メールマガジン労働情報 No.2005

■□――【メールマガジン労働情報/No.2005】

フリーランス取引の状況、実態調査の結果公表/公取委・厚労省 ほか

―2024年10月23日発行――――――――――――――□■

┏━━━━━━━━┓
  本号の主な内容
┗━━━━━━━━┛

【行政】フリーランス取引の状況、実態調査の結果公表/公取委・厚労省 ほか
【統計】労災の死亡者数0.4%増、休業4日以上死傷者数0.8%増/厚労省 ほか
【労使】プライム上場企業の女性役員比率、16.8%/経団連調査
【動向】大企業で働く若手中堅社員のキャリア形成意識、調査結果を発表/産業雇用安定センター ほか
【企業】育児休職制度の通称を「いく活」に変更、育児支え合う環境づくりを/九州電力
【海外】最低賃金、2025年1月に月額208ドルへ2%引き上げ/カンボジア
【イベント】フォーラム「70歳就業時代!60歳代社員の人材マネジメントにおける今日的課題」/JADA ほか

☆**‥…★…‥**☆◆☆**‥…★…‥**☆◆☆**‥…★…
おかげさまで通巻2000号!今後もご愛読ください
────────────────────────

平成15年に配信を開始した「メールマガジン労働情報」は、おかげさまで2000号に到達しました。
記念企画として、JILPTの現職および歴代理事長5名の学識者によるコラムをリレー形式でお届けしました。
在任中の出来事や労働問題・労働政策研究を巡る課題、研究機関としてのJILPTの役割などについて論じています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/memorable/2000th/index.html

第1回「深刻な懸念──長期経済停滞とAI化」(稲上毅 東京大学名誉教授)

第2回「業務災害・通勤災害と労災保険」(山口 浩一郎 上智大学名誉教授)

第3回「労働関係の基礎研究の継続を」(菅野和夫 東京大学名誉教授)

第4回「理事長在任中に思ったこと──予期せぬ二つの出来事と研究課題」
 (樋口美雄 JILPT顧問/慶應義塾大学名誉教授)

第5回「私たちのこれからの役割」(藤村博之 JILPT理事長)

引き続きのご愛読・ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
☆**‥…★…‥**☆◆☆**‥…★…‥**☆◆☆**‥…★…

━━━━━━━━━━━━━━
【JILPT研究成果情報】
━━━━━━━━━━━━━━

◇調査シリーズ No.247『雇用保険未適用である短時間労働者の実態に関する調査』

女性や高齢者等の労働参加が進む中で、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築が
求められており、「経済財政運営と改革の基本方針2023」では、雇用保険の適用拡大の検討が盛り込まれ
ました。こうした状況を踏まえ、雇用保険適用外の週所定労働時間20時間未満の労働者の実態を把握するため
アンケート調査を実施しました。今の働き方を変えない前提で、雇用保険加入の希望を尋ねたところ、
「加入したい」は42.6%、「加入したくない」は57.4%でした。「加入したい」との回答を週所定労働時間別
でみると、「15時間以上20時間未満」で46.3%、「10時間以上15時間」41.2%となっています。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/247.html

━━━━━━━━━━━━━━
【JILPTからのお知らせ】
━━━━━━━━━━━━━━

★令和6年度 労働関係図書優秀賞(第47回)を発表!

JILPTでは、労働に関する総合的な調査研究を奨励し、労働問題に関する知識と理解を深めることを目的として、
「労働関係図書優秀賞」の表彰事業を行っています。今年度の受賞図書は、次の2作に決定しました。

・『職務重視型能力主義――三菱電機における生成・展開・変容』(日本評論社 2023年12月刊)
 (鈴木誠 長野大学企業情報学部教授)

・『戦後初期日産労使関係史――生産復興路線の挫折と人員体制の転換』(ミネルヴァ書房 2024年3月刊)
 (吉田誠 立命館大学産業社会学部教授)

※新進研究者の調査研究を奨励する「労働関係論文優秀賞」の今年度受賞論文は該当作なしとなりました。
https://www.jil.go.jp/award/bn/2024/index.html

★労働政策フォーラム 申込受付開始!
『新版OHBYカード』とキャリアコンサルティング─現代社会における自己理解・職業理解とキャリア支援

 開催日時 2024年11月28日(木曜)
 (第1部) パネルディスカッション  13時30分~15時40分 ※ 会場+オンライン開催
 (第2部)「新版OHBYカード」講習会 16時00分~17時30分 ※ 会場のみ
 定 員:会場80名(パネル+講習会)/オンライン視聴500名(パネルのみ)
 会 場:御茶ノ水ソラシティカンファレンス(東京都千代田区神田駿河台4-6)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20241128/index.html

