■□――【メールマガジン労働情報/No.2102】
「過労死等防止対策白書」公表、外食産業等の働き方の実態など調査分析/厚労省 ほか
―2025年10月31日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】「過労死等防止対策白書」公表、外食産業等の働き方の実態など調査分析/厚労省 ほか
【統計】7月の完全失業率2.6%、前月と同率/労働力調査 ほか
【労使】経済情勢報告「経済成長と生活向上を実感できる社会に向けた挑戦」をHP掲載/連合総研
【動向】「職業生活ウェルビーイング」の認識と実態を経年比較/民間調査 ほか
【企業】50歳以上社員を対象に「ネクストキャリア特別支援施策」を実施/明治HD ほか
【法令】労働関係法令一覧(2025年9月公布分)
【海外】「法定合意解約」制度の現状と課題(1)/制度利用の増加と失業保険改革・フランス
【イベント】事業主、相談窓口担当者向け「職場におけるハラスメント対策研修」を実施 ほか
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【JILPTからのお知らせ】
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◇『日本労働研究雑誌』11月号を刊行しました!
ディアローグ:労働判例この1年の争点
特集:警備の世界における労働問題
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2025/11/index.html
◇『ビジネス・レーバー・トレンド』11月号を公開しました!
「若年層の働く意識変化への対応 ――人材定着・活躍に向けた大学・企業の最新事例から」
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2025/11/index.html
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【行政】
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●「過労死等防止対策白書」公表、外食産業等の働き方の実態など調査分析/厚労省
厚生労働省は28日、「2025年版過労死等防止対策白書」を公表した。近年の過労死等の状況では、「精神障害事
案の労災請求件数や労災支給決定(認定)件数の分析(概要7-9頁)から、精神障害に係る請求件数が2010年度
に比べて3倍以上、「自殺以外」が同約3.5倍、精神障害の発病に関与した事案での決定件数(支給・不支給)で
は、「対人関係」、「パワハラ」等の職場環境に関する出来事が大きく増加したと指摘。取組みの方向性として、
長時間・過重労働の防止等に加え、職場環境改善の取組を進めることを挙げた(同15頁)。
「過労死等防止対策大綱」が重点対象としている業種等(自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療、
建設業、メディア業界、芸術・芸能分野)の労災認定状況(概要10-11頁)からは、精神障害事案で、医療と自
動車運転従事者が大幅増、建設業の高止まり、精神障害の発病に関与したと考えられる出来事は、重点業種等ご
とに異なる傾向があるとし、取組みの方向性として、業種等ごとの特徴を踏まえた対応等を挙げた(同15頁)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65250.html
▽概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001586368.pdf
●景気は「緩やかに回復」の判断を維持/10月・月例経済報告
政府は29日、10月の「月例経済報告」を公表した。基調判断は「景気は、米国の通商政策による影響が自動車産
業を中心にみられるものの、緩やかに回復している。」とし前月判断を維持した。先行きについても、「雇用・
所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景
気の下振れリスクには留意が必要」として据え置いた。
個別判断では、「倒産件数」について「おおむね横ばいとなっている」から「このところ増加がみられる」に下
方修正した。雇用情勢は、「改善の動きがみられる」で据え置き。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2025/1029getsurei/main.pdf
▽首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/104/actions/202510/29getsurei.html
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【統計】
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●7月の完全失業率2.6%、前月と同率/労働力調査
総務省は31日、2025年9月の「労働力調査(基本集計)」を公表した。完全失業率(季節調整値)は2.6%で、
前月と同率。完全失業者数は184万人と、1年前に比べ11万人増え2カ月連続で増加した。就業者数は6,863万人
(同49万人増)で38カ月連続の増加。雇用者数は6,201万人(同52万人増)で43カ月連続の増加、うち、正規従
