メールマガジン労働情報 No.1950

■□――【メールマガジン労働情報/No.1950】

新たな成長型経済を定着させる方策を議論/新しい資本主義実現会議 ほか

―2024年3月29日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】新たな成長型経済を定着させる方策を議論/新しい資本主義実現会議 ほか
【統計】2月の完全失業率2.6%、前月比0.2ポイント上昇/労働力調査 ほか
【動向】価格転嫁率は40.6%/民間調査
【企業】従業員を対象にジョブ型の新人事制度を開始/エイベックス
【法令】労働関係法令一覧(2024年2月公布分)

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【JILPT研究成果情報】
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◇労働政策研究報告書No.228『職場におけるAI技術の活用と従業員への影響
 ―OECDとの国際比較研究に基づく日本の位置づけ―』

OECD8カ国の金融業と製造業の職場で、AI技術が従業員にどのような影響を及ぼしているか、影響の
あらわれ方にはどのようなパターンがみられるか、8カ国中で日本の事例はどこに位置づきどのような
共通性や差異がみられるかを探りました。タスク、スキルの変化にはそれぞれ4つのパターンが、
雇用、賃金の変化にはそれぞれ3つのパターンが、見られました。
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2024/0228.html

◇「JILPTにおける2022年度調査研究成果をベースとした政策論点レポート」

「JILPT 政策論点レポート」は、当機構が行った様々な調査研究成果から示唆される政策課題や政策的
インプリケーションについて、現時点における問題意識から整理して提示しようとするものです。
本レポートは、2022年度に取りまとめた調査研究成果をベースにしています。
https://www.jil.go.jp/institute/kadai/period05/fy2022/index.html

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【JILPTからのお知らせ】
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☆読者アンケートのお願い 3月31日まで実施中!

3月15日(金)の17時台に、「メールマガジン労働情報」についてのアンケートのお願いを別メールにてお送りしています。
31日(日)まで実施しておりますので、ご協力よろしくお願いいたします。(ご回答いただいた方々には、ありがとうございました。)

★24年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)受講者募集中!

<人事管理・労働経済>部門 5月7日火曜~7月3日水曜(17講義日+試験)
<労働法> 部門      7月9日火曜~8月30日金曜(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

☆『労働関係法規集2024年版』 好評発売中!

主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。
2024年版では、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」を新たに収録するとともに、
「労働基準法施行規則」「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」「労働審判法」
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則」の改正法令を収録しています。
【B6判変型1,191頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月15日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

◇英文ジャーナル『Japan Labor Issues』(電子版)2024年春号を公開しました!

本号では、論文特集(III)として、1940年代以降の日本における産業構造の転換と労働力の関係を概観した
論文と、サービス産業化と雇用流動化について個人のキャリアに着目して分析した論文を掲載しています。
判例解説では、性同一性障害の職員(性別適合手術を受けておらず、戸籍上の性別変更をしていない者)が
職場の女性用トイレの利用を勤務先等から制限されたことの違法性を判示した初めての最高裁判決を
取り上げています。そのほか、裁判所における解雇の金銭解決の実態に関する2014、22年調査の比較分析や、
日本の長期雇用システムは今後も継続していくのかについての長期的視点からの解説を掲載しています。
https://www.jil.go.jp/english/jli/index.html

◇『日本労働研究雑誌』2024年4月号を刊行しました!
 初学者特集「労働研究の何がいま議論されているか?」
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2024/04/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』2024年4月号を公開しました!
 職務・役割を基軸とした人事制度に向かう企業
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2024/04/index.html

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【行政】
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●新たな成長型経済を定着させる方策を議論/新しい資本主義実現会議

政府は26日、「新しい資本主義実現会議」を開催し、賃金と物価の好循環が持続する、新たな成長型経済を
定着させる方策について議論した。首相は議論を踏まえ、「昨年を大きく上回る力強い賃上げの流れができている」、
「持続的な構造的賃上げ実現のため、労務費の価格転嫁に加え、人手不足で苦労している中小・小規模企業の
労働生産性引上げのため、省力化投資に官民で取り組む」と述べた。また、「リスキリングについて、基本的ICT
技術を用いることができる現場の労働者の育成に向けて取り組む。人手不足感の強い、運輸・宿泊・飲食業に
重点的に利用促進を図る」、「事業承継について、承継支援の多様化を図る」、「債権者との合意により債務整理
する私的整理が増加しており、環境整備を図る」とした。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202403/26shihon.html