━━━━━━━━━━━━━━
【行政】
━━━━━━━━━━━━━━

●フリーランス取引の状況、実態調査の結果公表/公取委・厚労省

公正取引委員会と厚生労働省は18日、フリーランス取引の状況についての実態調査結果を公表した。
2024年11月1日に施行される「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス新法)の
周知の取組の一環として、施行前の24年5~6月に調査を実施したもの。調査結果によると、新法の「内容を
知らない」と回答したのは委託者で54.5%、フリーランスで76.3%。法第3条の取引条件の明示に関しては
「明示しなかった(されなかった)ことがある・明示した(された)ことがない」は、委託者で17.4%、
フリーランスでは44.6%。報酬支払期日の順守(第4条)、報酬の減額の禁止(第5条)などについても
新法の規定に反する実態があったことを明らかにしている
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44359.html

●フリーランス新法の施行に伴いガイドラインを改定/公取委・厚労省など

フリーランス新法の2024年11月1日施行に伴い、政府は、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備
するためのガイドライン」(2021年3月策定)を改定した。法施行に合わせて構成を整理し、新法と関係政令等
の内容を追加している。フリーランスに業務委託する事業者に求められる事項(報酬の支払期日等、募集情報
の的確な表示、業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等)や、一定の期間以上
の業務委託を行う事業者の禁止行為及び義務(禁止行為、妊娠・出産若しくは育児又は介護に対する配慮、
解除等の予告)などが盛り込まれている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44371.html
▽ガイドライン(新旧対照表)
 https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/001317771.pdf
▽ガイドラインに基づく契約書のひな型及び使用例について
 https://www.mhlw.go.jp/content/001318002.pdf

━━━━━━━━━━━━━━
【統計】
━━━━━━━━━━━━━━

●労災の死亡者数0.4%増、休業4日以上死傷者数0.8%増/厚労省

厚生労働省は18日、2024年の労働災害発生状況(10月速報値)を公表した。死亡災害は、死亡者数が508人で
前年同期比0.4%増加。業種別では、建設業7.9%増、製造業3.2%増、第三次産業3.8%減など。
休業4日以上の死傷者数は、8万8,421人で前年同期比0.8%増。業種別では、第三次産業2.5%増、陸上貨物
運送事業1.1%増、建設業3.8%減など。公表数値は、新型コロナ感染症のり患による労働災害を除いたもの。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/dl/24-10.pdf

●10月の総人口、前年同月比56万人減/総務省人口推計

総務省は21日、人口推計の2024年10月概算値及び5月の確定値を公表した。
10月1日現在の総人口(概算値)は1億2,379万人(前年同月比56万人・0.45%減)。
5月1日現在の総人口(確定値)は1億2,394万1千人(同53万6千人・0.43%減)。
年齢階層別(確定値)では「15歳未満」2.38%減、「15~64歳」0.32%減、「65歳以上」0.11%増、
うち「75歳以上」人口は3.52%増加した(年齢階層別増減率は前年同月比)。
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202410.pdf
▽統計表等
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

━━━━━━━━━━━━━━
【労使】
━━━━━━━━━━━━━━

●プライム上場企業の女性役員比率、16.8%/経団連調査

経団連は16日、会員企業を対象とした「役員ジェンダー・バランスに関する調査結果(2024年)」を発表した。
会員企業のうち東証プライム市場上場企業(716社)の役員に占める女性割合は16.8%で、前年より2.7%増加
したが、政府目標(2025年・19%、2030年・30%)にはまだ届いていない。女性役員の「登用なし」企業の
割合は1.5%(前年比3.7%減)で、政府目標は「2025年・ゼロ」となっている。役員種別の女性比率は、
社内役員(取締役3.3%、監査役5.2%)と比べ、社外役員(取締役34.3%、監査役22.7%)が多い。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/069.html

━━━━━━━━━━━━━━
【動向】
━━━━━━━━━━━━━━

●大企業で働く若手中堅社員のキャリア形成意識、調査結果を発表/産業雇用安定センター

産業雇用安定センターは18日、「大企業で働く若手・中堅社員(26~35歳の総合職)のキャリア形成に関する
意識調査」結果を発表した。転職等に対する考え方は、「今の会社に定年までいたい」が51.4%、「他社に転職
したい」が42.4%、「起業/独立したい」が3.6%だった。希望する働き方は、「昇進等にこだわらずに働く」が
49.4%、次いで「専門職・スペシャリストとして活躍」28.3%、「役員・管理職まで昇進」22.1%など。
将来のキャリアのための「副業・兼業」については、「積極的に経験したい」(36.9%)と「希望する企業・
部署等であれば経験したい」(32.9%)の合わせて約7割が希望。グループ外企業での「人事交流」については、
「積極的に希望」(21.3%)と「希望する企業・部署等であれば希望」(37.3%)が合わせて約6割だった。
https://www.sangyokoyo.or.jp/topics/2024/s0r8v00000000rs3-att/young-mid-career-survey.pdf

