メールマガジン労働情報 No.2008

■□――【メールマガジン労働情報/No.2008】

24年の賃上げ率4.1%、引上げ実施企業は9割超え/厚労省 ほか

―2024年11月1日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】労務費の価格転嫁のための施策等について議論/新しい資本主義実現会議 ほか
【統計】24年の賃上げ率4.1%、引上げ実施企業は9割超え/厚労省 ほか
【動向】「レジャー白書2024」公表、仕事より「余暇重視」が増加傾向/民間調査
【企業】「次世代の担い手確保活動奨励制度」を創設/鹿島建設 ほか
【海外】国務院が雇用拡大に関する意見を発表/中国
【イベント】テレワークセミナー「ウェルビーイングと企業経営の未来」/東京テレワーク推進センター

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【JILPTからのお知らせ】
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◇英文ジャーナル『Japan Labor Issues』(電子版)2024年秋号(No.49)を公開しました!

本号では、「「ジョブ型雇用」とは何か」と題して当機構所長濱口桂一郎の解説をお届けします。
また、11月に施行されるフリーランス法の解説、日本企業における配置・異動のマネジメントに関する解説を
掲載しています。判例解説では、再雇用嘱託職員と正職員の間の基本給・賞与に係る相違と旧労働契約法20条
違反の成否について争われた最高裁判決を取り上げています。そのほか、日本の非正規雇用は2010年代に
何が変化し、何が変化していないのかの分析を掲載しています。
https://www.jil.go.jp/english/jli/backnumber/2024.html#no49

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【行政】
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●労務費の価格転嫁のための施策等について議論/新しい資本主義実現会議

政府は10月30日、「新しい資本主義実現会議」を開催し、新しい資本主義の推進の重点施策(案)について議論
した。議論を踏まえて首相は、「賃上げ環境の整備」を第一にあげ、「労務費の価格転嫁を徹底するため、
各業界における実態調査とその結果に基づく改善を年末までに完了させる」、「不適切な労務費の価格転嫁
事案については独占禁止法と下請代金法に基づき厳正に対処」、「下請代金法の改正についても早期の実現を
目指す」などと述べた。また、最低賃金については、中期的引上げ方針について、政労使の意見交換を開催し、
議論を開始するとした。
https://www.kantei.go.jp/jp/102_ishiba/actions/202410/30shihon.html
▽重点施策(案)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai30/shiryou1.pdf

●11月は「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」/厚労省

厚生労働省は、中小企業庁、公正取引委員会と連携し、11月を「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」として
集中的な周知・啓発の取組を行う。大企業の働き方改革の取組が、下請等中小事業者に対する適正なコスト
負担を伴わない短納期発注や急な仕様変更等の「しわ寄せ」を生じさせている場合があり、また、工事の
民間発注者による短い工期の設定や、荷主による長時間の恒常的な荷待ち等の取引慣行に伴う「しわ寄せ」も
生じているとして、同省ではキャンペーンをはじめ様々な取組を通じて、「しわ寄せ」防止の環境整備に
努めるとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44774.html
▽「しわ寄せ」防止特設サイト
https://work-holiday.mhlw.go.jp/shiwayoseboushi/

●景気は「緩やかに回復」の判断を維持/10月・月例経済報告

政府は10月29日、10月の「月例経済報告」を公表した。基調判断は「景気は一部に足踏みが残るものの
緩やかに回復」との前月判断を維持。先行きも、「欧米の高金利水準や中国の不動産市場停滞の影響など、
海外景気の下振れがリスク」と指摘しつつも「雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くと期待」
とした。個別判断は、「生産」を「持ち直しの動きがみられる」から「このところ横ばい」に下方修正。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2024/1029getsurei/main.pdf
▽首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/102_ishiba/actions/202410/29getsurei.html

●令和6年度「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の受賞者を決定

厚生労働省は10月29日、「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の受賞者決定を
発表した。テレワークの活用によって、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現に顕著な成果をあげた企業や
団体が対象。表彰式は、11月25日に都内で開催(オンライン参加も可)。受賞企業による取組紹介も予定している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44550.html
▽11月は「テレワーク月間」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44542.html

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【統計】
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●24年の賃上げ率4.1%、引上げ実施企業は9割超え/厚労省

厚生労働省は10月28日、2024年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表した。2024年中に
平均賃金(所定内賃金の1人当たり平均額)を「引き上げた/引き上げる予定」の企業割合は91.2%
(前年89.1%)で、改定額は11,961円(同9,437円)、改定率は4.1%(同3.2%)と前年を上回った。
定期昇給の実施は、管理職で76.8%(同71.8%)、一般職で83.4%(同79.5%)。定昇制度あり企業の
ベースアップ実施は、管理職47.0%(同43.4%)、一般職52.1%(同49.5%)でいずれも前年を上回った。
調査結果は、常用労働者100 人以上の企業1,783社の回答によるもの。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/24/index.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/24/dl/09.pdf
▽概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/24/dl/10.pdf

