メールマガジン労働情報 No.1903

■□――【メールマガジン労働情報/No.1903】

 経済対策の骨子を発表、「年収の壁」解消に向けた支援強化も表明/首相会見 ほか

―2023年9月27日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】経済対策の骨子を発表、「年収の壁」解消に向けた支援強化も表明/首相会見 ほか
【統計】22年度の新卒採用枠で「正社員募集した」58%/労働経済動向調査 ほか
【労使】副業・兼業推進のための割増賃金規制見直し等を提起/経団連規制改革要望
【動向】建設業の時間外労働、業種間でバラツキ/民間調査 ほか
【企業】退職社員の「カムバック制度」を導入/東京メトロ
【イベント】連続セミナー「障がい児・医療的ケア児の親と就労」 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇調査シリーズNo.231『副業者の就業実態に関する調査』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2023/231.html

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム「外国にルーツを持つ世帯の子育てと労働を考える」
 (Zoomウェビナー・オンライン開催・参加無料)

 日 時:10月13日(金曜)~19日(木曜) *ライブ配信10月19日

 日本に暮らす外国人は300万人を超え、日本に定住して子どもを産み育てる人々が
増えています。移住してきた外国籍の人々の非正規雇用の割合は高く、移住第一世代
が労働市場において直面する問題は依然として多くあります。
 本フォーラムでは、外国にルーツを持つ世帯が置かれた環境を概観し、支援現場の
報告を交えながら、課題や支援のあり方について様々な視点から議論します。
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20231019/index.html

◇『日本労働研究雑誌』10月号を刊行しました! 特集「公務員の職務と働き方」

 公務労働は全ての人の生活にかかわる重要な労働で、公務員制度改革はこれまで幾度も
行われてきました。本特集では、異動により職務が多岐にわたる可能性が高く、職務内容
が社会情勢に影響されやすい一般行政職に焦点を当て、民間部門とは異なる特性に着目し、
そこから生じる公務員の職務、職業倫理、働き方、労使関係、地位、人事異動、採用活動
に関する課題を明らかにします。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2023/10/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』10月号を公開しました!「社員が成長する会社」

 本号では、社員が成長しやすい職場環境を整え、成長を積極的に応援する企業の事例と
ともに、企業・労働者の能力開発に関する最新の調査結果、また、働きやすい職場の整備
が急がれる国家公務員を巡る動向などを紹介し、働く人が主体的に能力を伸ばしながら
成長できる職場づくりに向けたヒントを提示します。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2023/10/index.html

◇英文ジャーナル『Japan Labor Issues』(電子版)2023年秋号を公開しました!

 本号では、論文特集(I)として論文「縮む日本の中間層」をお届けします。「国民生活
基礎調査」の個票データを用いて中間層の割合の推移を確認し、低下の背景要因、上昇に
資する政策のあり方を分析。判例解説では、フリーランスへのハラスメント等に係る委任
者の安全配慮義務違反の成否を争ったアムールほか事件(東京地裁2022.5.25)を取り上げ
ています。このほか、ミドルエイジ層の転職後の処遇やスキル・知識の活用に影響を及ぼ
す要因分析、労働者のキャリア開発支援と労働移動をテーマとした2022年版労働経済白書
の紹介、日本の非正規雇用労働者の対策に関する網羅的な解説を掲載しています。
https://www.jil.go.jp/english/jli/index.html

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【行政】
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●経済対策の骨子を発表、「年収の壁」解消に向けた支援強化も表明/首相会見

 岸田首相は25日の会見で、10月中の取りまとめを目指す経済対策の骨子を発表した。
経済対策は、(1)物価高から国民生活を守るための対策、(2)持続的な賃上げ、所得向上
と地方の成長、(3)国内投資の促進、(4)人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革、
(5)国土強靱化、防災・減災など国民の安心・安全の確保、を5つの柱として構成する。
 また首相は、いわゆる「年収の壁」について、「130万円の壁」に関しては審議会で
検討しているとしつつ、「106万円の壁」に関しては、人手不足対応等の観点から、当面
支援強化パッケージを実施する考えを表明。手取り収入を減少させないための「社会保
険適用促進手当」の創設や、賃上げで労働者の収入を増加させる取組を行った事業主への
助成金(労働者1人当たり最大50万円支給)を創設すると説明した。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/0925kaiken.html

