メールマガジン労働情報 No.2028

■□――【メールマガジン労働情報/No.2028】

「今後の労働安全衛生対策について」を建議/厚労省労政審 ほか

―2025年1月22日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】「今後の労働安全衛生対策について」を建議/厚労省労政審 ほか
【統計】95%以上が1年前と比べ「物価上昇を実感」/日銀・生活意識アンケート調査 ほか
【労使】賃金体系維持分を含めて6%基準、格差是正に向けて額では1万7,000円要求をめざす/UAゼンセンの中央委員会 ほか
【企業】「育孫休暇」と「社会貢献休暇制度」を導入/リンガーハット ほか
【海外】21州が最低賃金を引き上げ ―2025年1月、約926万人の賃金が上昇の見込み/アメリカ
【イベント】過労死等防止調査研究センター「研究成果発表シンポジウム」/労働安全衛生総合研究所 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム「労働市場の変化と人材育成―日独比較の考察―」 申込受付スタート!

本フォーラムでは、職務や職業に基づく労働市場が最も発達した国の一つであるドイツと、労働市場改革の
早期実行を掲げている日本との比較考察を通じ、労働市場と人材育成を取り巻く課題と展望について議論します。
労働・職業資格研究所の設立者であり、欧州委員会や連邦省庁の顧問を務めるゲアハルト・ボッシュ教授による
特別講演、国内の学識者による研究報告、およびパネルディスカッションを予定。参加無料。

日時  :2025年3月13日(木) 13時50分~17時15分 *途中休憩あり
開催方式:オンライン開催(Zoomウェビナー)
<登壇者>
 ゲアハルト・ボッシュ(Gerhard BOSCH)
      デュースブルグ=エッセン大学 社会学部教授/労働・職業資格研究所(IAQ)上級教授
 佐藤 厚  法政大学キャリアデザイン学部教授/日本労使関係研究協会会長
 中村天江 連合総合生活開発研究所主幹研究員
 山内麻理 国際教養大学客員教授
 藤村博之 労働政策研究・研修機構(JILPT)理事長
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250313/index.html

★労働政策フォーラム(2024年11月28日開催)の動画を公開しました!

「『新版OHBYカード』とキャリアコンサルティング
 ──現代社会における自己理解・職業理解とキャリア支援」

パネルディスカッション部分は2月24日までの公開(予定)です。
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20241128/video/index.html

★当館所蔵貴重書『安全第一』が「労働遺産」に/労働図書館

JILPT労働図書館では、閲覧室内に展示コーナーを設け、所蔵資料を展示しています。
このたび、安全第一協会機関誌『安全第一』が、日本労働ペンクラブ総会において
「労働遺産」に認定されました。機関誌『安全第一』とともに、労働遺産認定証、関連資料を展示しています。
https://www.jil.go.jp/lib/index.html
▽『安全第一』について
https://www.jil.go.jp/lib/info/20241118/anzendaiichi_poster.pdf

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【行政】
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●「今後の労働安全衛生対策について」を建議/厚労省労政審

労働政策審議会は17日、安全衛生分科会の「今後の労働安全衛生対策について(報告)」を厚生労働大臣に
建議した。個人事業者等の安全衛生対策では、個人事業者を含む混在作業での注文事業主の安全防止対策や
個人事業者等の業務上災害の報告制度の創設などを提起。メンタルヘルス対策では、ストレスチェックを
50人未満の事業所でも義務化すること、高年齢労働者の労災防止では必要な措置を事業主の努力義務として
指針で示すこと、女性特有の健康課題については一般健康診断の問診表に質問を追加すること、治療と仕事の
両立支援では必要な措置を事業者の努力義務として指針を示すこと、などを挙げている。同省では、建議の
内容を踏まえて法律案要綱を作成し、労政審に諮問する予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00020.html
▽建議
https://www.mhlw.go.jp/content/001377880.pdf
▽概要
https://www.mhlw.go.jp/content/001377082.pdf