業員数は3,760万人(同68万人増)で23カ月連続の増加、非正規従業員数は2,091万人(同16万人減)で2カ月
連続の減少だった。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
●9月の有効求人倍率1.20倍、前月と同水準/一般職業紹介状況
厚生労働省は31日、2025年9月分「一般職業紹介状況」を公表した。有効求人倍率(季調値)は1.20倍で、前月
と同水準。新規求人倍率(同)は2.14倍で、前月比0.01ポイント低下。新規求人(原数値)は、前年同月比で3.2
%減。産業別にみると、増加は教育,学習支援業(1.1%増)、運輸業,郵便業(0.7%増)、学術研究,専門・技
術サービス業(0.1%増)。減少は卸売業,小売業(7.4%減)、情報通信業(6.8%減)、宿泊業,飲食サービス
業(3.9%減)など。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64923.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001582533.pdf
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【労使】
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●経済情勢報告「経済成長と生活向上を実感できる社会に向けた挑戦」をHP掲載/連合総研
連合総研は、2025~2026年度「経済情勢報告:経済成長と生活向上を実感できる社会に向けた挑戦」をホーム
ページに掲載した。勤労者生活にかかわる内外の経済情勢を分析し、経済情勢報告として毎年発表している。
今回は、従業員のウェルビーイングや就業意欲の向上、「年収の壁」の解消、企業規模間・男女間・雇用形態間の格
差の是正等について、現状や課題を整理するとともに今後の取組の方向性についての提言を行っている。
マクロ経済学、労働経済学、労働・雇用政策などの観点から、有識者の寄稿も収録。
https://www.rengo-soken.or.jp/work/2025/10/281300.html
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【動向】
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●「職業生活ウェルビーイング」の認識と実態を経年比較/民間調査
パーソル総合研究所は16日、「はたらく人のウェルビーイング実態調査2025」を発表した。就業者の「職業生活
ウェルビーイング」の認識と実態を経年比較したもの。2025年(6月時点)は、2020年と比較して「(働くこと
を通じて)幸せを感じている人」の割合が3.1ポイント低下し40.8%(報告書5頁)。はたらく幸せを実感する
7つの因子の経年変化を確認すると、「自己成長」「リフレッシュ」「チームワーク」「他者承認」「他社貢献」
「自己裁量」の6因子が低下した(同23頁)。
これまでの職業生活で「はたらく幸せ/不幸せの要因が大きく変わった」と回答したのは24.4%で、20代・30代
では「リフレッシュ因子(回復・休息)」「オーバーワーク因子(過重労働負荷)」や「評価不満因子(報われ
なさ)」をあげる割合が多かった。リフレッシュとオーバーワークは、年齢とともに低減する一方、「評価不満」
は40代以降も高止まり、世代を超えた課題であることが示唆されるとしている。(報告書5,9頁ほか)
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/worker-well-being/
●全国の女性社長 68万4,669人 15年間で3.2倍増/民間調査
東京商工リサーチは27日、2025年の「全国女性社長」調査の結果を公表した。全国の女性社長は68万4,669人
(前年比5.4%、3万5,407人増)。2010年の初回調査の21万2,153人から15年間で3.2倍に増えた。
都道府県別では東京都の17万5,258人(前年16万5,102人)が最多、大阪府6万6,145人、神奈川県4万3,954人、
愛知県3万4,474人など大都市圏が並ぶ。
女性社長率(全社長数に対する女性社長の割合)は15.55%(前年15.24%)で過去最高を更新した。都道府県別
では沖縄県20.65%(前年20.62%)が最高、山梨県17.69%、茨城県17.68%、東京都17.47%などが続く。女性
活躍推進が叫ばれ、女性の活躍の場をサポートする取り組みが、少しずつ結実しているとみている。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201934_1527.html
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【企業】
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●50歳以上社員を対象に「ネクストキャリア特別支援施策」を実施/明治HD
明治ホールディングスは28日、事業子会社である明治の社員を対象にした「ネクストキャリア特別支援施策」を実
施すると発表した。2026年3月31日時点で満50歳以上かつ勤続15年以上の管理職および総合職が、自身の専門性
や強みを活かして社外で新たなキャリアに挑戦することを支援する。募集期間は2025年10月29日~12月19日。支
