーロ) ペセタ=約0.61円(2000円3月末)
GDP
93兆682億ペセタ(1999年) 89兆9685億ペセタ(1998年) 77兆8964億ペセタ(1997年)
1人当たりGDP
233万5310ペセタ
消費者物価上昇率
+2.9%(1999年)+1.4%(1998年)+2.0%(1997年)
主要産業
商業、ホテル業、食品、電力・ガス、化学工業、金属製品製造、自動車

対日主要輸入品目
自動車部品、電子機器など
対日輸入額
7120億ペセタ(1999年)
対日主要輸出品目
自動車、食品など
対日輸出額
1830億ペセタ(1999年)
対日貿易収支
△2811億ペセタ(1999年)
日本の直接投資
37751百万ペセタ(1998年) 3792百万ペセタ(1997年) 44860百万ペセタ(1996年)
日本の投資件数
3件(1999年) 2件(1998年)
在留邦人数
4462人(1998年10月現在)

出所:

  1. Espana en cifras 1998, Ins'tituto Nacional de Estadistica(国立統計庁「数字でみたスペイン」)
  2. intesis de indicadores economicos, Ministerio de Economia y Hacienda, 1999(経済大蔵省「経済指標」)
  3. stadisticas Anuales, Subdireccion General de Comercio, Madrid, 1999(通商準局「年次統計」1998年)
  4. ermisos de trabajo a extranjeros, Direccion General de Ordenacion de las
  5. Migraciones, Madrid, 1999(入国管理局「外国人労働許可」)

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1.労働市場の概況

雇用という観点から見ると、1999年再び記録が更新された。これまでの5年間、経済の回復に伴い雇用状況は改善されてきた。1998年の第4四半期に失業率は15%まで低下したが、これは1982年以来達成されていなかった低い水準である。しかしながら、失業率の低下には、スペイン労働市場動向の指標となっている労働力人口調査に、新たな計算方法が採用されたことが、一部関連しているといえる。失業率が低下したとはいえ、依然として EU ならびに OECD 諸国中最も高い数値となっている。

現在もなお250万人が失業中であり、そのうちの60%は女性であるが、こうした失業率の低下は、労働力率が上昇したにもかかわらず達成されたものである。スペインの労働力人率は、先進国の中では最も低い水準であるとはいえ、1998の第4四半期、約0.5ポイント上昇し、50.69%に達した。これによって、特に、労働力率が40%近くまで上昇した女性、そして若年層など、労働市場への参入が困難な人々が影響を受けることとなった。一方、就業者数と社会保険加盟者数は、1999年に5%増加し、両者とも、1400万人を超える勢いである。

雇用に関する各数値はめざましく改善されたが、中には根拠に乏しいものもあり、将来悪化する可能性がある。これは、最近の雇用の増加が景気に大きく依存したものであることを示しており、現在の経済拡大期の終わりには、雇用が著しく減少し、以前の失業水準まで後退する恐れがある。1998年に新たに創出された雇用の約80%は、建設およびサービスの2部門で発生しているが、これらは景気に大きく左右される部門である。

2.労働市場関連情報

労働力人口
1642万2900人(1999年) 1626万5200人(1998年) 1612万1000人(1997年)
労働力率
50.2%(1999年) 50.0%(1998年) 49.8%(1997年)
就業者数
1381万7400人(1999年) 1320万4900人(1998年) 1276万4600(1997年)
雇用者数
1083万6600人(1999年) 1015万6600人(1998年) 970万9000人(1997年)
失業率
15.9%(1999年) 18.8%(1998年) 20.8%(1997年)

出所:

