■□――【メールマガジン労働情報/No.2087】
2025年4~6月期の経常利益、過去最高を更新/財務省・法人企業統計 ほか
―2025年9月5日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】労働基準関係法制等について議論/厚労省労働条件分科会 ほか
【統計】2025年4~6月期の経常利益、過去最高を更新/財務省・法人企業統計 ほか
【労使】中小企業の業況DI横ばい、夏休み効果も天候が足かせ/日商LOBO調査
【動向】新入社員の約9割「AIによって仕事の仕方が変わる」/日本能率協会 ほか
【企業】社員の仕事と介護の両立支援に向け新サービス/山梨中央銀行など4社
【海外】「社会保険料未納の合意は無効」/最高人民法院が明確化・中国 ほか
【イベント】9月は「障害者雇用支援月間」/JEED ほか
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【JILPTからのお知らせ】
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☆任期付研究員(テニュアトラック)の募集について(2026年度採用)
労働政策研究・研修機構では、労使関係・人事労務管理分野で任期付研究員(テニュアトラック)を募集します。
応募書類提出期限:2025年9月30日(火)必着。
【募集要項】
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2025/05.html
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【行政】
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●労働基準関係法制等について議論/厚労省労働条件分科会
厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会は4日、第202回会合を開き、労働基準関係法制等について議論した。
資料No.2「労働時間法制の具体的課題」では、「労働基準関係法制研究会報告書」(2025年1月)が長時間労働の
抑制のため「均衡割増賃金率」を考慮した割増賃金率の検討を提起したことをうけ(同報告書47頁)、均衡割増賃
金率は44.3%(2021年)との試算を示した。また、一斉休憩の現行の規定・解釈、裁量労働制等について議論した。
このうち「年次有給休暇の国際比較」(2頁)では、JILPTの調査研究成果等が引用された。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62773.html
(資料に引用されたJILPT調査研究成果)
資料シリーズNo.248『諸外国の労働時間法制とホワイトカラ―労働者への適用に関する調査―アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2022/248.html
『データブック国際労働比較2025』
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2025/index.html
●中小企業等への支援内容を公表、日産追浜工場の車両生産終了で/経産省
経済産業省は8月29日、日産自動車追浜工場生産終了等により影響を受ける中小企業等への支援内容を公表した。
資金繰りをはじめとする経営上の相談を受け付ける特別相談窓口を設置するほか、専門家によるアドバイス、公
的金融機関による資金繰り支援、補助金事業における優先採択を行う。また、同日、神奈川県知事と横浜、横須
賀の両市長は、地域経済に及ぼす影響は甚大であるとして、厚生労働大臣と経済産業大臣に対する要望書を提出
した。
https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250829001/20250829001.html
▽神奈川県 記者発表資料
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/z7a/prs/r3901525.html
●泉北ニシイ外1社不当労働行為再審査事件で初審命令を維持/中労委
先行事件の初審命令(労働者供給の依頼をしなくなったことが不当労働行為であるとして文書交付を命令)の履
行問題等に関する団交申入れに会社が応じなかったことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件の
再審査事件において、中央労働委員会は8月4日、組合の団交申入れは先行事件の初審命令の履行を求めるもので、
先行事件における労働者供給再開を求めるものとは異なると解すべきであるが、先行事件の初審命令救済部分は
取り消されており、再審査において救済を命ずべきことにはならないとして初審命令を維持した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r070805-1.pdf
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【統計】
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●2025年4~6月期の経常利益、過去最高を更新/財務省・法人企業統計
財務省は1日、2025年4~6月期の「法人企業統計調査」結果を公表した。全産業(金融業、保険業を除く)の
売上高は、前年同期比0.8%増、経常利益は0.2%増、設備投資は7.6%増となった。経常利益(35兆8,338億円)
は、四半期ベースの過去最高益を更新した。
同日公表の年次別結果では、2024年度の全産業売上高(1,692兆4,018億円)、経常利益(114兆7,288億円)は過去最