●障害者雇用実態調査結果を公表/厚労省

厚生労働省は22日、2023年6月に実施した「障害者雇用実態調査」結果を公表した。従業員規模5人以上の
事業所に雇用される障害者数は110万7,000人で、前回調査(2018年、85万1,000人)に比べ、25万6,000人増加し、
「全体的に障害者雇用は着実に進展」としている。内訳は、身体障害者52万6,000人(同42万3,000人)、
知的障害者27万5,000人(同18万9,000人)、精神障害者21万5,000人(同20万人)、発達障害者9万1,000人
(同3万9,000人)。平均勤続年数は、身体障害者12年2月、知的障害者9年1月、精神障害者5年3月、
発達障害者5年1月で、全ての障害種別で前回調査より増加した。
調査は5年ごとに実施。雇用状況については、産業別、事業所規模別回収結果をもとに復元した推計値を利用して分析。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39062.html

●過労死等の防止のための対策に関する大綱(素案)を提示/厚労省

厚生労働省は19日、過労死等防止対策推進協議会に過労死等の防止のための対策に関する大綱(素案)を提示した。
精神障害による労災請求・支給決定件数は増加傾向にあり、メンタルヘルス対策やハラスメント防止対策の
重要性が増していることなどを踏まえ、2021年7月に閣議決定された現大綱を見直すもの。
自動車運転者、医師や建設業を含め4月に全面適用となる時間外労働の上限規制の遵守を徹底すること、過労死等を
繰り返し発生させた企業に「過労死等の防止に向けた改善計画」の策定など再発防止の指導を強化すること、
フリーランスについて、過度な長時間就業とならないよう期日設定に関する注文者の配慮の取組みを進めること
などを見直しのポイントとして挙げている。また、過労死ゼロを目指し、労働時間、勤務間インターバル制度、
年次有給休暇、メンタルヘルス対策についての数値目標も改定するとともに、公務員についても、目標の趣旨を
踏まえた実効ある取組みの推進を求めている。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001228535.pdf

●上限を超えて超過勤務を命ぜられた国家公務員職員の割合等を公表/人事院

人事院は26日、国家公務員を対象とした「上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合等」を公表した。
2022年度に上限超の超過勤務を命じられた職員の割合は、他律部署(他律的業務の比重が高い部署)では16.0%
(前年度比0.4ポイント増)で、業務内容は「国会対応業務」21.0%、「予算・会計関係業務」12.4%、「他国
又は国際機関との重要な交渉」10.4%など。自律部署(他律部署以外の部署)では7.7%(同0.9ポイント増)で、
業務内容は「予算・会計関係業」16.1%、「大規模災害への対処」11.9%、「人事・給与関係業務」10.1%など。
「新型コロナウイルス感染症対策関連業務」により上限を超えた職員割合は、他律・自律部署とも、前回21年度を下回った。
https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2403/jogenR4.html
▽資料
https://www.jinji.go.jp/content/000002911.pdf

●2024年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン/厚労省

厚生労働省では、全国の大学生等を対象に、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月末までの間、
自分の労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施する。重点的に呼びかける事項は、
労働条件の明示、シフト制労働者の適切な雇用管理、労働時間の適正な把握など。 期間中、大学等での出張相談や、
アルバイトを始める前に知っておいてほしいポイントをまとめたリーフレットの配布などを行う。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38382.html

●「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」/厚労省

厚生労働省は28日、「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」を公表した。
全国的に人手不足感が高まる中、特に地方の中小企業では人材確保が大きな課題となっていることを踏まえ、
採用や定着に成功している20社について、事業戦略の転換や業務内容の見直し、働く環境の整備や採用活動の
工夫など、さまざまな角度から掘り下げている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39069.html

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【統計】
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●2月の完全失業率2.6%、前月比0.2ポイント上昇/労働力調査

総務省は29日、2024年2月の「労働力調査(基本集計)」を公表した。完全失業率(季調値)は2.6%で、前月と比べ
0.2ポイント上昇。完全失業者数は177万人(前年同月比3万人増)で、3カ月ぶりの増加。就業者数は6,728万人(同61万人増)
で19カ月連続の増加。雇用者数は6,088万人(76万人増)で、24カ月連続の増加。正規従業員数は3,617万人(同49万人増)で
4カ月連続の増加。非正規従業員数は2,134万人(同32万人増)で6カ月連続の増加。
▽2月結果
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
▽2月概要
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf

●2月の有効求人倍率1.26倍、前月比0.01ポイント低下/一般職業紹介状況

厚生労働省は29日、2024年2月分「一般職業紹介状況」を公表した。有効求人倍率(季調値)は1.26倍で、
前月と比べ0.01ポイント低下。新規求人倍率(同)は2.26倍で、前月と比べ0.02ポイント低下。新規求人(原数値)は、
前年同月比で3.6%減。産業別では、増加したのは情報通信業(4.2%増)、サービス業(他に分類されないもの)
(0.7%増)、医療・福祉(0.0%増)で、減少したのは製造業(8.7%減)、宿泊業・飲食サービス業(8.4%減)、
生活関連サービス業・娯楽業(7.9%減)など。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38960.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001232130.pdf