  1. Encuesta de Poblaci n Activa, Instituto Nacional de Estad stica,Madrid, 2000(国立統計庁「労働力人口調査」)

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1.賃金制度の概要

スペインでは、賃金は少なくとも3つの基礎的部分から成っている。まず、基本給であるが、この最低額は、一般的に言って、地方レベルでの労働協約により職業別、部門別に規定されている。この基本給に、各労働者の具体的な職務や個人的な事情、能力、あるいは、会社の業績に応じて、加給される。最後に社会保険料であるが、その額は、場合によっては給与総額の3分の1に達することもある。このうち、約3分の2は使用者が直接負担し、残りの3分の1を労働者が支払うことになっている。賃金労働者の80%においては、賃上げは労働協約によって決定され、合計約850万人の労働者がこうして賃上げを獲得する。このうち企業別の労働協約による賃上げは、数の上では圧倒的に多く(3000件を越す)、100万人強の賃金労働者がその対象となっている。しかし、最も一般的なのは、特に、地方レベルにおける部門別の労働協約によって賃上げが決定される場合である。一方、議会の努力にもかかわらず、全国レベルでの部門別労働協約は依然として非常にまれである。

スペインの工業部門およびサービス部門における平均賃金は、1999年、25万ペセタに接近したものの、部門間、職業問の格差は、依然として大きい。たとえば、ホワイトカラー労働者の賃金は、ブルーカラー労働者の賃金より、約60%高い。また、コークス工場、石油精製所、原子力エネルギー部門で働く労働者は、約50万ペセタの月収を得ている。工業部門の月収は、一般的に平均をかなり上回っているが、一方、建設部門の月収は、19万ペセタ以下となっている。このような格差は、過去10年間、ほぼ連続して見られるものである。しかしながら、建設部門における力強い需要の伸びにより、賃金が飛躍的に上昇し、その結果、1998年賃金の上昇が最も大きかったのは、建設部門であった。

労働協約によって取り決められた平均賃上げ率は、わずかに減少し、2.41%となった。しかし、実質インフレ率が年当初の予測を0.8%上回ったために、年末に賃金見直し条項が適用されたことから、実質賃上げ率の上昇は確実である。いずれにせよ、1998年の国内総生産に占める賃金の割合は、50%以下に低下した。

労働者の1年間の報酬は、月ごとの賃金と夏とクリスマスの2回のボーナスの計14回に分けて支払われる。

2.最低賃金

最低賃金は、16~17歳の労働者向け、17~18歳の労働者向け、および18歳を超える労働者向けの3段階に分けられる。これは全国レベルで設定されるが、労組と使用者側の合意に基づきさらに高い額が定められることもある。1999年の最低賃金は、インフレ率を適用して月額7万ペセタ以上になった。

3.賃金関連情報

月額平均賃金
22万4900ペセタ(1999年) 22万100ペセタ(1998年) 21万5200ペセタ(1997年) 
月額最低賃金
7万680ペセタ(1999年) 6万9270ペセタ(1998年) 6万8040ペセタ(1997年) 
労働協約による賃金上昇率
2.76%(1999年) 2.58%(1998年) 2.89%(1997年) 

出所:

  1. Encuesta de Salarios, Instituto Nacional de Estad stica, Madrid, 2000(国立統計庁「賃金アンケート」)
  2. Bolet n de Estad sticas Laborales, Ministerio de Trabajo y Seguridad Social, Madrid, 2000(労働社会保障省「労働統計報告」)
  3. Convenios colectivos en empresas, Ministerio de Trabajo y Asuntos Sociales,Madrid, 2000(労働社会保障省「企業の集団協約」)