●民間主要企業の年末一時金、過去最高額/厚労省調査

厚生労働省は17日、2024年の「民間主要企業年末一時金妥結状況」(加重平均)を公表した。
平均妥結額は89万1,460円、前年比4万1,915円(4.93%)増。過去最高の額で、3年連続の80万円台となった。
平均要求額は93万3,804円で、同5万1,687円(5.86%)の増。集計対象は、妥結額などを把握できた、
資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業324社。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_48748.html
▽資料
https://www.mhlw.go.jp/content/12604000/001371838.pdf

●当面、「物価上昇を上回る賃上げの定着」を最優先目標に/経済財政諮問会議

政府は17日、経済財政諮問会議を開催し、2025年前半の検討課題及び中長期の経済財政に関する試算について
議論した。首相は議論を踏まえ、「日本経済は、成長型経済へと移行できるか否かの分岐点」にあるとし、
「当面、『物価上昇を上回る賃上げの定着』を最優先目標に据え、経済運営に取り組む」と述べた。
有識者議員からの「一人当たり賃金が継続的に3パーセント程度の増加を続ける経済の実現に取り組むべきで、
中長期的に、経済・財政・社会保障の持続可能性確保のため、実質1パーセントを安定的に上回る成長を
実現しつつ、歳出・歳入両面から改革に取り組むべきという指摘」については、「議論を深め、内閣が目指す
経済財政政策の全体像を骨太方針で示していく」と述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202501/17keizai.html
▽資料
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/0117/agenda.html

●悪い方向に向かっている分野、「物価」が7割/内閣府調査

内閣府は17日、「社会意識に関する世論調査」(2024年10月調査)の報告書概略版を公表した。
現在の日本の状況について、「悪い方向に向かっている分野」(複数回答、p.56)の最多は、「物価」で
70.8%(前回2023年調査69.4%)。次いで「景気」51.1%(同58.1%)、「国の財政」46.9%(同58.4%)。
「現在の社会で満足していない点」(複数回答、p.39)の最多は、「経済的なゆとりと見通しが持てない」で
60.6%(同63.2%)。次いで「若者が社会での自立を目指しにくい」26.9%(同28.2%)、「子育てしにくい」
26.1%(同28.6%)。「満足している点」(複数回答、p.36)は、「良質な生活環境が整っている」41.5%
(同41.1%)が最多、次いで「心身の健康が保たれる」18.5%(同20.0%)。「働きやすい環境が整っている」
は14.9%(同11.9%)で、比率が増加した。調査対象は18歳以上の3,000人で、有効回収数1,777人。
https://survey.gov-online.go.jp/202501/r06/r06-shakai/gairyaku.pdf

●化学物質管理強調月間を初めて実施/厚労省

厚生労働省は2月1日から28日までの1カ月間、「化学物質管理強調月間」を実施する。同省では、化学物質
による労働災害防止のため、労働安全衛生法に基づく新たな化学物質規制を導入し、2024年4月から施行した。
「化学物質管理強調月間」は、職場における危険・有害な化学物質管理の重要性に関する意識の高揚を図る
とともに、化学物質管理活動の定着を図ることを目的に毎年2月に実施するとして、今回が初めての実施。
月間中にはイベントなどを開催する。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46325.html
▽化学物質による労働災害防止のための新たな規制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
▽セミナー「化学物質の自律的管理~ビルメンテナンス・清掃業界、外食業界及びホテル・旅館業等第三次産業における洗剤等による事故の防止に向けて~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_48431.html

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【統計】
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●95%以上が1年前と比べ「物価上昇を実感」/日銀・生活意識アンケート調査

日本銀行は17日、生活意識に関するアンケート調査(第100回・2024年12月)の結果を発表した。
物価に対する実感(1年前対比)は、「かなり上がった」が69.2%、「少し上がった」が25.9%で、
95.1%が物価上昇を実感している。現在の景況感DI(1年前対比で「良くなった」-「悪くなった」)は
マイナス55.9で前回調査(24年9月)より7.7ポイント悪化。暮らし向きDI(「ゆとりが出てきた」-
「なくなってきた」)はマイナス52.4で前回調査より5ポイント悪化。
雇用環境DI(1年後をみた勤め先での雇用・処遇の不安を「あまり感じない」-「かなり感じる」)は
マイナス0.7で前回比1.5ポイント改善した(全文p.9)。
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2501.htm
▽全文
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2501.pdf

