メールマガジン労働情報 No.2097

■□――【メールマガジン労働情報/No.2097】

25年の賃金引上げ企業91.5%、平均引上げ額1万3,601円/厚労省調査 ほか

―2025年10月15日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成WGが初会合/厚労省 ほか
【統計】25年の賃金引上げ企業91.5%、平均引上げ額1万3,601円/厚労省調査 ほか
【労使】芳野会長が再選、3期目へ、事務局長に電機連合の神保氏/連合の第19回定期大会
【動向】物価上昇の影響、8割超が実感 社会保険料には8割が「負担感」/民間調査 ほか
【企業】30年までに全従業員を「デジタル人財」に、間接業務の生産性向上3倍目指す/スズキ
【海外】台湾当局、国際情勢の不確実性に備えた雇用安定策を実施/台湾
【イベント】「未来を選択する会議(仮称)」発足記念シンポ/日本生産性本部 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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★JILPTリサーチアイ
 第89回「就職氷河期世代(ミドル世代)の働き方と支援ニーズ
 ─ハローワーク・サポステ利用者に対するインタビュー調査の知見から─」
 統括研究員 堀 有喜衣

これまで労働政策研究・研修機構では就職氷河期世代の実態を明らかにするために、独自にインタビュー
調査を実施すると共に、量的なアプローチとして、総務省「就業構造基本調査」の二次分析を進めてきた。
これらの成果は、困難な状況にある就職氷河期世代について、職業への移行やキャリアの実態、現在の意
識を分析の中心としたものであった。
本年6月「就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議」の「基本的枠組み」における、「性別、有業/
無業、雇用形態等の属性別にその実態、支援ニーズ等を詳細に把握するため、インタビュー調査を実施す
る」との問題意識を受け、当機構では、ハローワークの中高年層(ミドルシニア)専門窓口(旧 就職氷
河期世代専門窓口)の利用者、および地域若者サポートステーションの中高年層の利用者に対するインタ
ビュー調査に依拠した分析を実施した。
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/089_251010.html

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【行政】
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●「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成WGが初会合/厚労省

厚生労働省のストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会「小規模事業場ストレスチェック実
施マニュアル」作成ワーキンググループは10日、第1回会合を開催した。現行マニュアルは、実施が義務化され
ている50人以上の事業場を前提としているが、新マニュアルでは、現行版を基に労働者のプライバシー保護を確
保しつつ、小規模事業場にとって現実的で実効性のある体制や方法を示すとともに、少人数事業場特有の留意点
を中心に整理する方針が示された。このほか、資料として「小規模事業場等におけるストレスチェック制度の取
組事例」が提示された。
改正労働安全衛生法(2025年5月14日公布)は、公布から3年以内に常用労働者50人未満の事業場にもストレス
チェックと高ストレス者への面接指導の実施を義務づけることとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64453.html

●「労使関係セミナー」を奈良市で開催/中労委

中央労働委員会は、「労使関係セミナー」を全国で開催している。同セミナーは、裁判例や労働法制に関する情
報を広く発信し、労使紛争の未然防止及び早期解決を図ることなどを目的として、学識経験者による基調講演や
労働委員会委員等によるパネルディスカッションを行っている。
10月30日(木)には奈良県・奈良市で講演「ジョブ型雇用と賃金制度」を開催予定。参加無料。会場受講の場合
は、事前の申込みが必要。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/dl/R070801-1.pdf

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【統計】
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●25年の賃金引上げ企業91.5%、平均引上げ額1万3,601円/厚労省調査

厚生労働省は14日、2025年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表した。2025年中に平均賃金(所定
内賃金の1人当たり平均額)を「引き上げた/引き上げる予定」の企業割合は91.5%(前年91.2%)で、改定額
は1万3,601円(同1万1,961円)、改定率は4.4%(同4.1%)といずれも前年を上回った。定期昇給を「行った・
行う」企業割合 は76.8%、定期昇給制度がある企業で、ベースアップを「行った・行う」企業割合は 57.8%。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/25/index.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/25/dl/09.pdf
▽概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/25/dl/10.pdf

●「景況感DI」が改善/日銀・9月生活意識アンケート調査

日本銀行は10日、生活意識に関するアンケート調査(第103回・2025年9月)の結果を公表した。現在の景況感DI
(1年前対比で「良くなった」-「悪くなった」)はマイナス58.7で前回調査(25年6月)のマイナス67.0から
改善。物価に対する実感(1年前対比)は、「かなり上がった」が69.4%、「少し上がった」が25.4%で、94.8
%が物価上昇を感じている。暮らし向きDI(「ゆとりが出てきた」-「なくなってきた」)はマイナス51.6で前
回調査より5.6ポイント改善。雇用環境DI(1年後をみた勤め先での雇用・処遇の不安を「あまり感じない」-
「かなり感じる」)はマイナス5.2で前回比1.3ポイント改善した。
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2510.htm
▽全文
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2510.pdf

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【労使】
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●芳野会長が再選、3期目へ、事務局長に電機連合の神保氏/連合の第19回定期大会