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1.労働時間の概要

1999年の年間平均実労働時間は、労働者1人当たり約1672時間となり、1998年よりわずかに増えた。いずれにせよ、スペインは依然として、EU 諸国の中で最も労働時間の長い国の一つである。常用労働者の場合、1998年の労働時間は上述の1672時間を100時間近く上回っている。これに対し、パートタイム労働者の平均労働時間は940時間であった。サービス部門においては、雇用の大半がパートタイムであることがかなり影響し、労働時間は平均を下回っている。常用労働者の中では、工業部門が最も労働時間が少ないのに対し、建設部門においては飛躍的に多くなっている。また、労働時間と事業所の規模との間には反比例の関係が見られる。つまり、労働者の数が多い事業所ほど年間労働時間が少なくなっている。この点において、時間外労働は引き続き重要な役割を担っている。ここ数年のように景気が上昇局面にある場合、状況に応じた調整を行う際に時間外労働が重要となる。とはいえ、1998年の時間外労働時間はわずかに減少し、全体として7000万時間となった。時間外労働を行った労働者1人当たりの平均時間外労働時間は25時間であった。欠勤時間は、労働者1人当たり年間240時間となり、1998年に比べわずかに減少した。1990年代初めに300時間を超え最高となってから減少し続けている。欠勤の理由としては、休暇が最も一般的であり(年間200時間弱、夏に集中)、次に労働行事(80時間)、病気など一時的に仕事ができなくなった場合や出産によるもの(平均35時間)と続く。

年間総労働時間
1672.2時間(1999年) 1671.7時間(1998年) 1675.2時間(1997年)

出所:

  1. Encuesta de Coyuntura Laboral, Instituto Nacional de Estad stica, 2000(国立統計庁「労働情勢調査」))

2.労働時間に関する法律

労働者憲章は、労働時間は週40時間を超えてはならないと規定している。また労働協約によって週40時間以下の労働時間を設定することも可能であり、実際にいくつかの産業では実現をみている。時間外労働に対しては現金で手当を支払うが、条件によっては休暇に代えることもできる。

このほか労働法ではつぎの労働時間規制を導入している。賃金労働者の1日の労働時間は原則として9時間を超えてはならず、特例が認められる場合でも労働者と企業との合意に基づかなければならない。

3.有給休暇の概要

年間有給休暇は30日以上でなければならない。1日の労働時間と翌日の労働時間の間の休息時間は少なくとも12時間以上でなければならず、ある週と次の週の間では1日半なければならない。また労働者憲章は、労働者が無給休暇を求めた場合、いかなる理由のときに企業側はこれを認める義務があるのかについて定めている。この場合、無給休暇とは経済的制裁を伴わないもので、婚姻、出産、転居、企業内労組代表活動、妊娠、授乳などのほか、労働者が何らかの資格試験(運転免許を含む)を受験する際にも与えられる。

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1.労使関係概況

全体的に見て、1999年、労働組合と政府との協調関係は大きく崩れた。こうした変調の原因は、労働政策に関する両者の深い隔たりというよりはむしろ、労働省における人事の変動や総選挙を控えた当面の緊急課題といった一時的な要因によるものであった。1998年、ストの参加者およびストにより失われた労働日数はわずかに増加したが、これは、労働争議の増加というより、関係者の半数以上が参加した5月のゼネストの影響といえる。経済の第3次産業化および雇用の弾力化により、労働組合の活動は縮小してきている。これらの傾向に加え、現在の好景気によって、ここ数年同様、今後も労働争議は減少するものと予想される。

労働組合員数
全国主要労組:3労組(労働者委員会:CCOO、労働総同盟:UGT、労働組合同盟:CGT)。地方大型労組:2労組(バスク地方のELA-STV、ガリシア地方の CIGA)
組織率
10%(多数派労組の公式数値)
スト件数
618件 (1998年) 709件 (1997年)
ストによる労働損失時間数
126万3500時間(1998年) 179万100時間(1997年)

出所:

  1. Estad sticas de Huelgas y Cierres Patronales, Ministerio de Trabajo y Asuntos Sociales, 2000 (労働社会保障省「スト・ロックアウト統計」)

2.労働組合および労使関係に関する法律

労組の活動、ならびに労使関係全般は、1984年に制定されて以来いくつかの修正を経て今日も有効である「労働者憲章」の規制を受ける。これによれば、労働者と企業との関係を定める法的根拠として、労働協約に大きな権限が与えられている。また労働者の労組加入権は1978年の憲法によって保証されており、労組代表は企業との交渉権など幅広い権限を認められている。また、労組にはスト権が認められている。なお「労働組合の自由に関する法」(1986年発布)は、組合活動、とくに企業内の労組代表選出の方法について規定している。