高を記録。企業の長期的収益力の指標とされる「利益剰余金」は、6.1%増の637兆5,316億円となった。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/data.htm
▽2025年4~6月期
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r7.4-6.pdf
▽2024年度・結果概要
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r6.pdf
●7月の鉱工業生産、前月比1.6%低下/鉱工業指数速報
経済産業省は8月29日、7月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。生産指数(季調値)は前月比
1.6%低下の101.6で2カ月ぶりの低下。業種別では、「自動車工業」「生産用機械工業」「汎用・業務用機械工
業」などが低下。一方、「電気・情報通信機械工業」「化学工業(除く無機・有機化学工業・医薬品)」「電子
部品・デバイス工業」などが上昇した。出荷は98.9で同2.5%低下、在庫は100.0で同0.8%上昇。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要冊子
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202507sj.pdf
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【労使】
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●中小企業の業況DI横ばい、夏休み効果も天候が足かせ/日商LOBO調査
日本商工会議所は8月29日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」8月調査結果を発表した。全産業合計の業況
DIは、前月比0.1ポイント増のマイナス18.8と、ほぼ横ばいにとどまった。サービス業では、夏休みやイベント
による需要増で宿泊施設や飲食店を中心に改善が見られた一方、建設業では全国的な猛暑や一部地域での大雨の
影響により工事の作業効率が低下し、業況は悪化した。卸売業も農業被害による食料品の仕入れ難から悪化する
など、天候が足かせとなった。先行き見通しDIは、今月比1.2ポイント増のマイナス17.6。残暑の厳しさや生鮮
品の価格高騰、外出控えの継続が懸念される一方、高水準の賃上げが消費マインド改善の下支えとなる可能性も
あるとしている。
付帯調査「米国関税措置の影響」では、「現時点で影響がある」「今後、影響が及ぶことが見込まれる」は27.9%
となり、2025年5月調査の42.5%から大きく減少した。
https://www.jcci.or.jp/news/news/2025/0829110000.html
▽付帯調査
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/LOBO202508.pdf
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【動向】
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●新入社員の約9割「AIによって仕事の仕方が変わる」/日本能率協会
日本能率協会は8月25日、「2025年新入社員意識調査」結果を発表した。同会が提供する公開教育セミナーに参
加者した新入社員を対象に、仕事や働くことに対する意識について調査。AIによって仕事の仕方が変わるかにつ
いて、「変わると思う」が88.1%を占めた。AIを使った仕事については「したい」28.5%、「機会があればした
い」61.3%と約9割が「したい」と回答。「できればしたくない」は10.2%だった。学歴別でみると大学卒、大
学院卒では「したい」が3割超だが高校卒は13.0%にとどまり、企業が全社員のITリテラシーを底上げする体系
的な教育機会を提供する必要性が高まっていると指摘している。使ったことのあるAIの上位には「ChatGPT」
「Gemini」「Copilot」が並んだ。
https://jma-news.com/archives/6678
▽詳細
https://jma-news.com/wp-content/uploads/2025/08/20250825_New-employee-survey_release.pdf
●半年で早期離職の場合、企業の損失額「640万円」/民間調査
エン・ジャパンは8月27日、同社の転職サイトユーザーを対象にした「早期離職」に関する調査結果を発表した。
入社から半年以内の「早期離職」を経験した人は31%。このうち、後悔した人は20%で、その理由としては「転
職活動が大変になった」が最多だった。早期離職した職種としては「営業系」「バックオフィス・事務系」が上
位に挙がった。入社から半年で早期離職が発生した場合に企業が被る損失について、年収600万円程度の人材の
場合で「640万円」と試算している。
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/42845.html
●内々定承諾、決め手は「福利厚生」など/民間調査
マイナビ(東京都千代田区)は8月26日、2026年卒業予定の大学生、大学院生を対象に実施したキャリア意向調
査(7月)結果を発表した。理想の就職先を100点とした際の入社予定先の点数は平均86.5点だった。100点にな
る条件を尋ねたところ、「勤務地を明確にする」「給与・福利厚生の向上」などが挙がった。内々定を承諾した