●11月の基調判断、「持ち直しの動きが見られる」に上方修正/機械受注統計

内閣府は20日、機械受注統計調査報告(2024年11月実績)を公表した。機械受注総額は、前月比14.4%減の
2兆9,817億円(季調値)。民間設備投資の先行指標である「民需(船舶・電力を除く)」は、同3.4%増の
8,996億円で、2カ月連続の増加。うち製造業は同6.0%増・4,629億円で、非製造業(船舶・電力を除く)は
同1.2%増・4,537億円。基調判断は「持ち直しの動きが見られる」で上方修正。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2024/2411gaiyou.pdf
▽調査報告(本文)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2024/2411juchu-1.pdf

●11月の生産指数、前月比2.2%低下/鉱工業指数確報

経済産業省は20日、11月の「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)」確報値を公表した。
生産指数(季節調整済)は前月比2.2%低下の101.8で3カ月ぶりの低下。業種別で低下は、生産用機械工業、
自動車工業、金属製品工業等、上昇は汎用・業務用機械工業、輸送機械工業(自動車工業を除く)、化学工業
(無機・有機化学工業を除く)等。出荷は前月比2.5%、在庫は同1.0%のいずれも低下。在庫率は同3.2%上昇。
速報に比べ、生産、出荷は上方修正、在庫は下方修正、在庫率は変わらず。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202411kj.pdf

●1月の総人口、前年同月比56万人減/総務省人口推計

総務省は20日、人口推計の2025年1月概算値及び24年8月の確定値を公表した。
1月1日現在の総人口(概算値)は1億2,359万人(前年同月比56万人・0.45%減)。
8月1日現在の総人口(確定値)は1億2,388万7千人(同55万2千人・0.44%減)。
年齢階層別(確定値)では「15歳未満」2.42%減、「15~64歳」0.31%減、「65歳以上」0.06%増、
うち「75歳以上」人口は3.48%増加した。
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202501.pdf
▽統計表等
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

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【労使】
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●賃金体系維持分を含めて6%基準、格差是正に向けて額では1万7,000円要求をめざす/UAゼンセンの中央委員会

流通、サービス、繊維、化学、医薬など幅広い産業をカバーし、パートタイム労働者も多く組合員とする
UAゼンセン(永島智子会長、193万6,000人)は16日、大阪府大阪市で中央委員会を開き、2025労働条件闘争方針
を決定した。正社員組合員の賃上げ要求基準は、賃金体系が維持されている場合は「賃金体系維持分に加え
4%基準」とし、賃金体系が維持されていない場合は「6%基準」と設定。また、中小組合の格差是正を
効果的に進めるため、額での要求基準も示し、「格差是正分を含めて、賃金体系が維持されている組合は
賃金体系維持分に加え、1万2,500円、賃金体系が維持されていない組合は1万7,000円に達するよう積極的に
取り組む」ことも明記した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250122a.html

●「月3万2,000円以上、時給200円以上(10%以上)」の賃上げを求める/国民春闘共闘の春闘方針

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:秋山正臣全労連議長)は16日、都内で
第1回単産・地方代表者会議をオンラインとの併用で開き、2025年の国民春闘方針を確認した。賃上げ
要求基準として、「月3万2,000円以上、時給200円以上(10%以上)」の賃上げを求める。要求は
24春闘より月額で2,000円、時給も10円増額した。また、企業内最低賃金は前年と同じ「時給1,500円以上、
月22万5,000円以上」を掲げている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250122b.html

●「価格転嫁の商習慣」定着に向けて、経済3団体連名で呼びかけ/経団連・日商・同友会

経団連、日本商工会議所、経済同友会は16日、「社会全体における「価格転嫁の商習慣」の定着に向けて
~構造的な賃上げによる成長型経済の実現へ~」を連名で発表した。コスト転嫁率が約50%と価格転嫁は
「道半ば」とし、地域経済の好循環には中小企業が「適正な価格転嫁を通じて賃上げ原資を安定的に確保
できるかが鍵」で、会員企業に対し「パートナーシップ構築宣言」の趣旨の徹底と実行、未宣言企業への
宣言への参画を、また、価格転嫁を社会全体で受け入れる商習慣の確立を呼びかけた。
▽経団連
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/003.html
▽日商
https://www.jcci.or.jp/news/jcci/2025/0116133002.html
▽経済同友会
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/2024/250116.html