1995年の労働法改正で「法廷外の解雇」の場合の解雇手当は「33日×勤続年数」と定められた。しかし、法制度の曖昧さに加えて労使紛争に際して裁判所が労働者寄りの立場をとることが多く、解雇の90%までが使用者に解雇手当の支払いが義務づけられるのが現状である。裁判所で認められる解雇手当は、労働者1人当たり平均で200万ペセタをやや上回るくらいである。解雇の硬直性は、スペインの労働市場の柔軟化を図る上で最大の障害と考えられる。事実、企業側は解雇の際に高額な賠償金を支払わずにすむよう、長期雇用を避けるので、かわって期限付き雇用が増えることになる。就業者の3人に1人が期限付き雇用労働者であり、一方、長期雇用は最近では雇用契約全体の10%以下である。企業倒産の場合は、賃金保証基金が解雇手当を肩代わりすることになる。企業、労働者ともにこの基金への負担金支払いを義務づけられている。

3.労働組合

1998年の1年間を通じて全国の職場で実施された労組代表選挙の結果によると、労働者委員会(CCOO)が全代表の35%を占め優勢を示した。CCOO はもとは共産党系の労組であるが、近年は保守党政権との交渉にも積極的に臨んでいる。CCOO と並んで2大労組の1つである社会党系のスペイン労働総同盟(UGT)が、僅差でこれに続いている。一方、労働組合同盟(CGT)、地方の大労組(バスクの ELA-STV、ガリシアの CIGA など)のような小規模ではあるが極めて活発に活動する強い労組の躍進がみられた。スト参加労働者数からみても、2大労組の動員能力は相対的に低下している。かわって、とくに産業別組合や企業内労組代表の動員がスト参加労働者の20%を占めるにいたっている。

4.使用者団体

民主化移行当初の1977年から、使用者団体に対する個々の使用者の帰属意識は非常に強い。スペイン経団連(CEOE)はスペイン中の経営者のほぼすべてを包括し、全国レベルの政府、労組との交渉において事実上唯一の代表者となっている。中小企業連合やカタルーニャ地方の経営者団体である Fomento Nacional del Trabajo などは一定の自立性を保っている。1998年に政府は労働市場の規制をめぐって労組といくつかの合意に達しているが、これに対して CEOE 側は静観している。

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1.労働政策の概況

スペインでは過去20年間に多くの分野で行政上の分権化が進んだが、労働政策に関しては現在も中央政府が大きな権限を有している。たとえば、失業手当の給付を中心とする消極的雇用政策は全面的に中央政府の手中にあり、また積極的雇用創出政策についても大部分を政府が掌握している。なお、積極的雇用創出政策は、職業訓練基金を通じて EU も関与している。

1996年に始まった保守政権の労働政策は社会党政権時代のものとあまりかわらず、むしろ労組との交渉に臨む姿勢を強めてさえいる。その中で、労働市場内部の具体的な問題解決を目指した改革が成果をあげつつある。1997年末には長期雇用創出促進政策が導入され、1998年には法的不備により濫用の恐れが出ていたパートタイム労働をめぐる規定が定められた。政府の目標は労働市場の柔軟化による高失業率の解消、ヨーロッパ全体の中での競争力の強化である。最近実施された社会保障制度への負担金減額措置もこの政策の一環である。

