メールマガジン労働情報 No.2103

■□――【メールマガジン労働情報/No.2103】

外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策の検討を開始/官邸・閣僚会議 ほか

―2025年11月5日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策の検討を開始/官邸・閣僚会議 ほか
【統計】9月の鉱工業生産、前月比2.2%上昇/鉱工業指数速報
【労使】中小企業の業況DI、3カ月連続で足踏み/日商LOBO調査
【動向】教育訓練休暇給付金制度「活用したい」は3割/民間調査
【企業】ワタミ、75歳まで再雇用/定年は65歳に ほか
【判例命令】関西生コン労組側の請求棄却、捜査の違法性を否定/東京地裁
【海外】「法定合意解約」制度の現状と課題(2)/改革案の問題点と労使の見解・フランス
【イベント】設立20周年記念企画講演「若者が雇用につまずかないために」/NPO法人あったかサポート ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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☆事務職員(中途採用)の募集について(令和7(2025)年度採用)

労働政策研究・研修機構では、情報システムを担当する事務職員を募集します。
詳細は転職・求人サイト「Type」をご覧下さい。
【応募はこちらから】https://type.jp/job-1/1349650_detail/?pathway=5

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【行政】
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●外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策の検討を開始/官邸・閣僚会議

政府は4日、外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議を開催した。会議で首相は、「一部
の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況が生じている」と
し、秩序ある共生社会の実現に向けて、(1)在留資格審査の厳正な運用、国保料や医療費の適正化など、既存
のルールの遵守・各種制度の適正化、(2)不動産の移転登記時や森林取得の届出時の国籍把握の仕組みの検討
など、国土の適切な利用及び管理について、取り組みを推進するよう指示。来年1月を目途に、「総合的対応策
」の改訂に向け、「スピード感を持って検討を進めてほしい」と述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/index.html
▽総理指示
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kakuryokaigi/dai1/sorishiji.pdf

●労働者協同組合の運営に役立つ支援策リーフレットを公開/厚労省

厚生労働省は10月31日、「労働者協同組合の運営に役立つ支援策リーフレット」を公表した。労働者協同組合は、
労働者が組合員として出資し、その意見を反映しつつ自ら事業に従事することを基本原理とする組織。高齢者支
援、店舗運営、配送、子ども支援、広告物や映像制作・イベント企画など、多様な事業分野で就労機会を創出し
ている。労働者協同組合法の施行(2022年10月1日)から3年が経過した時点での労働者協同組合設立数は計168
法人。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65291.html

●11月は「人材開発促進月間」、1日~10日は「障害者人材開発促進旬間」/厚労省

厚生労働省は、職業能力の開発・向上の促進と技能の振興を目指し、11月を「人材開発促進月間」、11月10日を
「技能の日」としている。期間中、国や都道府県などで、「卓越した技能者(現代の名工)」表彰などの催しを
行う。また、11月1日から10日までを、障害者の職業訓練の受講促進や修了後の就職・職場定着を積極的に支援
する「障害者人材開発促進旬間」としている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65147.html
▽リーフレット(労働者向け)
https://www.mhlw.go.jp/content/001572345.pdf
▽事業主向け「人材開発支援策のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/001084235.pdf
▽行事一覧
https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/001589827.pdf

●11月は「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」/厚労省

厚生労働省は、中小企業庁、公正取引委員会と連携し、11月を「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」として
集中的な周知・啓発の取組を行う。大企業の働き方改革の取組が、取引先中小事業者に対する、適正なコスト負
担を伴わない短納期発注や急な仕様変更などの「しわ寄せ」を生じさせている場合があり、また、工事の民間発
注者による短い工期の設定や、荷主による長時間の恒常的な荷待ち等の取引慣行に伴う「しわ寄せ」も生じてい
るとして、同省ではキャンペーンをはじめ様々な取組を通じて、「しわ寄せ」防止の環境整備に努めるとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65204.html
▽「しわ寄せ」防止特設サイト
https://work-holiday.mhlw.go.jp/shiwayoseboushi/

●2025年度「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の受賞者を決定

厚生労働省は10月31日、「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の受賞者として、
「優秀賞」1社、「特別奨励賞」4社を公表した。テレワークの活用によって、労働者のワーク・ライフ・バラ
ンスの実現に顕著な成果をあげた企業や団体が対象。表彰式は、11月19日に都内で開催(オンライン参加も可)。
受賞企業による取組紹介も予定している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65100.html
▽11月は「テレワーク月間」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65078.html

