メールマガジン労働情報 No.1906

■□――【メールマガジン労働情報/No.1906】

労災保険の特別加入の対象範囲拡大について議論/厚労省部会 ほか

―2023年10月6日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】労災保険の特別加入の対象範囲拡大について議論/厚労省部会 ほか
【統計】実質賃金2.5%減少、17カ月連続のマイナス/毎勤統計8月速報 ほか
【労使】「年収の壁」問題への対応に意見書を提出/経済同友会 ほか
【動向】理想の先輩上司、「仕事について丁寧な指導」がトップ/新入社員の意識調査
【企業】「優良職長」認定制度を新設、処遇改善図る/東洋建設 ほか
【イベント】「介護労働シンポジウム~介護人材の確保・定着・育成・処遇~」 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム「外国にルーツを持つ世帯の子育てと労働を考える」
 (10月13日~19日 ライブ配信は19日(木)13:30~16:00/参加無料)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20231019/index.html

★任期付研究員の募集について(2024年度採用)

労働政策研究・研修機構では、任期付研究員を募集します。応募書類の提出期限は2023年11月10日(金曜)必着です。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2023/07.html

★「最近の統計調査結果から」(2023年9月)

 官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2023/202309.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2023/documents/202309.pdf

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【行政】
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●労災保険の特別加入の対象範囲拡大について議論/厚労省部会

厚生労働省は4日、労働政策審議会労災保険部会を開催し、特別加入制度の対象範囲の拡大について議論した。
特別加入の対象は、2021年以降、芸能、アニメーション制作、ITフリーランス等へ拡大されてきたが、
今回の検討は、23年5月のフリーランス法制定の際の付帯決議等で、一定の要件を満たす希望するすべてのフリーランスを
特別加入制度の対象とするとされたことを踏まえたもの。
論点としては、想定される業務等には営業、講師・インストラクター、デザイン・コンテンツ制作、調査・研究・コンサル
ティング等があるとしたうえで、既に特別加入の対象であるITフリーランス等との関係をどう考えるか、
保険料率をどう設定するか、特別加入の前提である特別加入団体のあり方をどう考えるか、団体が担う災害防止措置の内容を
どのように考えるか、などをあげた。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35572.html

●労働者協同組合、施行後1年で59法人が設立/厚労省

厚生労働省は2日、労働者協同組合法の施行(2022年10月1日)から1年が経過した時点での労働者協同組合の
設立状況を公表した。これまでに計59法人が設立され、荒廃山林を整備したキャンプ場の経営、葬祭業、成年後見支援、
家事代行、給食づくり、高齢者介護など様々な事業に取り組んでいることなどを紹介している。
同省は特設サイトや電話相談窓口の運営に加え、フォーラムの開催など、様々な周知広報に取り組んでいくとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35435.html
▽特設サイト「知りたい!労働者協同組合法」
https://www.roukyouhou.mhlw.go.jp/

●季節的な有給休暇制度がある企業は26%/人事院調査

人事院は9月29日、「2022年民間企業の勤務条件制度等調査結果」を公表した。同調査は50人以上の民間企業を対象に、
労働時間、休業・休暇、福利厚生、災害補償法定外給付、退職管理等の諸制度などを調査。
季節的な休暇制度(有給)が「ある」企業は26.0%。休暇の使用可能時期は、「7月」70.4%、「8月」91.8%、「9月」66.7%と
夏季の時期が高い。また年間の使用可能日数は「3日」としている企業の割合が19.4%と最も高く、次いで「5日」が18.2%。
https://www.jinji.go.jp/kisya/2309/r05akimincho.html
▽結果概要
https://www.jinji.go.jp/kisya/2309/r05akimincho_bessi.pdf

●10月は「年次有給休暇取得促進期間」/厚労省

厚生労働省は、計画的付与制度の導入も含め、年次有給休暇を取得しやすい環境整備推進のため、
10月を「年次有給休暇取得促進期間」に設定している。年休は、2025年までに取得率を70%とすることが目標に掲げられているが、
21年は58.3%と過去最高となったものの、依然として70%とは乖離がある。
同省では、2019年4月に義務化された「年5日の年休の確実な取得」の観点からも、計画的付与制度の一層の導入も含めて、
年休を取得しやすい環境整備が図られるよう、周知広報に努めていくとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13665.html