援内容として、退職金に特別支援金を上乗せ支給するほか、希望者には再就職支援サービスを提供する。
https://www.meiji.com/pdf/news/2025/251028_01.pdf
●社員向け「健康クーポン」で食生活をサポート/ファミリーマート
ファミリーマートは14日、社員の健康習慣化を目的とした新たな健康経営施策として「健康クーポン」の配信を
開始した。管理栄養士がプライベートブランド商品の組み合わせを提案し、対象社員へクーポンを配信する。
背景には、同社が2025年7月発行した「健康白書」で、20~30代社員の肥満傾向の増加やBMIが増加傾向にある
社員の約4割が「健康に気を付けているが行動に移せていない」と回答したことがある。「コンビニ事業」であ
る同社ならではの施策で社員の健康習慣化をサポートする。
https://www.family.co.jp/company/news_releases/2025/20251014_02.html
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【法令】
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●労働関係法令一覧(2025年9月公布分)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hourei/202509.html
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<フランス>
▽「法定合意解約」制度の現状と課題(1)/制度利用の増加と失業保険改革
2008年に導入された、解雇と自己都合退職の中間的な労働契約の終了の制度である「法定合意解約」制度の利用
件数が増加している。労使双方にとってメリットがあるため増加しているが、政府は過度な利用を問題視してお
り、同制度を利用した失業保険給付の支出を抑制する改正に乗り出す方針である。政府の改正案は利用件数の抑
制と失業保険収入の増加をねらいとしているが、問題の本質は制度の悪用であり、不正利用を押さえ込む対策の
必要性を主張する声もあがっている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/10/france_01.html
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【イベント】
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●事業主、相談窓口担当者向け「職場におけるハラスメント対策研修」を実施
事業主、相談窓口担当者向けの「職場におけるハラスメント対策研修」(厚生労働省委託事業)が12月11日(木)
にオンライン開催される。企業がハラスメントの予防・解決のための取組をより実効的に進めていくことができ
るよう、ハラスメント対策に関する実務的な内容について解説する。参加費無料・定員は各部1,000人。
2026年2月には、「カスタマーハラスメント対策・就活ハラスメント対策研修」も開催予定。
▽第1部/事業主向け(13:30~14:30)、第2部/相談窓口担当者向け(14:45~15:45)
https://www.tokio-dr.jp/seminar/2025/2025harassment1.html
▽カスタマーハラスメント対策・就活ハラスメント対策研修(2026年2月開催)
https://www.tokio-dr.jp/seminar/2025/2025harassment2.html
●「労務管理の基本」「カスタマーハラスメント」について解説/かながわ労働センター湘南支所
神奈川県かながわ労働センター湘南支所は12月4日(木)に、中小企業労務管理セミナーを藤沢市で開催する。
「労務管理の基本」と「カスタマーハラスメント」に焦点を当て、企業が必要とする実務上のポイントについて
専門家が分かりやすく解説する。テーマ・日時は下記。各回ともに定員45人、無料(事前申込制、先着順)。
▽第1部(10:00~12:00)「実例で学ぶ!働きやすい職場をつくる労務管理の基本~現場で起きたトラブルから学ぶ
リスク回避のポイント~」
▽第2部(14:00~16:00)「カスハラ対策の重要性と義務化に向けた実務ポイント」
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dh3/cnt/f7598/index.html#roumu
(チラシ)
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/22174/r7roumuchirashi.pdf
●労働セミナー&相談会「非正規雇用に関する法律と就業規則整備のポイント」を開催/東京都
東京都労働相談情報センター亀戸事務所は11月27日(木)、28日(金)、労働セミナー「非正規社員を雇用する
会社はぜひ知っておきたい!非正規雇用に関する法律と就業規則整備のポイント」を開催する(会場:江東区)。
内容は1日目「パートタイム・有期雇用労働者と労働法」、2日目「非正規雇用に関する就業規則整備のポイン
ト」。セミナー終了後には非正規雇用に関する相談会を実施。受講無料、要事前申込(先着順、定員50名)
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-kame-000256