●「賃上げ・最低賃金対応支援特設サイト」をオープン/中小企業庁

中小企業庁は10月30日、「賃上げ・最低賃金対応支援特設サイト」をオープンした。
従業員の賃金を引き上げた際の人件費を計算できる「賃金計算シミュレーション」、自社の収益を図るツール、
「価格交渉・価格転嫁」「売上拡大・生産性向上」「IT活用・省力化」「経営改善・事業再生」などの具体的な
支援策をわかりやすく解説した内容となっている。
https://www.meti.go.jp/press/2025/10/20251030004/20251030004.html

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【統計】
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●9月の鉱工業生産、前月比2.2%上昇/鉱工業指数速報

経済産業省は10月31日、9月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。生産指数(季調値)は前月比
2.2%上昇の102.8で3カ月ぶりの上昇。業種別で上昇したのは、「生産用機械工業」「無機・有機化学工業」
「金属製品工業」等。低下は「輸送機械工業(除く自動車工業)」「鉄鋼・非鉄金属工業」。出荷は100.2で同
0.7%上昇。在庫は99.6で同0.5%上昇。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202509sj.pdf

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【労使】
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●中小企業の業況DI、3カ月連続で足踏み/日商LOBO調査

日本商工会議所は10月31日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)調査」10月調査結果を発表した。全産業合計の業
況DIは、前月比0.3ポイント低下のマイナス18.9と、ほぼ横ばいにとどまった。
高水準での賃上げや暑さの緩和に伴う外出機会の増加により、消費マインドに持ち直しの兆しがみられる一方、
仕入価格に加え、一部地域で今月から最低賃金が引き上げられるなど労務費も高騰しており、業況は3カ月連続で
ほぼ横ばい(前月比プラスマイナス0.9ポイント以内)となった。
トピックス「コスト増加分の価格転嫁の動向」では、コスト増加分のうち、労務費増加分の「価格転嫁の動向」は、
「4割以上の価格転嫁」38.7%(4月調査比2.3ポイント増)。業種別では、建設業58.0%が最高、卸売業47.7%、
製造業40.8%と続く。小売業、サービス業は全体平均を下回った。
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/LOBO202510.pdf
▽調査結果動画
https://www.youtube.com/watch?v=57DO7ZTdKm8

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【動向】
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●教育訓練休暇給付金制度「活用したい」は3割/民間調査

マイナビは10月30日、正社員800名を対象に実施した「リスキリングに対する意識調査」結果を発表した。正社員
の約4人に1人(24.3%)がリスキリングをしたことがあると回答。年収1,000万円以上の層では55.6%と半数を
超えた。リスキリング経験者の約7割が「やって良かった」と回答、主なメリットとして「自己成長・自信が得ら
れた」「仕事の幅が広がる」「収入アップ」などが挙がった。
2025年10月開始の「教育訓練休暇給付金制度」については、約3割が活用意向を示したものの、7割以上が「現
在の職場では制度活用が難しい」と回答。障壁として「時間の確保」「費用負担」が挙がった。許容できる費用
は「5万円未満」が半数以上を占めた。
https://www.mynavi.jp/news/2025/10/post_50809.html

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【企業】
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●ワタミ、75歳まで再雇用/定年は65歳に

外食大手のワタミは10月30日、定年後の社員の再雇用制度について、対象年齢の上限を現行の70歳から75歳に引
き上げると発表した。定年の年齢も60歳から65歳に延ばす。11月1日から適用する。
物価上昇による年金の実質的な減少で高齢者の生活が厳しさを増す中、社員が長く活躍できる体制を整える。
 (時事通信 2025年10月30日)※リンク先なし