●『データでみる70歳以上の定年・継続雇用制度の導入効果と工夫』を発表/JEED

高齢・障害・求職者雇用支援機構は7日、70歳以上の定年制・継続雇用制度(定年廃止も含む)のある企業への
調査結果を発表した。70歳以上の定年制・継続雇用制度を導入した理由は、「人手不足に対応するため」と
「高齢者の技術・技能を活用するため」の概ねどちらかを尋ねたところ、前者が58.1%、後者が41.2%。
「65歳以降社員」に期待する役割は、「第一線での活躍」と「59歳以下の正社員に対する支援」のどちらかを
尋ねると、前者が61.4%、後者が36.2%だった。
https://www.jeed.go.jp/jeed/press/kikale00000088y8-att/kikale00000088zc.pdf
▽調査概要(冊子)
https://www.jeed.go.jp/elderly/data/sankousiryou/q2k4vk00000520b1-att/kikale000000866i.pdf

━━━━━━━━━━━━━━
【企業】
━━━━━━━━━━━━━━

●育児休職制度の通称を「いく活」に変更、育児支え合う環境づくりを/九州電力

九州電力および九州電力送配電は21日、育児休職制度の通称を「いく活」と名付けることに決定したと発表した。
育児に専念する期間を、「人間的な成長やタイムマネジメント力・新たな発想力を養える期間」と捉える。
両社はこれまで、法定を上回る育児休職・短縮勤務期間の設定や、「孫育」休暇の導入、育児休職者が所属
する職場従業員への「育児サポート応援金」の導入など、職場全体の風土醸成にも取り組んでおり、今回決定
した通称の社内周知や理解浸透を図り、出産・育児を支え合う環境づくりを更に進めていくとしている。
https://www.kyuden.co.jp/press_h241021-1.html

━━━━━━━━━━━━━━
【海外】
━━━━━━━━━━━━━━

●国別労働トピック/JILPT

<カンボジア>
▽最低賃金、2025年1月に月額208ドルへ2%引き上げ

衣料・履物製造業の工場労働者を対象とする2025年1月の最低賃金の引き上げ額がこのほど決定した。
2024年1月の引き上げ額と同じ4米ドルで、現行の月額204ドルから208ドルへ引き上げられる。
引き上げ額は2024年1月と同じ額だが、労使双方が高く評価している。引き上げ額の決定を受け、
労働職業訓練省は10月9日、今回の引き上げについて、カンボジアとそれを取り巻く世界の経済情勢に
対する戦略的対応として最適であると評価する声明を公表した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/10/cambodia_01.html

━━━━━━━━━━━━━━
【イベント】
━━━━━━━━━━━━━━

●フォーラム「70歳就業時代!60歳代社員の人材マネジメントにおける今日的課題」/JADA

中高年齢者雇用福祉協会(JADA)は11月26日(火)、「JADAフォーラム2024」をオンライン開催する。
テーマは、「70歳就業時代!60歳代社員の人材マネジメントにおける今日的課題~企業はシニア社員に
どのようなことを期待しているのか?~」。行政担当者と学識者による講演、および研究者による
企業診断システム「雇用力評価ツール」の紹介などを予定。シニア社員、特に60歳代前半社員に対する
期待役割を「知らせる」仕組みとシニア社員層の能力を「知る」仕組みに伴う人事管理の課題について考える。
参加無料。定員150名(先着順)。申込期限は11月15日(金)。
https://www.jada-prep.jp/files/libs/768/20241010112351328.pdf

●講座「多様な労働者と労働法」/京都勤労者学園

(公社)京都勤労者学園は11月から2024年2月に労働法講座「多様な労働者と労働法~ダイバーシティの視点から
~」全8回を会場(京都市中京区)とオンライン聴講で開催する。多様な立場の労働者から見た、働きやすい
会社を知る・作るためのルール(労働法)について、最近の立法や判例も交え解説する。各回テーマは、
1回目・11月5日(火)「ダイバーシティと人事政策」、2回目・11月19日(火)「女性労働者」など。
受講料12,000円。要事前申込、定員30名。
https://www.labor.or.jp/gakuen/archives/kyoto-school/24-2rodoho

●全国シンポジウム「実質賃金の向上と公正なる分配制度」/経営民主ネットワーク

経営民主ネットワークは11月11日(月)14時から、東京都港区・友愛会館で、「全国シンポジウム2024」を
開催する。基調講演「真の同一価値労働・同一賃金に向けて」は、鍋田周一(PANフィールド・リサーチ
所長)。報告は橋本光正(JAM総合政策グループ長)「賃上げ価格転嫁の取組み現状と課題」と
高木雄郷(ジャーナリスト)「社会政策としての適正な最低賃金制度」。
参加無料、要事前申込(リンク先なし)。参加申込先:jwdnetwork[at]mbr.nifty.com