●2023年の月額賃金31万8,300円、前年比2.1%増/賃金構造基本統計

厚生労働省は27日、2023年「賃金構造基本統計調査」結果を公表した。
一般労働者(短時間労働者以外の労働者)の月額賃金は、男女計31万8,300円(前年比2.1%増)、
男性35万900円(同2.6%増)、女性26万2,600円(同1.4%増)。男女間賃金格差(男性=100)は74.8
(前年差0.9ポイント低下)。男女計の前年比2.1%増(金額、率とも1月24日公表の速報から変わらず)は、
1994年に2.6%増となって以来29年ぶりの水準。短時間労働者の賃金は、時間当たり男女計1,412円(同3.3%増)、
男性1,657円(同2.0%増)、女性1,312円(同3.3%増)。
賃金構造基本統計調査は、主要産業の雇用労働者の賃金調査で、今回は23年6月分として支払われた所定内給与額の平均。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/dl/12.pdf
▽統計表
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
▽概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/dl/13.pdf

●正社員等、パートタイムとも引き続き「不足超過」/労働経済動向調査

厚生労働省は28日、「労働経済動向調査(2024年2月)」結果を公表した。
労働者の過不足判断DI(不足-過剰)は、正社員等がプラス51ポイント(51期連続の不足超過)で2008年2月
以降、過去最高。パートタイム労働者はプラス32ポイント(58期連続の不足超過)で、引き続き「不足」とする
事業所割合が多い。
特別調査項目の「2024年新規学卒者の採用内定状況」(概況12頁~)について、「採用計画・予定がある」事業所
のうち、大卒(文系)を除き、「採用計画数に採用内定(配属予定)が達していない」とする事業所の割合が最も多く、
高卒64%(54%)、高専・短卒62%(56%)、大卒(文系)47%(40%)、大卒(理系)55%(49%)、大院卒54%(44%)、
専修校卒62%(57%)となった(カッコ内は、前年同期の数値)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2402/
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2402/dl/6siryo.pdf
▽概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2402/dl/7roudoukeizaidouko.pdf

●海外現地法人の売上高2.8%増、2期ぶりの増加/経産省調査

経済産業省は27日、2023年10~12月の「海外現地法人四半期調査」の結果を公表した。売上高(全地域合計)は、
前年同期比2.8%増で2期ぶりの増加。電気機械、はん用等機械などが減少したものの、輸送機械が増加。
地域別では、アジアは、中国、ASEAN10で輸送機械などが減少し、同6.2%減で5期連続の減少。北米は
輸送機械などの増加により、同13.0%増で6期連続の増加。欧州は同10.3%増で4期連続の増加。
従業員数(全地域)は411.3万人で同2.2%の減少。ASEAN10や中国の電気機械などの減少により、5期連続のマイナス。
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240327004/20240327004.html
▽詳細
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/genntihou/result-1.html

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【動向】
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●価格転嫁率は40.6%/民間調査

帝国データバンクは22日、2月現在の「価格転嫁に関する実態調査」結果を発表した。
自社の主な商品・サービスのコスト上昇分を価格・料金に転嫁できているかについては、「多少なりとも価格転嫁
できている」企業は75.0%。内訳は「2割未満」が24.4%で最多。「10割すべて転嫁できている」企業は4.6%。
「全く価格転嫁できない」企業は12.7%。コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」
は40.6%で、100円のコスト上昇に対し40.6円しか反映できず、約6割は企業負担となることを示す。サプライ
チェーン全体に関わる「運輸・倉庫」の価格転嫁率は27.8%で、前回調査(2023年7月)より1.6ポイント上昇
するも、依然として2割台にとどまる、としている。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240309.pdf

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【企業】
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●従業員を対象にジョブ型の新人事制度を開始/エイベックス

エイベックスは28日、2024年1月よりグループ従業員を対象に、等級・報酬制度などを刷新した新人事制度
「ジョブ型人事制度」を開始したと発表した。同グループでは約150の職務が存在し、今回の「ジョブ型人事制度」
では難易度・希少性・業界水準などの指標を元に、職務ごとに決定されたジョブグレードに応じ報酬決定する設計。
同じ職務でも業務内容の難易度により複数のジョブグレードが設定されており、多様な報酬設定、キャリア設計が
可能な仕組み。ジョブグレードごとに定められた職務要件定義や業務内容、必要要素(スキルや経験など)を
全従業員に可視化することで、個々のキャリア自律を促し、多様なキャリアパスの実現を目指す、としている。
https://avex.com/jp/ja/news/2024/humanresources/

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【法令】
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●労働関係法令一覧(2024年2月公布分)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hourei/202402.html