労働組合の全国中央組織(ナショナルセンター)である連合(芳野友子会長、681万3,000人)は7、8の両日、
都内で第19回定期大会を開催した。これまで2期、会長を務めてきたJAM出身で連合初の女性会長である芳野氏
の続投を正式に決めた。事務局長には、電機連合会長の神保政史氏が新たに就任した。向こう2年間の新運動方
針では、組織拡大・強化を最重点の取り組みに位置づけた。春季生活闘争については「経済・賃金・物価が安定
的に上昇する新たなステージをしっかりと社会に定着させるべく、物価を上回る賃上げの流れを中長期的に継続
することに加え、格差是正の大きなうねりを創り出していく」としている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20251015.html

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【動向】
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●物価上昇の影響、8割超が実感 社会保険料には8割が「負担感」/民間調査

住友生命保険相互会社が9日に発表した「わが家の台所事情アンケート2025」によれば、2025年の物価上昇につ
いて、回答者の82.9%が「影響を受けた」と回答した。影響を受けた費目としては91.3%が「食費」を挙げた。
社会保険料については、80.0%が「重い」と回答、社会保障制度の将来については、現役世代の負担増や年金受
給額の減少などの懸念から、83.4%が「不安を感じている」と回答した。
前年からの年収見込み額が「増える」と回答したのは14.3%にとどまり、年収の増減額(平均)がプラスとなった
のは20~40代のみだった。物価上昇の影響を受けた人のうち、58.5%が「年収アップの必要性を感じる」と回答
し、必要とされる年収アップ額(平均)は34万9,821円(月額換算2万9,151円)だった。
調査は、全国の20~60代の正規雇用の会社員および公務員の男女5,484人を対象に実施された。
https://www.sumitomolife.co.jp/about/newsrelease/pdf/2025/251009.pdf

●管理職の中途採用は49.6%、2021年から10ポイント以上増加/民間調査

マイナビは7日、「管理職の中途採用・管理職転職に関する調査2025年」の結果を発表した。中途採用で管理職
を採用した割合は49.6%(2021年から10.7ポイント増加)。中途採用の理由(複数回答)は、「マネジメント経
験が豊富な人材を求めた」(33.0%)が最多、人事担当者の約7割が管理職の中途採用に「満足している」と回
答した。管理職の転職理由は「会社の将来性に不安」(33.8%)、「会社の経営方針に不満」(23.4%)等。非
管理職の転職理由「給与が低かった」(26.5%)などと比べると、管理職は会社の将来性や経営方針が見えやす
い立場にあることが転職につながりやすいのでは、と分析している。
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20251007_102285/

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【企業】
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●30年までに全従業員を「デジタル人財」に、間接業務の生産性向上3倍目指す/スズキ

スズキは9月30日、全従業員がAI・データを活用して新たな価値提供を目指す「DX戦略」を発表した。役員全員
がデジタル技術の可能性を理解し経営判断に活用できるようになることや、全従業員が、AIを使いこなし業務効
率化を推進する、または市民開発者となり現場に根差した課題を自ら解決していく「デジタル人財」となること
を掲げ、2030年に間接業務生産性(24年度比)の300%向上を目指すとしている。
https://www.suzuki.co.jp/release/d/2025/0930/pdf/0930.pdf
▽「DX戦略」/スズキ
https://www.suzuki.co.jp/ir/library/forinvestor/pdf/dx_strategy.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<台湾>
▽台湾当局、国際情勢の不確実性に備えた雇用安定策を実施

国際情勢の不確実性が増す中、台湾当局は雇用安定を目的とした包括的な政策パッケージを導入した。特別条例
と弁法に基づき、技能向上や雇用促進策を展開するとともに、100億新台湾ドルを労働保険基金に拠出し、労働
者の生活と制度の安定を図る。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/10/taiwan_01.html

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【イベント】
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●「未来を選択する会議(仮称)」発足記念シンポ/日本生産性本部

日本生産性本部は10月27日(月)、社会の気運醸成に向けて幅広いステークホルダーが参画する「未来を選択す
る会議(仮称)」の発足を受け、記念シンポジウムをオンラインで開催する。
「私たちの未来に、いま私たちができることを考えよう。」をテーマに、一人ひとりが希望する「生き方」「く
らし方」「働き方」を実現し豊かに安心してくらすことができる社会づくりに向けて語り合うきっかけを作る。
第2部のパネルディスカッションでは、「人口減少時代の生き方、くらし方、働き方を考える」をテーマに議論
が行われる。参加には事前登録が必要。
https://www.jpc-net.jp/news/detail/20251010_007737.html

●「在宅ワーカーとのマッチング交流会」、参加企業募集/千葉県ジョブサポートセンター

千葉県ジョブサポートセンターは、11月14日(金)開催の「在宅ワーカーとのマッチング交流会」への参加企業
を募集している。さまざまな資格・スキルと経験を持つ在宅ワーカーとの出会いの場を提供する。
会場:ペリエ千葉・ペリエホール(千葉市)、参加費無料。先着15社。
https://www.chiba-job.com/event/6459/