●10月は「個別労働紛争処理制度」周知月間、全国でイベント開催/労働委員会

中央労働委員会と都道府県労働委員会は、毎年10月を「個別労働紛争処理制度」周知月間として、集中的な周知・広報活動を
全国的に展開している。
15年目となる2023年度は、「ご存じですか? 労働委員会~雇用のトラブル まず相談~」等をキャッチフレーズに、
各労働委員会で「労働相談会の開催」「パネル展や出前講座などのイベント開催」「街頭宣伝活動の実施」などの取組を展開。
中央労働委員会でもポスター掲示や労使関係団体等の協力による周知、SNSでの情報発信を図る。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/kobetsu/r050928-1.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/kobetsu/dl/r050928-1-06.pdf
▽労働相談会、イベント等の一覧
https://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/kobetsu/dl/r050928-1-02.pdf

●「不妊治療と仕事との両立支援担当者等向け研修会」を開催/厚労省

厚生労働省は、「不妊治療と仕事との両立支援担当者等向け研修会」をオンラインで開催している。
不妊治療を受けやすい休暇制度・両立支援制度をこれから導入したい企業や、制度はあるがより一層利用しやすい制度にしようと
検討している企業等の人事労務担当者向け。配信期間は2024年3月15日まで。視聴無料。
https://www.funin-ryoritsu.jp/

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【統計】
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●実質賃金2.5%減少、17カ月連続のマイナス/毎勤統計調査8月速報値

厚生労働省は6日、8月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額は、就業形態計で前年同月比1.1%増の28万2,700円、うち一般労働者が同1.2%増の36万6,845円、
パートタイム労働者が同2.9%増の10万3,312円。
一方、現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金は、前年同月比2.5%減。実質賃金の減少は17カ月連続となった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2308p/dl/pdf2308p.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2308p/2308p.html

●二人以上世帯の消費支出、前年同月比2.5%減/8月家計調査報告

総務省は6日、8月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は29万3,161円、
実質で前年同月比2.5%減と6カ月連続の減少。前月比(季調値)は3.9%増。支出項目別でのマイナス寄与は、
食料(マイナス0.74%)、保健医療(同0.61%)、教育(同0.38%)など。プラス寄与は、教養娯楽(0.33%)、住居(0.28%)など。
勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり54万4,043円(前年同月比で実質6.9%減)。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

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【労使】
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●「年収の壁」問題への対応に意見書を提出/経済同友会

経済同友会は3日、いわゆる「年収の壁」問題への対応について意見書を公表した。
政府が9月27日に打ち出した「年収の壁」解消に向けた「支援強化パッケージ」については、「緊急避難策が講じられること自体は
時宜を得ている」としつつも、「3年間のパッケージはあくまで弥縫策に過ぎず、実効性が十分に発揮されるかは不透明」と指摘。
長期的視座から抜本的な制度改革の方向性を議論するため、「総理トップの新たな国民会議を設置する」「第3号被保険者については、
106万円の壁と130万円の壁を大胆に引き下げ、第2号被保険者への移行を促す」ことなどを提起した。
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2023/231003t.html

●賃上げ企業は6割以上、うち業績改善による企業は3割以上/日商調査

日本商工会議所は9月30日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」9月調査結果を発表した。
正社員の賃金の動向について、2023年度に「所定内賃金を引き上げた企業」は64.4%と同年5月調査に比べ2.1ポイント、
22年6月調査に比べ13.5ポイント増加。23年度に賃上げした企業のうち「業績改善しているため」とした企業は36.2%、
「改善が見られないが実施」した企業は63.8%。引き上げ率が3%以上の企業は合計で52.7%などとなっている。
9月の業況DI(産業計)はマイナス9.0で、前月比0.1ポイントの低下。エネルギー価格高騰によるコスト増、人手不足等の課題があり、
業況は4カ月連続で足踏みとしている。先行き見通しDIは、マイナス12.9でと当月比3.9ポイントの低下。
https://www.jcci.or.jp/news/2023/0929110000.html
▽9月調査結果
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2023/09/LOBO202309.pdf

