メールマガジン労働情報 No.2009

■□――【メールマガジン労働情報/No.2009】

新内閣の重点課題、マクロ経済運営など議論/経済財政諮問会議 ほか

―2024年11月6日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】新内閣の重点課題、マクロ経済運営など議論/経済財政諮問会議 ほか
【労使】「価格協議できている」企業は74%、「4割以上の価格転嫁」できた企業は52%/日商LOBO調査
【動向】賃金増加幅が物価上昇幅より「大きい」は7.9%/連合総研調査
【企業】早期退職に604名が応募/住友ファーマ
【海外】労働条件の引き下げを目的とした解雇・再雇用に差止命令/イギリス ほか
【イベント】シンポジウム「人材育成と企業連携~技術革新や産業構造の転換への労使の対応~」/連合総研 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇資料シリーズNo.285『過重負荷による労災認定事案の研究 その6』

2010年度から20年度における脳・心臓疾患の労災認定事案のうち、「長期間の過重業務」が過重負荷として
認定された事案を分析しました。一勤務あたり平均の拘束時間が16時間以上の事案が8.2%で、1カ月あたりの
拘束時間は平均313.93時間、320時間以上の事案が32.9%を占めている、などがわかりました。また、
「農林漁業従事者」、「輸送・機械運転従事者」、「保安職業従事者」等の職種で一勤務あたりの拘束時間、
1カ月あたりの拘束時間が長いこともわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/285.html

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【JILPTからのお知らせ】
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◇英文ジャーナル『Japan Labor Issues』(電子版)2024年特別号(No.50)を公開しました!

本号は特別号として、今年3月にJILPTが開催した第7回国際比較労働政策セミナー
「労働者・働き方の多様化と集団的労使関係の課題――労働組合の役割の再検討」の特集をお届けします。
基調講演とアジア太平洋地域の研究者(10の国と地域)が発表した研究レポートを収録しています。
https://www.jil.go.jp/english/jli/index.html

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【行政】
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●新内閣の重点課題、マクロ経済運営など議論/経済財政諮問会議

政府は1日、経済財政諮問会議を開催し、新内閣における重点課題とマクロ経済運営などについて議論した。
首相は議論を踏まえ、コストカット型経済から高付加価値創出型経済への移行に向けて、「地方こそ成長の主役
との考え方の下、地方創生の取組を再活性化し、地域資源を中心とした新たな価値の創造に取り組んでいく」と
述べた。対策には、地方創生施策の展開、賃上げ環境の整備、成長力に資する国内投資の促進などの取組を
盛り込むよう指示。また、適切な価格転嫁と生産性向上支援などにより、最賃の着実な引き上げと物価上昇を
上回る賃金増加を定着させていく、などとした。
https://www.kantei.go.jp/jp/102_ishiba/actions/202411/01keizai.html
▽資料
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/1101/agenda.html

●賃金と物価の好循環で物価上昇の基調も、為替変動リスクに注視/日銀・展望レポート

日本銀行は1日、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」(2024年10月)を発表した。「基本的見解」では、
消費者物価は2024年度に2%台半ばとなった後、2025年度と26年度は概ね2%程度で推移すると予想。
賃金と物価の好循環が引き続き強まり、『物価安定の目標』と概ね整合的な水準で推移するとしている。
リスク要因については、「企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替変動が
物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」などと指摘した。また、正社員の人手不足感が強まる
傾向が企業規模別にも確認でき、企業の賃金設定スタンスに変化をもたらす可能性がある(p.38)、
最低賃金の継続的引き上げがサービス価格を中心とした物価の押上げにつながる(p.39)などの分析を紹介している。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410a.pdf
▽全文
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410b.pdf

●「生涯現役地域づくり環境整備事業情報交換会」を開催/厚労省

厚生労働省は11月20日(水)、「令和6年度 生涯現役地域づくり環境整備事業情報交換会」を開催する。
同省では、自治体を中心とした協議会により、地域のニーズを踏まえた、高年齢者等の雇用・就業支援の
取組を支援するとともに、それを持続可能にするモデルの構築と他地域への展開や普及を図ることを支援する
「生涯現役地域づくり環境整備事業」を実施している。情報交換会では、有識者による基調講演、事業を
実施している地域の事例発表、ディスカッションを行い、各取組の質の向上とともに情報展開を図る。地域の
高年齢者雇用や就業等に関心のある人は、オンラインによる一般参加可。参加無料、事前申込制(締切:11月11日(月))。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44741.html
▽申込ページ(事業委託先サイト)
https://pwp.langate.co.jp/R06/form4300/entry.php

●「立ち作業」の負担軽減対策、取組事例を掲載/厚労省ホームページ

厚生労働省はホームページで「立ち作業の負担軽減対策の取組事例紹介」を掲載している。
持続的に立ち姿勢で作業を行う「立ち作業」は、「工場のライン作業」や「スーパーの会計作業」、
「工事現場における交通誘導作業」など様々な場面で見られる。立ち作業に伴う足腰の負担を軽減するために、
作業中に座ることができるイスを設置するなど、作業環境の工夫による対策を実施している例もあるとして、
小売業、警備業などの企業事例を掲載している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43968.html

●「労働基準関係法令違反に関する公表事案」を公表/厚労省

厚生労働省は10月31日、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を公表した。
2023年10月1日から2024年9月30日の間に、都道府県労働局が労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、
労働安全衛生規則等の労働基準関係法令違反の疑いで送検し公表した内容を都道府県別に集約したもの。
https://www.mhlw.go.jp/content/001150620.pdf