決め手としては「福利厚生の充実」37.9%、「希望する勤務地で働ける」31.1%、「給与や賞与が高い」29.1%
で、3月調査時点でトップだった「給与や賞与」は3位に後退した。その理由として、就職活動を進めていく中
で給与の高さだけではなく、働く環境などを複合的に考え決定していると分析した。
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250826_100140/
●テレワーク実施率は22.5%、前年からほぼ横ばい/民間調査
パーソル総合研究所は8月27日、「第10回テレワークに関する調査」の結果を公表した。2025年7月時点のテレ
ワークの実施率(正規雇用社員)は22.5%で2024年同時期の22.6%からほぼ横ばい。2023年以降、全体的な実施
率は安定的な定着傾向を見せているとしている。テレワーク頻度は、「1週間に1日未満」が29.1%、「1週間
に1日程度」が20.3%で、2024年と比較すると、「週に1日以下」のテレワーカーが43.6%から49.4%に増え、
テレワーク頻度は減少傾向にある。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/telework-survey10/
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【企業】
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●社員の仕事と介護の両立支援に向け新サービス/山梨中央銀行など4社
山梨中央銀行、ウェルフェア、グッドウェイ、メディトリーナの4社は1日、社員の仕事と介護の両立支援に
向け業界の垣根を越えた新サービスを提供すると発表した。
IT企業であるウェルフェアが全体を統括し、地域金融機関・山梨中央銀行が地域企業との橋渡し役を務める。
さらに、グッドウェイが事業創出に向けた戦略立案と情報発信を、メディトリーナはビジネスケアラー支援
に関する知見を提供することで「ビジネスケアラー」を支援、介護離職防止と人的資本経営・DXを推進する。
https://www.yamanashibank.co.jp/assets/files/K20250901_renkei.pdf
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【海外】
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<中国>
▽「社会保険料未納の合意は無効」/最高人民法院が明確化
最高人民法院は8月1日、「労働争議案件の審理における法律適用問題に関する解釈(二)」を公表した。今回の
司法解釈は、競業避止義務、福利待遇、社会保険紛争などに焦点を当て、法律適用の基準を統一することを目的と
している。特に、社会保険納付の履行義務は大きな関心を集めており、社会的議論も高まっている。本解釈は9月
1日より施行される。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/08/china_01.html
▽個人年金、受給要件などを明確化/9月1日より施行
人的資源・社会保障部、財政部、国家税務総局、金融監督総局、中国証券監督管理委員会はこのほど、「個人年
金に関する受給についての通知」を共同で発表し、個人年金の受給要件や受給方法などに関する具体的な運用を明
確にした。本通知は9月1日から施行される。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/08/china_02.html
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【イベント】
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●9月は「障害者雇用支援月間」/JEED
高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)は、9月の「障害者雇用支援月間」において、事業主のみならず、
広く国民に対して障害者雇用の機運を醸成するとともに、障害者の職業的自立を支援するため、厚生労働省、都
道府県と協力して、さまざまな啓発活動を展開している。月間では、「障害者雇用優良事業所等全国表彰式」、
「絵画・写真コンテストの入賞作品の紹介」、「障害者雇用職場改善好事例の案内」などを行う。
https://www.jeed.go.jp/disability/activity/education/index.html
●「派遣労働者の同一労働同一賃金オンラインセミナー」/東京労働局
東京労働局は9月22日(月)、「派遣労働者の同一労働同一賃金オンラインセミナー~労使協定作成実務~」を
Zoomによるオンラインで開催する。派遣労働者の同一労働同一賃金に関する労使協定の作成方法について、
労使協定作成実務担当者向けの内容で、どなたでも参加可、受講無料。申込専用フォームから要事前申込。
今後、2026年2月まで月1回、同一内容で実施予定、繰り返し・一部のみ受講も可。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/jyukyuuchousei_070922_01_00001.html
●「在宅ワーカー活用セミナー」/千葉県ジョブサポートセンター
千葉県ジョブサポートセンターは9月18日(木)、「在宅ワーカー活用セミナー」をオンライン開催する。
企業支援実績を持つ講師が、導入企業の成功事例や導入するためのステップ・制度設計・マネジメントなどを解説する。
対象は県内企業の経営者・担当者。参加費無料・定員50名(先着順)。
https://www.chiba-job.net/event/1517/