●第3号被保険者制度と「年収の壁」など議論/厚労省社保審年金部会

 厚生労働省は21日、社会保障審議会年金部会を開催し、第3号被保険者制度と、短時間
労働者の就労調整の要因とされる「年収の壁」等について議論した。第3号被保険者につ
いては、「被用者保険の適用拡大を進め、制度の縮小・見直しに向けたステップを踏んで
いくことが必要」(資料1・22頁等)などとし、「年収の壁」については、「106万円」、
「130万円」の壁の解消に向けた対応例(資料2・21頁以下)などを示した。
 検討の視点としては、「負担についての公平性」「社会保険料の労使折半負担の原則との
整合性・事業主の理解」「他の被保険者との公平性」を提示。単に手取り収入が減収しない
仕組みとした場合、負担や給付面での不公平や新たな壁の発生といった課題が生じるため、
これに対応する仕組みを検討するには多様な論点があるとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_230921.html
(資料1・ 第3号被保険者制度)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001148320.pdf
(資料2・「年収の壁」関係)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001148321.pdf

(参考)JILPT記者発表資料(2023年5月16日)
「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」及び「働き方に関するアンケート
 調査」結果
 https://www.jil.go.jp/press/documents/20230516.pdf

●中間とりまとめ「持続可能な建設業を目指して」を公表/国交省

 国土交通省は19日、中央建設業審議会・基本問題小委員会の中間整理「担い手確保の
取組を加速し、持続可能な建設業を目指して」を発表した。資材価格高騰や時間外労働
規制に対応しつつ、適正な請負代金・工期が確保された契約の下で工事が実施される環
境づくりが欠かせないと指摘。中間整理では、「請負契約の透明化による適切なリスク
分担」「適切な労務費等の確保や賃金行き渡りの担保」「魅力ある就労環境を実現する
働き方改革と生産性の向上」の分野で早急に講ずべき施策を取りまとめている。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00194.html
(中間とりまとめ)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001631029.pdf
(概要)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001630980.pdf

●建設業で働く人の働き方改革、PR動画(第4弾)を公開/厚労省

 厚生労働省は22日、「働き方改革PR動画『はたらきかたススメ』シリーズ第4弾」
を公開した。この動画シリーズは、2024年4月から開始する建設業で働く人やドライバー
への時間外労働の上限規制の適用に向けて制作するもの。
 今回の第4弾は、建設業で働く人の働き方改革を進めるにあたって、工事を発注する
業者をはじめとする人たちに周知したい内容を取り上げている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35361.html

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【統計】
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●22年度の新卒採用枠で「正社員募集した」事業所58%/労働経済動向調査

 厚生労働省は22日、「労働経済動向調査(2023年8月)」結果を公表した。労働者の
過不足判断DI(不足-過剰)は、正社員等がプラス45ポイント(49期連続の不足超過)、
パートタイム労働者がプラス30ポイント(56期連続の不足調査)で、引き続き「不足」
とする事業所割合が多い。
 特別調査項目の「2022年度新規学卒者の採用枠で正社員の募集」(概況13頁)について、
募集を「行った」事業所は58%。募集時期は「春季(3月~5月頃)のみ」が最も多く
37%、次いで「年間を通して随時」36%、「年複数回(春季と秋季など)」15%など。
「春季のみ」事業所に、今後他の時期にも募集を行う予定があるか尋ねると、「未定」
45%、「全く予定していない」23%、「検討している」15%、「予定している」13%の順。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2308/
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2308/dl/7siryo.pdf
(概況)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2308/dl/8roudoukeizaidouko.pdf