●10月の消費者マインドの基調判断、「改善に足踏みがみられる」で据え置き/消費動向調査

内閣府は10月30日、10月の「消費動向調査」結果を公表した。「消費者態度指数(二人以上の世帯、季調値)」
は36.2(前月比0.7ポイント低下)。同指数を構成する意識指標は4指標とも前月比で低下し、
「耐久消費財の買い時判断」は29.7(マイナス1.3ポイント)、「収入の増え方」39.4(同0.7ポイント)、
「雇用環境」41.6(同0.6ポイント)、「暮らし向き」34.2(同0.2ポイント)。消費者マインドの基調判断は、
「改善に足踏みがみられる」で前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
▽統計表等
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

●9月の鉱工業生産1.4%上昇、基調判断は「一進一退」で据え置き/鉱工業指数速報

経済産業省は10月31日、9月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。生産指数(季調値)は
前月比1.4%上昇の101.1で2カ月ぶりの上昇。業種別で上昇したのは、自動車工業、無機・有機化学工業、
電気・情報通信機械工業等、低下は生産用機械工業、輸送機械工業(自動車工業を除く)、化学工業
(無機・有機化学工業・医薬品を除く)等。出荷は99.7で前月比2.3%、在庫は同0.1%のいずれも上昇。
在庫率は同3.8%低下。基調判断は、「生産は一進一退で推移している」で、前月から据え置き。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202409sj.pdf

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【動向】
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●「レジャー白書2024」公表、仕事より「余暇重視」が増加傾向/民間調査

日本生産性本部は10月29日、「レジャー白書2024」を発表した。2023年の余暇活動状況について、個別の意識
や参加実態に関するアンケート調査、各業界の市場分析を検証して取りまとめたもの。仕事(勉強や家事含む)
と余暇のどちらを重視するかを尋ねたところ、約3分の2(65.7%)が「余暇を重視する」傾向にあった。
特に、その内訳の「仕事よりも余暇の中に生きがいを求める」の割合が近年増加し、20年の29.1%から
23年には34.1%に増加。23年の余暇市場は71兆2,140億円で前年比13.4%増加、コロナ禍前の19年比で98.5%の
水準まで戻った。
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/release2024_leisure.pdf
▽レジャー白書巻頭要約
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/summary2024_leisure.pdf

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【企業】
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●「次世代の担い手確保活動奨励制度」を創設/鹿島建設

鹿島建設は10月16日、協力会社で構成される事業協同組合の組合員や、協力会社団体の企業を対象に、
建設業の担い手確保の取組みを支援する「次世代の担い手確保活動奨励制度」の創設を発表した。
制度は、協力会社の担い手確保(技能体験会や出前授業等)に資する活動を奨励するもので、経費の一部や
取り組みを同社がサポート。3年間の時限的制度で、各年度12件程度を上限に、活動経費の50%までを
助成する(支給上限200万円)。
https://www.kajima.co.jp/news/press/202410/16m1-j.htm

●〔決算〕富士通、通期利益予想を下方修正 間接部門での希望退職費用計上

富士通は2025年3月期の連結業績予想(国際会計基準)について、営業利益、純利益を下方修正した。
DX企業への事業変革に伴う人材の最適配置のため、間接部門の幹部社員を対象とした希望退職を募集。
割増退職金や再就職支援の費用などとして営業利益調整項目で約200億円のマイナスを見込む。
オンラインで記者会見した磯部武司副社長は退職者の具体的な人数の公表は控えるとし、「事業ポート
フォリオ変革に合わせ、先行して人員の最適化が必要と判断した」と説明した。
24年9月中間は減収減益。主力のサービスソリューション事業が国内を中心とした企業などのDX、
システム刷新需要を取り込み、開発プロセスの標準化などで採算性も改善した。ただ、ハードウエア
ソリューション部門で前年に大型商談があった反動などを補いきれなかった。
(時事通信)2024年10月31日 ※リンク先なし

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<中国>
▽国務院が雇用拡大に関する意見を発表

中国国務院(政府)と中国共産党中央委員会は9月25日、雇用の拡大と失業率の改善を図るため、
「就職優先戦略の実施による質の高い完全雇用の促進に関する意見」を発表した。24項目の具体的な施策を
盛り込み、雇用機会の創出、就職支援の強化などを目的としている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/10/china_01.html

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【イベント】
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●テレワークセミナー「ウェルビーイングと企業経営の未来」/東京テレワーク推進センター

東京テレワーク推進センターは11月29日(金)にセミナー「ウェルビーイングと企業経営の未来
~健康経営からウェルビーイング経営への新展開~」をオンライン及び会場(文京区)で開催する。
参加無料、要事前申込。定員はオンライン300名、会場先着20名。
https://tokyo-telework.metro.tokyo.lg.jp/seminarevent/detail?id=608