2.労働関連行政機関

スペインの労働関連行政機関は労働社会保障省である。同省には5つ局の下に11部68課が置かれ、また、9つの外局がある。

労働社会保障省の組織構成は図のとおり。

労働社会保障省組織図

図:労働社会保障省組織図

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労働関係法は1978年憲法を直接の拠り所とし、84年に国会で承認された労働者憲章において全面的に展開されている。これは欧州各国の経験を取り入れつつ、硬直化したスペインの労働市場を近年の新たな動向に適応させる試みでもあり、前述したとおり労働協約に大きな権限を付与し、労働組合活動の自由を保障している。

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1.労働災害の概況

1999年は労働災害件数が98年と比較して10%も増加している。1993年以来、労災は部門を問わず増加傾向にあるが、主な原因は過重労働(23%)、工具などによる手や胸部などへの打撲(18%)となっている。1997年から98年にかけて労災による労働損失時間数は減少しているが、死亡事故は10%以上増えている。

労組側の主張するとおり、この背景には期限付き雇用の増加による労働者のひんぱんな職場移動がある。つまり、労働者が適切な訓練を受けないまま作業を行うといった状況が生じたり、労働時間の極端なフレックス化にともなって、過重労働を強いられる場合があるからである。

2.労働災害関連情報

労働災害件数
160万6999件(1999年) 143万2728件(1998年) 127万6835件(1997年)
労働災害死亡件数
1572件(1999年) 1491件(1998年) 1454件(1997年)
労働災害損失労働時間数
1548万9913時間(1997年) 1559万2218時間(1996年)

出所:

  1. Accidentes de Trabajo y Enfermedades Profesionales, Ministerio de Trabajo y Asuntos Sociales, 2000 (労働社会保障省「労働災害と職業病」)

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1.社会保障

スペインの社会保障制度がカバーする範囲は、主に年金、医療、失業の3つである。年金については、受給者による社会保障制度への負担金納入をもとに支給されるものとそうでないものがある。後者は社会保障制度に負担金を納入しておらず、したがって年金受給資格はないが、経済的に困難な状況にある人に支給されるものである。年金額の平均は約7万ペセタである。医療は数年前から全面的にカバーされるようになっている。失業保険給付は、年金と同様受給者による負担金納入を基礎としたものとそうでないものとがある。前者は失業するまでに受け取っていた賃金を基準として、上限は最低賃金の2倍、受給期間は2年が限度となっている。

2.人的資源開発、教育訓練

人材開発・訓練といえば、スペインではごく最近までもっぱら企業の責任で、政府は失業者を対象とした無料訓練コースを提供するのみであった。現在では政府、自治州、市町村の財源に加え、EU からも労働者の継続的訓練、再訓練を目的とした助成が行われ、これを受けて経営者団体や労組などがそれぞれに訓練コースを組織している。このうち政府の財源の運用にあたる特別の機関として、継続的訓練財団(FORCEM)がある。企業でも従業員教育の努力がさまざまな形で行われ、新しい技術への適応が図られているが、訓練形態はいまだに遅れたものであるといわざるを得ない。

3.教育制度全般

現在のスペインの義務教育は5~16歳であるが、就学年齢をさらに3歳まで引き下げる動きもみられる。5~11歳が初等教育、12~16歳が中等義務教育である。近年の傾向としては、一定の主要科目を除いては、芸術から科学までそれぞれの生徒の個性にあわせた科目構成をかなり自由にできるようになっている。

16~18歳までは、大学進学を目指して高等学校に進むか、あるいは労働市場参入に直結する職業教育を選ぶか、選択肢が分かれる。大学は最低4年である。

初等、中等教育課程の生徒の60%は公立の学校で学び、残り40%が私立の学校で学ぶ。私立校は多くがカトリック系であるが、財源は中央政府、自治州などの公的機関に頼っている。大学は大多数が国公立で、私立大学もごく最近まではカトリック系のものだけであった。現在でも私立大学の学生数は全体の10%に満たない。なお、スペインの教育制度は分権化が進んでおり、自治州に大きな権限がある。


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例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:スペイン」

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