●7月の実質賃金、前年同月比2.7%減少/毎勤統計確報値

 厚生労働省は26日、7月の「毎月勤労統計調査」結果(確報・事業所規模5人以上)
を公表した。現金給与総額は、就業形態計で38万63円(前年同月比1.1%増)、うち
一般労働者が50万9,103円(同1.8%増)、パートタイム労働者が10万7,354円(同1.3%増)。
一方、実質賃金は2.7%減で16カ月連続の減少。総実労働時間は138.6時間(1.0%減)。
うち、所定内労働時間は128.6時間(0.9%減)、所定外労働時間は10.0時間(2.0%増)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2307r/dl/pdf2307r.pdf

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【労使】
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●副業・兼業推進のための割増賃金規制見直し等を提起/経団連規制改革要望

 経団連は12日、「2023年度規制改革要望-日本経済にダイナミズムを取り戻す」を
公表した。柱として「GX・サーキュラーエコノミー(CE)」「DX」「成長産業の
振興」とともに「人の活躍」をあげた。副業先での就労時間で割増賃金が発生することが
副業・兼業を推進するうえでハードルとなっているとし、割増賃金計算において、本業と
副業・兼業の事業場での労働時間を通算しないこと、介護の両立支援等に資するため
深夜労働の割増賃金規制を見直すこと等を求めている。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/061.html

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【動向】
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●建設業の時間外労働、業種間でバラツキ/民間調査

 帝国データバンクは26日、「建設業の時間外労働に関する動向調査(23年8月)」
結果を発表した。同社が月次で集計している時間外労働の状況調査では、2023年8月
時点の建設業の時間外労働時間DI(50超が増加、50未満が減少を表す)は48.8で
2カ月連続で上昇。建設業全体のDIは50を下回っているが、「はつり・解体工事業」
(54.4)や「内装工事業」(52.4)などで大きく増加し、業種間でバラツキがあると指摘
している。
https://www.tdb-di.com/special-planning-survey/sp20230926.php

●戸建住宅メーカー、売上増加もコスト上昇で6割が減益/民間調査

 東京商工リサーチは26日、全国の主要戸建メーカー・ハウスビルダーの動向調査結果
を発表した。2022年度に売上高100億円を超えた戸建メーカー・ハウスビルダーは117社。
これらの売上高合計(約7兆8,945億円)は前年度から5.3%増加したが、利益は3.9%減
少。減益企業は約6割に達した。レポートは、「売上増の背景は、高付加価値化による
価格上昇のほか、建築資材や物流費、人件費などの上昇に伴う販売価格の上昇が大きい。
一方で、価格転嫁が追いつかず利益後退が鮮明になった」などと指摘している。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198019_1527.html

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【企業】
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●退職社員の「カムバック制度」を導入/東京メトロ

 東京メトロは21日、同社を退職した社員を広く再雇用の対象とする「カムバック
制度」を10月から導入すると発表した。同社ではこれまで、育児・介護等の事情で
退職せざるを得なかった社員を再雇用する制度を設けていたが、今回制度を拡充し、
育児・介護等による退職者だけでなく、3年以上同社に勤務し、転職等の自己都合
を理由に退職した人も制度の対象とする。
https://www.tokyometro.jp/news/images_h/metroNews230921_55.pdf

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【イベント】
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●連続セミナー「障がい児・医療的ケア児の親と就労」/障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会など

 障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会、朝日新聞厚生文化事業団は、障がい児
育児と仕事との両立について、現状と課題を共有し、必要な仕組みや支援制度について
考える連続セミナー「障がい児・医療的ケア児の親と就労」の第2回「取り残される
障がい児・医療的ケア児の親たち」を10月21日(土)にオンラインで開催する。トーク
セッションとグループセッションの2部制。参加無料。申込期限10月11日(水)。
https://www.asahi-welfare.or.jp/archives/14999524

●「連合総研フォーラム―持続的な賃上げにつながる社会経済の構築へ―」/連合総研

 連合総研は10月26日(木)に「第35回 連合総研フォーラム―持続的な賃上げにつながる
社会経済の構築へ―」をオンライン(Zoomウェビナー)で開催する。基調講演とパネル
ディスカッションにより、日本経済と雇用・賃金の状況について分析し、持続的賃上げに
つながる社会経済システム構築のための課題について議論する。
参加無料・要申込(定員になり次第締切)。
https://www.rengo-soken.or.jp/info/2023/09/221000.html