メールマガジン労働情報 No.1897

■□――【メールマガジン労働情報/No.1897】

最低賃金、「2030年代半ばまでに全国加重平均1,500円を目指す」/政府会議 ほか

―2023年9月6日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】最低賃金、「2030年代半ばまでに全国加重平均1,500円を目指す」/政府会議 ほか
【統計】経常利益11.6%増、過去最高を更新/4~6月期法人企業統計調査 ほか
【労使】電力料金上昇が「経営に悪影響あり」、62.0%で過去最高/日商調査
【動向】70%が「学び直し」の重要性を認識するも、実践者は14%/民間調査 ほか
【海外】「ビジネスと人権」―米英独仏、国際機関の取り組みについて
【イベント】「企業向け障害者テレワーク導入ガイダンス」/厚労省 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム「企業で働く人の社会貢献活動と生涯キャリア」

 9月23日~27日(オンデマンド配信)
  ・講演「ソーシャルキャピタルからみる日本の違和感─企業に求められる姿勢」
  ・報告「生涯キャリアと社会貢献活動─パラレルキャリアの可能性」

 9月27日(水)14:00~16:30(ライブ配信)
  ・「社員が企業に在籍したままNPOで働く社会貢献の形」(花王株式会社)
  ・「社会貢献活動の実践から」(藤沢市民活動推進機構)
  ・「60歳再雇用でNPO出向、全くの新領域での経験とその後の発展」(個人実践者)
(参加無料・要申込)
 https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20230927/index.html

★「東京労働大学講座・専門講座」人事管理・労働経済コース ※申込受付中!

 期 間:9月13日(水)開講~11月30日(計15日)
 会 場:ビジョンセンター永田町(東京都千代田区)
 受講料:4万5,000円(税込)

 ※第一線の講師陣によるゼミナール
  一部の講義は「会場+オンライン(ライブ配信)」のハイブリット開催
 https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html

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【行政】
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●最低賃金、「2030年代半ばまでに全国加重平均1,500円を目指す」/政府会議

 政府は8月31日、第21回「新しい資本主義実現会議」を開催し、賃金や投資を含む
成長と分配の好循環の進め方について議論した。首相は議論を踏まえ、「今年の賃上げ
率は3.58%、中小企業に限っても3.23%であり、30年ぶりの高水準。最低賃金額は全国
加重平均1,004円となり、目標の1,000円超えを達成した」と述べ、最低賃金については
「2030年代半ばまでに全国加重平均1,500円を目指す」と強調。また、賃金と最低賃金の
安定的な引き上げのためには「中小・小規模企業の労務費の円滑な転嫁が必要」であり、
「年内に発注者側のあるべき対応を含め、詳細な指針を策定・公表・周知徹底を行う」
と述べた。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai21/gijisidai.html
(首相官邸)
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202308/31shihon.html

●建設業の人材確保・育成の取組み、24年度予算の概算要求/厚労省・国交省

 厚生労働省と国土交通省は1日、建設業の人材確保・育成の取組みに向けて2024年度
予算概算要求の概要を公表した。(1)人材確保、(2)人材育成、(3)魅力ある職場づくり、
を重点事項に掲げ、ハローワークのマッチング支援やハロートレーニング(職業訓練)
などの施策を盛り込んでいる。建設業の将来の担い手確保が急務として、特に若者や
女性の入職や定着促進などに重点を置きつつ、処遇改善、働き方改革、生産性向上を
一体として進めていくことが重要としている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34916.html

●心理的負荷による精神障害の認定基準を改正/厚労省

 厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、1日付で都道府
県労働局長宛に通知した。この改正は、近年の社会情勢の変化等に鑑み、同省の専門
検討会が23年7月に取りまとめた報告書を受けたもの。
 主なポイントは、業務による心理的負荷の具体的出来事に「顧客や取引先、施設利
用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)、「感染
症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を類型として追加し、心理的負荷
の強度の具体例にパワーハラスメント6類型すべてを明記したことなど。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34888.html
(認定基準改正の概要)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001140928.pdf

●働きながらでも学びやすい職業訓練のあり方、報告書とりまとめ/厚労省研究会

 厚生労働省は5日、「公的職業訓練の在り方に関する研究会」報告書を公表した。
研究会では、企業内でも訓練機会が乏しいと考えられる非正規雇用労働者等を中心に、
具体的な支援の方策を検討、議論。報告書は、働きながらでも学びやすい職業訓練の
制度設計について、内容(水準・実施方法・受講日程・分野・受講費用等)、対象者
への周知方法、職業訓練実施機関(訓練コース)の選定方法、成果指標の4つの視点
から検討した結果をまとめたもの。兵庫県豊岡市や佐賀県等の先行事例も掲載している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35012.html

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【統計】
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●経常利益11.6%増、過去最高を更新/4~6月期法人企業統計調査

 財務省は1日、2023年4~6月期の「法人企業統計調査」結果を公表した。
全産業(金融業、保険業を除く)の企業動向を前年同期比でみると、売上高は5.8%増、
経常利益は11.6%増、設備投資は4.5%増。経常利益(31兆6,061億円)は四半期ベース
の過去最高益を更新した。
 一方、同日公表した2022年度の「法人企業統計調査」でも、金融業・保険業を除く
全産業の経常利益(95兆2,800億円、前年度比13.5%増)は過去最高。利益剰余金は
554兆7,777億円で、前年度を上回った。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/data.htm
(報道発表資料、2023年4~6月期)
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r5.4-6.pdf
(報道発表資料、2022年度)
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r4.pdf