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【企業】
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●「育孫休暇」と「社会貢献休暇制度」を導入/リンガーハット

外食産業のリンガーハットは12月24日、2024年度に2つの新たな休暇制度を制定したと発表した。一つは
「育孫休暇」で、孫の預かり、運動会・参観などに年6日間(1カ月に3日間まで)利用可能。定年の
引き上げや定年後再雇用など働き方の多様化や、祖父母による子育て支援の必要性、社員からの希望などを
踏まえ、24年5月1日より導入。もう一つは「社会貢献休暇制度」で、社員のボランティア活動のための
休暇制度。24年11月1日より導入し、国指定の大規模災害または会社指定の災害では1カ月最大5日間・
年2回まで、ドナー登録・提供では検査に要した日数を取得できる。同社は能登半島地震などで炊き出し支援を
しており、個々の社員のボランティア活動への取り組みを後押しするとしている。
https://www.ringerhut.co.jp/news/2024/1224_1/

●ホンダ、高度人材の定年廃止へ 競争力低下防止、年齢上限設けず

ホンダは17日、高度専門人材の定年制度を今年6月に廃止すると発表した。電動化・人工知能(AI)領域
などで高い技能を持つ一部従業員については、退職で競争力が低下しないよう65歳以降も就労可能とする。
年齢上限も設けない。
貝原典也副社長は記者会見で「少子高齢化で人手が減っていく中、既存事業への知見が薄れていくことを回避
したい」と意義を説明した。
また、喫緊の課題とするソフトウエア領域の専門人材を育成するため、2030年までの5年間で約150億円を投資
すると発表。ソフトに性能が左右される最先端車両の開発競争が激化する中、オンライン講座などで社員の
能力向上を図る。経験者採用も積極化する方針だ。
(時事通信)2025年1月17日 ※リンク先なし

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【海外】
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●国別トピック

<アメリカ>
▽21州が最低賃金を引き上げ ―2025年1月、約926万人の賃金が上昇の見込み

全米50州のうち21州が2025年1月1日に最低賃金を引き上げた。全米規模の物価指標に連動する方式で最賃を
改定した州の多くは、2.4%程度の引き上げ率となっている。リベラル系シンクタンク・経済政策研究所
(Economic Policy Institute、EPI)の試算によると、今回の最賃引き上げにより、全米で約926万人の
労働者の賃金が上昇する。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/01/usa_02.html

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【イベント】
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●過労死等防止調査研究センター「研究成果発表シンポジウム」/労働安全衛生総合研究所

労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センターは3月5日(水)、「研究成果発表
シンポジウム」を会場(都内港区)とオンラインで開催する。過労死等防止対策推進法制定から10年を経て、
より具体的な対策の取り組みが求められている。今年度のシンポジウムでは「働きやすさと働きがいを追求する」
をテーマに、最新の研究成果の発表、企業の取り組み報告、より働きやすい職場にするための総合討論を行う。
参加無料、要事前登録。会場は先着50名、WEB参加も定員に達し次第締切。
https://records.johas.go.jp/news/r6sympo

●セミナー「外国人雇用と労働法~雇入れ時の注意点や改正入管法について~」/かながわ労働センター川崎支所

神奈川県かながわ労働センター川崎支所は2月12日(水)、中小企業労務管理セミナー「外国人雇用と労働法~
雇入れ時の注意点や改正入管法について~」を川崎市で開催する。入管法専門で外国人材の活用を支援する
弁護士が、外国人雇用に際しての留意点や技能実習制度等について実務的な視点から解説する。受講料無料。
定員40名、申込先着順(県内在住・在勤を優先)。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jg5/cnt/f7615/index.html#roumukanri