調査シリーズNo.177
ものづくり産業を支える企業の労働生産性向上に向けた人材確保・育成に関する調査結果

平成29年11月22日

概要

研究の目的

我が国は世界に先駆けて本格的な人口減少社会に入り、労働力の需給両面で大きな課題に直面することが見込まれる。「日本再興戦略2016」は、こうした課題を乗り越えるためには、① 人口減少に伴う供給制約や人手不足を克服する「生産性革命」、② 新たな産業構造を支える「人材強化」の課題に取り組むことなどが求められているとしている。さらに、地域経済の主役は中堅・中小企業や小規模事業者であるものの、人口減少や高齢化により、地域の経済社会の存立そのものが脅かされつつあることから、人手不足の中での生産性の向上は、中小企業・小規模事業者にとって重要な課題であるとも強調している。こうした観点を踏まえ、ものづくり産業における中小企業(零細企業を含む)の労働生産性の現状を明らかにするとともに、労働生産性向上に向けた人材の確保と育成に関する課題や取組の実態等を把握する。

研究の方法

企業アンケート調査(郵送方式)

調査対象は、全国の日本標準産業分類(平成25(2013)年10月改訂)による項目「E 製造業」に分類される企業のうち、プラスチック製品製造業、鉄鋼業、非鉄金属製造業、金属製品製造業、はん用機械器具製造業、生産用機械機具製造業、業務用機械器具製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業、電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業、輸送用機械器具製造業に属する従業員数5人以上の企業20,000社。

平成26(2014)年経済センサス基礎調査(確報)での企業分布に従い、民間信用調査機関所有の企業データベースから業種・規模別に層化無作為抽出した。

主な事実発見

  • これまでのものづくり人材の採用・確保に関して、「応募がない・少ない」と感じる企業は8割弱に達する(「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」と回答した企業を合わせて78.7%)。

    図表1 これまでのものづくり人材の採用・確保に対する評価(n=5,565)

    図表1画像

  • ものづくり人材の育成・能力開発における課題として最も多くの企業があげたのは(複数回答)、「若年ものづくり人材を十分に確保できない」(46.3%)。

    図表2 ものづくり人材の確保・育成における課題(複数回答)(単位:%)

    図表2画像

  • 生産性向上など競争力強化に向けて実施している取り組みとして(複数回答)、最も多くの企業があげたのは「改善の積み重ねによるコストの削減」(42.5%)。一方、競争力強化策の中で売上に最も貢献する取り組みをあげてもらうと(単一回答)、「高度な熟練技能を活かした他社にはできない加工技術や作業工程の確立」(15.3%)がトップにあがり、規模が小さい企業ほど回答割合が高い。

    図表3 生産性向上など競争力強化に向けて実施している取り組み(複数回答 n=5,565)(単位:%)

    図表3画像

    図表4 生産性向上など競争力強化に向けて実施している取り組みのうち、売上に最も貢献しているもの <割合の高い上位3項目のみ 企業規模別>(SA)(単位:%)

    図表4画像

  • 競争力強化に向けて実施している取り組み別に、生産性が高い企業の割合(「高い」+「やや高い」)をみると、「高度な熟練技能を活かした他社にはできない加工技術や作業工程の確立」を実施している企業において、最も高くなっている(37.1%)。

    図表5 競争力強化に向けて実施している取り組み別にみた、自社の労働生産性が高い(「高い」+「やや高い」と考える企業割合(単位:%)

    図表5画像

政策的インプリケーション

労働生産性向上には人材育成、能力開発など人材への投資が欠かせないが、ものづくり産業においては、多くの企業が人材の確保の段階で課題を抱えている。生産性向上につながる競争力のある技術などの確立のためにも、引き続き、ものづくり産業においては人材の確保・育成が重要である。

政策への貢献

「平成28年度ものづくり基盤技術の振興施策」(平成29年版ものづくり白書)に活用。人材開発行政にかかる政策立案のための基礎資料として活用される。

本文

全文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。

研究の区分

緊急調査「経済社会構造が変化する中でのものづくり産業における技能者の人材育成」

研究期間

平成28年度~29年度

調査実施担当者

郡司 正人
労働政策研究・研修機構 調査部 次長
藤本 真
労働政策研究・研修機構 人材育成部門主任研究員
荒川 創太
労働政策研究・研修機構 調査部 主任調査員補佐

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