基礎情報:アメリカ(2013年)
2. 雇用・失業対策
- 2-1. 公共職業安定制度
- 2-2. 労働者派遣制度
- 2-3. 失業保険制度
- 2-4. 補足的な失業扶助制度
- 2-5. 困難な状況にある者に対する施策
- 2-6. 年齢に関する法制度(定年等関係)
- 2-7. 障害者雇用対策
2-1 公共職業安定制度
公共職業安定所(連邦法に基づき各州が設置・運営)が職業紹介等を直接実施。
2-2 労働者派遣制度
- 連邦法レベルでは、人材派遣業に関する規制は存在しないが、州レベルでは、届出・登録を求める規制もみられる(マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ノースカロライナ州等)。
- 人材派遣会社及び顧客企業は、派遣労働者の「共同使用者」として差別禁止法の適用を受ける。
- 派遣業界団体は、アメリカ人材派遣業協会(ASA)。
- 派遣労働者数:
- 122万人(2005年)
- 許可制:
- 労働者派遣事業を行う者は、雇用労働部長官の許可を受けなければならない。
- 主な業種:
- サービス業、製造業、卸小売業
- 主な業務:
- 生産・輸送・運搬職30.1%、事務・管理サポート職24.8%、サービス職15.6%、専門職・関連職12.7%、経営・管理・財務職7.6%、販売職2.1%(2005年)
- 若年層(34歳以下)の割合:
- 49.1%(2005年)
- 男女比:
- 男性47.2%、女性52.8%(2005年)
資料出所:労働統計局(BLS)
2-3 失業保険制度
- 制度名:
- 連邦・州失業保険
- 根拠法:
- 社会保障法(1935年)、連邦失業税法(1939年)、各州失業保険法)
- 被保険者:
- 暦年の各四半期における賃金支払総額が1,500ドル以上、又は1人以上の労働者を暦年で20週以上雇用する事業主。
- 受給要件:
- 州毎に異なるが、一般的には事業主都合で解雇され、求職中の就労可能な失業者である。懲戒解雇者や自発的離職者(セクハラ、本人の病気、配偶者の転勤に伴う転居の理由の場合を除く)は対象とならない主な要件は以下の通り。
- (1) 離職前に一定の雇用期間及び一定額以上の所得があること
- (2) 求職、再就職の能力、意思があること
- (3) 解雇又は就職拒否に関する欠格事由に該当しないこと
- 給付水準:
- 州毎に異なるが、概ね課税前所得(平均週給)の50%
- 給付期間:
- 最短期間は州毎に異なり1週間から。最長期間は26週間。
※失業情勢が一定水準以上悪化し、延長給付プログラムが発動した州では最長59週。
- 財源:
- 保険料
連邦失業税と州失業税の二つからなり、双方の財源を事業主が負担する。3つの州を除き、被用者負担はない。
連邦失業税率は2011年6月30日以降、年間支払賃金額の6.2%から6.0%へ変更。州失業税率は州ごとに異なる。連邦、州双方の税金を期日までに一括で支払えば、連邦失業率は5.4ポイント減額され、0.6%となる。
- 管理運営機構:
- Organization in charge 連邦労働省が管轄し、各州が制度の管理を運営する。
2-4 補足的な失業扶助制度
該当制度なし
2-5 困難な状況にある者に対する施策
高齢者就業促進施策
供給者(求職者及び労働者)に対する施策
高齢者地域社会サービス雇用事業
- 開始年月:
- 1965年高齢アメリカ人法(the Older American Act)を根拠に、2002年高齢者コミュニティ雇用プログラム(Senior Community Employment Program; SCEPA)を開始。
- 適用範囲:
- 失業中で就業見込みの低い55歳以上、世帯収入が連邦政府の定める貧困ラインの125%以下。
- 具体的内容:
- 全額政府出資の助成金により、非営利公共施設で訓練をかねて就業する。プログラム期間終了後、30%の参加者が助成金なしで継続雇用されることを目標とする。
- 利用実績等:
- 登録参加者7万6,864人(2012年6月終了分まで)
資料出所:労働省(DOL)、SCSEPウェブサイト
需要側(事業主)に対する施策(助成措置等)
なし
2-6 年齢に関する法制度(定年等関係)
- 根拠法令:
- 雇用における年齢差別禁止法(Age Discrimination in Employment Act of 1967: ADEA)
- 施行年月:
- 1967年
- 定年制:
- 原則不可。但し、例外は下記の2つ。
- 特定の業務(パイロットなど)の正常な遂行のため合理的に必要とされる定年制。
- 高級管理職で一定額以上の退職給付(年金)を受給できる者に対する65歳以上定年制
資料出所:労働省(DOL)
2-7 障害者雇用対策
- 根拠法:
- 「障害を持つアメリカ国民法」(1990年制定) 雇用、公共交通、公共的サービス、電気通信の分野において、一般企業や事業者に対し、障害者の雇用やバリアフリー化を義務付け、義務が果たされなければ、障害者は差別として事業主を訴えることができることとし、障害者の機会均等を保障。
- 対象者:
- 個人の主たる生活活動の一つ以上を著しく制限する身体的・精神的機能障害がある者。(機能障害の経歴がある者、機能障害を持つとみなされる者も含む)。
- 雇用主への規制:
- 雇用における差別禁止
15人以上を雇用する事業主は「有資格の障害者」を障害ゆえに差別してはならない。事業主は「不当な難儀」をもたらす場合を除き、応募する又は雇用される障害者のために「妥当な環境整備」をとらなければならない。
- 申立の仕組み:
- 雇用差別がある場合は、障害者等は申立を180日以内に雇用機会均等委員会(EEOC)に行う。EEOCは調査を行い申立が正当であれば雇用主にその行為を止めるように命令、非公式に和解を行うこともするが、成功しなければ訴訟に持ち込むことが可能。近年EEOCでは、代替的な制度として、仲裁の仕組みを設置。
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