●希望退職者100人を募集、構造改革の一環として/東北新社

東北新社は10月31日、希望退職者を100人程度募集すると発表した。2029年3月期までの中期経営計画に基づく
「構造改革」の一環として行うもので、事業の適正規模化と安定的な利益体質への転換を目的としている。
募集対象は、グループ会社を含む40歳以上の正社員、定年再雇用社員、無期契約社員、5年を超える契約社員。
募集期間は2025年12月8日から26年1月9日まで、退職日は2026年3月31日。
退職者には、会社都合退職として扱われるほか、所定の退職金に加えて特別加算金が支給される。また、外部専
門会社による再就職支援も提供予定。退職に伴う特別加算金および再就職支援費用は、26年3月期第4四半期の
連結決算において特別損失として計上される見込み。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2329/tdnet/2705533/00.pdf

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【判例命令】
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●関西生コン労組側の請求棄却、捜査の違法性を否定/東京地裁

関西の生コンクリート業界の労働組合員らが威力業務妨害容疑などで逮捕、起訴され、無罪が相次いだ事件を巡
り、労組や組合員が国と滋賀、京都、和歌山の3府県に計約2,000万円の賠償を求めた訴訟の判決が10月31日、
東京地裁であった。大寄麻代裁判長は捜査の違法性を否定し、請求を棄却した。
取り調べにおける警察官や検察官の言動、長期間の身体拘束などの違法性が争点だった。
大寄裁判長は、労組を「削っていく」などとした検察官の発言について「表現方法が適切かは疑問の余地がある」
としつつ、「社会通念上許容される範囲を逸脱したとまでは認められない」と判断。原告の一人の逮捕・勾留期
間が計約1年9カ月に及んだことについても「順次、身柄の拘束がされ、通算して長期になったからといって直
ちに違法とは言えない」として退けた。
原告の男性(57)は恐喝未遂容疑で逮捕されたが、無罪が確定した。判決後の会見で「控訴して最後まで闘って
いきたい」と前を向いた。代理人の海渡雄一弁護士は「これだけ無罪判決が出た事件で、公平な立場から判断し
たものとはみられない」と批判した。
原告側代理人によると、2018年7月~19年11月、13件の事件で組合員ら延べ81人が逮捕され、同66人が起訴され
た。大阪、大津、和歌山、京都の4地裁で審理され、今年5月までに4件で同12人の無罪が確定した。
(時事通信 2025年10月31日)※リンク先なし

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<フランス>

▽「法定合意解約」制度の現状と課題(2)/改革案の問題点と労使の見解

2008年に導入された法定合意解約制度の利用件数の増加が失業保険財政に悪影響を与えているとの指摘のため、
政府によって改革案が示された。待期期間の延長や雇用主負担の増額といった改正を行うとしているが、この改
正案に対して労使から異論が出されている。特に労働組合は、政府が失業保険支出抑制の口実として法定合意解
約制度の悪用を取り上げていると主張しているほか、雇用主が解雇を偽装するために制度を悪用していると指摘
している。また、手続き上の制度改正ではなく、不正行為の防止に注力した対策を講じるべきであるとの意見も
ある。改革案の実施によって、制度導入前に生じていた悪質な「偽装解雇」による失業手当の不正受給の問題が
再発するとの指摘もある。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/10/france_02.html

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【イベント】
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●設立20周年記念企画講演「若者が雇用につまずかないために」/NPO法人あったかサポート

NPO法人あったかサポートは11月15日(土)、設立20周年記念企画講演「若者が雇用につまずかないために」を
京都市で開催する。
第1部の講演「労働教育の現代的重要性とその拡充の諸条件~海外の事例にも言及しつつ~」に続き、第2部で
は同法人が実施した出前授業の報告を予定。参加は無料、要事前申込。Zoomによるオンライン聴講も可能。
http://attaka-support.org/event/設立20周年記念企画講演「若者が雇用につまずかな

●「フリーランス法の施行状況をめぐる法政策上の課題と芸能」をテーマにシンポジウムを開催

シンポジウム「フリーランス法の施行状況をめぐる法政策上の課題と芸能・クリエイティブ分野の取組み―経済
法と労働法による対応―」が11月22日(土)、オンライン形式で開催される(主催:青山学院大学法学部・
岡田直己教授)。
フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の施行から1年を迎えたいま、経済法と
労働法の研究者、芸能・クリエイティブ分野の実務家、公正取引委員会フリーランス室長らが、フリーランスを
取り巻く法政策上の課題と今後のあるべき方向性を検討する。参加費無料・要事前申込。申込受付15日(土)まで
▽開催要項
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kiji/251122_Flyer.pdf