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【動向】
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●理想の先輩上司、「仕事について丁寧な指導」がトップ/民間調査

日本能率協会は3日、「2023年新入社員意識調査」結果を発表した。
同会が提供する新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象に、仕事や働くことに対する意識について調査。
理想だと思う上司・先輩は、「仕事について丁寧な指導をする」(79.0%)がトップで、「言動が一致している」(53.2%)、
「部下の意見・要望を傾聴する」(47.3%)などの順。第5位の「仕事だけでなく、プライベートも大事にする」については、
男性 38.1%、女性 52.1%で、女性の方がより重視している傾向にあると指摘している。
https://jma-news.com/archives/6230
▽詳細
https://jma-news.com/wp-content/uploads/2023/10/20231003_New-employee-survey_release.pdf

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【企業】
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●「優良職長」認定制度を新設、処遇改善図る/東洋建設

東洋建設は9月28日、「優良職長」認定制度を新設すると発表した。
建設現場の安全衛生・環境・品質に関わる業務全般で重要な役割を担っている「職長」について、特に優秀で他の手本となる職長を
「優良職長」として認定する。「最上級優良職長」は日額4,000円、「上級優良職長」は2,500円、「優良職長」には2,000円を支給。
同社は、建設産業の生産体制を維持していくためにも働く人の処遇改善が必要だとしている。
https://www.toyo-const.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/09/20230929-2.pdf

●ベースアップと「飛び級制度」など導入/イーピーエス

医薬品開発支援のイーピーエスは9月29日、ベースアップと「飛び級制度」導入など人事制度の改定について発表した。
全社員のベースアップを行い、新卒社員の初任給を一律1万4,000円(約6%)引き上げる。複数年度にわたり高評価を取得した社員には、
業績賞与を最大20%増額。また、飛び級制度を導入し、高評価者は等級の2段階上げを可能とする。評価にメリハリをつけることで、
社員のエンゲージメント向上・組織の活性化を図りたいとしている。
https://www.eps.co.jp/ja/news_20230929.php

●みなし残業制度の廃止で「残業を前提としない働き方」へ/ヤマシタ

福祉用具レンタル・販売事業およびリネンサプライ事業を行うヤマシタは3日、残業時間の削減や生産性向上を目的として、
みなし残業制度を原則、撤廃すると発表した。2024年度から26年度の間、段階的に役割等級制度に基づく等級ごとの役割給
(みなし残業手当)を本給に組み込むとともに、勤務時間数に応じて時間外勤務手当を支給することにより、「残業を前提としない
働き方」に変えていくとしている。
https://www.yco.co.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/20231003.pdf

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【イベント】
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●「介護労働シンポジウム~介護人材の確保・定着・育成・処遇~」/介護労働安定センター

 介護労働安定センターは11月13日(月)、「介護労働シンポジウム~介護人材の確保・定着・育成・処遇~」を東京都渋谷区で
開催する。基調講演では、介護労働実態調査の分析資料等から様々な課題について有識者が問題提起。パネルディスカッションでは、
行政や介護事業者などの専門家、実践者を交え、介護人材を確保・定着させるために必要な取組みと職場づくりなどについて議論する。
参加無料、定員240人。
http://www.kaigo-center.or.jp/topics/pdf/20230927_symposium.pdf

●「中小企業のための採用力向上セミナー」/東京商工会議所

東京商工会議所は「採用難を乗り越える!中小企業のための採用力向上セミナー」をオンラインで開催している。
中小企業が採用活動に持つべき視点や中小企業ならではの採用手法等、また、人材採用に係る諸制度の変更内容についても解説する。
対象は主に人手不足や採用に課題のある企業の採用担当者。視聴可能期間は10月31日(火)まで。参加無料。申込受付は10月20日(金)までの予定。
https://myevent.tokyo-cci.or.jp/detail.php?event_kanri_id=202495