●フリーランス法の規定ごとに、法施行前の実態調査結果を公表/厚労省・公取委

厚生労働省と公正取引委員会は、フリーランス法の規定ごとに、法施行前の状況調査の結果を公表している。
取引条件の明示については、明示しなかったことがあるとの回答は、委託者17.4%、フリーランス44.6%で、
いずれも建設業がトップ。多くは口約束、文字で証拠を残すことを嫌がる傾向があるなどのフリーランスの
声も紹介している。フリーランス側の回答で、法施行後に問題となりうる行為の割合が高かったのは、
買いたたき67.1%、価格転嫁62.5%、不当な経済上の利益の提供要請41.8%など。また、妊娠・出産・育児・
介護との両立については、フリーランスの70.7%が仕事の依頼者に求めたい配慮があると回答している。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/oct/241018_freelance2.pdf

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【労使】
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●「価格協議できている」企業は74%、「4割以上の価格転嫁」できた企業は52%/日商LOBO調査

日本商工会議所は10月31日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」10月調査結果を発表した。コスト増加分の
価格転嫁の動向調査では、「価格協議」が「できている」企業は73.9%で、「4割以上の価格転嫁」できた
企業は52.2%。労務費増加分の価格転嫁については、「4割以上の価格転嫁」が実施できた企業は36.8%。
10月の業況DIはマイナス17.2(前月比3.1ポイント低下)で、物価高による消費低迷が続き、再び悪化。
コスト増や人手不足の中、価格転嫁は十分には追いついておらず、中小の業況は再び悪化、とした。
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2024/10/LOBO202410.pdf

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【動向】
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●賃金増加幅が物価上昇幅より「大きい」は7.9%/連合総研調査

連合総研は10月31日、第48回「勤労者短観調査」(勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート調査)の
首都圏・関西圏版分析結果を発表した。1年前と比較した賃金収入の変動幅と物価上昇幅の差について、
賃金の増加幅が物価上昇より「大きい」と回答した割合は7.9%(前回2024年4月調査は6.6%)、
「小さい」は59.3%(同60.0%)。就業形態別では、賃金の増加幅が物価上昇より「大きい」とした
正社員は9.4%で前回調査より増加、非正社員は4.7%で同減(p.3)。また、1年前と比べた
賃金収入の増減D.I.(増えた-減った)は、正社員10.9、非正社員5.8で、いずれも8期連続上昇(p.6)。
非正社員が前回調査(0.7)から大きく改善し、正社員との差が縮小した。
今回調査では、在宅勤務、ワークライフバランス等のトピック調査の結果も掲載している。
https://www.rengo-soken.or.jp/work/c6cd87d50047d4ba654de1650f2e516450161415.pdf
▽集計表
https://www.rengo-soken.or.jp/work/2024/10/311244.html

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【企業】
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●早期退職に604名が応募/住友ファーマ

住友ファーマは10月30日、早期退職者募集に604名が応募したと発表した。同社は7月、抜本的な事業構造改革
の一環として、40歳以上かつ勤続5年以上の社員を対象に約700名の早期退職者募集の実施を発表。
優遇措置として、通常の退職金に特別退職金を加算して支給し、希望者には再就職支援を行う。退職日は2024年11月30日。
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20241030-2.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<イギリス>
▽労働条件の引き下げを目的とした解雇・再雇用に差止命令

最高裁判所は9月、労働条件の引き下げを目的とした従業員の解雇・再雇用をめぐる申し立てで、雇用主による
解雇に差止命令を発した下級審の判決を支持する判断を示した。労使間で恒久的なものとして合意された賃金
補填について、その一方的な廃止を目的として雇用主が解雇の権利を行使することはできない、としている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/11/uk_02.html

<韓国>
▽韓国の総人口は3年ぶりに増加、高齢化が進み高齢者の4割が働く

韓国の総人口は、3年ぶりに増加したものの、外国人と高齢者が牽引しており、人口の高齢化が進んでいる。
65歳以上の高齢者の約4割が働き、収入や資産は増加し、新しい価値観を持つ高齢者層が出現している――
最近の複数の調査結果からこうした実態が明らかになった。(JILPT調査部)
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/11/korea_01.html

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【イベント】
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●シンポジウム「人材育成と企業連携~技術革新や産業構造の転換への労使の対応~」/連合総研

連合総研は12月11日(水)、シンポジウム「人材育成と企業連携~技術革新や産業構造の転換への労使の対応~」
をオンラインで開催する。企業グループの中核企業(親会社)や地域中間組織における人材育成および
他組織との連携状況、労働組合の役割に関する研究成果を報告し、産業構造が大きく変化する中での課題や
今後の展望などについて問題提起する。基調講演と各論の報告があり、当機構の藤本研究員も報告を行う。
参加無料、要事前申込(定員になり次第締切)。
https://www.rengo-soken.or.jp/info/2024/10/281045.html

●女性活躍推進セミナー「あらゆる領域で女性活躍を実現するために」/国立女性教育会館

国立女性教育会館は、女性活躍推進セミナー「あらゆる領域で女性活躍を実現するために―地方、中小企業の
取組から―」をオンデマンド配信で開催する。開催(配信)期間は11月25日(月)~12月4日(水)。地方自治体
での取組や、ジェンダーギャップ解消に向けた戦略と展望について、鼎談「ジェンダーギャップ解消で変わる
組織と地域」を行う。対象は、企業・自治体等の役員・管理職、人材育成や男女共同参画・女性活躍推進担当者等。
参加無料。専用フォームから申し込む。定員150名程度、申込受付期間は11月18日(月)15時まで。
https://www.nwec.go.jp/event/training/g_soshiki2024.html