●二人以上世帯の消費支出、前年同月比5.0%減/7月家計調査報告

 総務省は5日、7月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの
消費支出は28万1,736円、実質で前年同月比5.0%減と5カ月連続の減少。前月比
(季節調整値)は2.7%減。支出項目別でのマイナス寄与は、住居(マイナス1.35%)、
食料(同0.81%)、交通・通信(同0.75%)など。プラス寄与は、被服及び履物(0.22%)、
光熱・水道(0.21%)など。
 勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり63万7,866円(前年同月比で実質6.6%減)。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
(報道発表資料)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

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【労使】
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●電力料金上昇が「経営に悪影響あり」、62.0%で過去最高/日商調査

 日本商工会議所は8月31日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」8月調査結果を
発表した。電力料金の上昇が経営に及ぼす影響を尋ねたところ、「悪影響がある」は
62.0%で過去最高。2021年調査と比較して2倍超と大幅に増加。今後の対応は「既存
設備での節電など人件費以外のコスト削減」が49.6%と最も多く、「サービス・商品
への販売価格への転嫁」が35.9%などとなっている。
 8月の業況DI(産業計)はマイナス8.9で、前月比0.9ポイントの上昇。原材料・エ
ネルギー価格の高騰でコスト増が続き、労務費等の上昇分までの十分な価格転嫁も進
まず、業況は横ばい。先行き見通しDIは、マイナス14.0で今月比5.1ポイントの低下。
https://www.jcci.or.jp/news/2023/0831110721.html
(8月調査結果)
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/LOBO202308.pdf

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【動向】
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●70%が「学び直し」の重要性を認識するも、実践者は14%/民間調査

 パーソル総合研究所は8月31日、「ミドル・シニアの学びと職業生活についての
定量調査」結果を発表した。ミドル・シニアの70.1%が「何歳になっても学び続ける
必要がある」と学び直しの重要性を認識しているが、実際に「学び直しをしている」
は14.4%にとどまる。「学び直す意欲はあるが特に学んでいない」(29.8%)と
「学び直す意欲がない」(47.5%)を合わせた「非学習層」は77.3%に上る。
 また、学び直しをしていないグループが学び直したと仮定すると、効果は年収平均
12万円増などと推定。調査は、35~54歳を「ミドル」、55~64歳を「シニア」と定義し、
学び直しの実態・効用・促進要因等を分析している。
https://rc.persol-group.co.jp/news/202308311000.html

●テレワークの課題は「コミュニケーション低下」と「運動不足」/民間調査

 明治安田厚生事業団は8月29日、テレワークにおける健康課題や健康管理に関する
全国上場企業を対象とした調査結果を発表した。テレワークの導入率は70%で、実施
頻度は「週2~3回」(40%)が最多。テレワークをしている従業員の2大健康課題は、
「コミュニケーション低下」(49%)と「運動不足」(45%)。一方、テレワーク従業員
に対する身体活動促進や運動不足対策の取組みは「特になし」(62%)が最も高い。
https://www.my-zaidan.or.jp/pressrelease/detail.php?id=9089c412cc5b79d2c322b9003177de6e&tmp=1692957413

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【海外】
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●フォーカス/JILPT

▽「ビジネスと人権」
  ―米・英・独・仏、国際機関(EU、ILO、OECD)の取り組みについて

 JILPT調査部では、2021年7月に、「ビジネスと人権」に関するアメリカ、イギリス、
ドイツ、フランスの取り組みを特集した。今回は、新たに国際機関(EU、ILO、OECD)の
取り組みを加えて、その後の各国の最新の取り組みの状況をまとめた。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/index.html#year_2023

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【イベント】
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●「企業向け障害者テレワーク導入ガイダンス」を開催/厚労省

 厚生労働省は、10月25日(水)に「企業向け障害者テレワーク導入ガイダンス」を
会場(東京・千代田区)とオンラインで開催する。障害者雇用におけるテレワークの
導入方法の具体的な解説に加え、実際に導入している企業の担当者による事例紹介を
行う。参加無料。HPより申し込む。会場定員100名(先着順)。
https://www.mhlw-telework.com/guidance/

●「誰もが活躍できる「働き方」を考える―ひきこもりから社会への一歩」/千代田区

 東京・千代田区障害者就労支援センターは10月5日(木)、講演会「誰もが活躍できる
「働き方」を考える―ひきこもりから社会への一歩」を千代田区の会場とオンラインで
開催する。ひきこもりの現状や就労に向けた取り組み、雇用の事例についての講演。
参加無料。要事前申込、9月28日締切。会場定員30名。
https://forms.gle/f7KUfJGtbHK4R6jB7

●労働セミナー「中小企業必見!就業規則の整備と見直しポイント」/東京都

 東京都労働相談情報センターは9月21日(木)・26日(火)に、労働セミナー「中小企業必見!
就業規則の整備と見直しポイント―防ごう、労務トラブル」を品川区で開催する。
中小企業の使用者向けに、中小企業の就業規則でよく見られる不備と、規定改定案に
ついて具体的に解説する。受講無料。要申込、定員75名。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-zchuo-001392

●9月は「障害者雇用支援月間」/JEED

 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)は、9月の「障害者雇用支援月間」に
おいて、事業主のみならず、広く国民に対して障害者雇用の機運を醸成するとともに、
障害者の職業的自立を支援するため、厚生労働省、都道府県と協力して、さまざまな
啓発活動を展開している。月間では、「障害者雇用優良事業所等全国表彰式」、
「絵画・写真コンテストの入賞作品の紹介」、「障害者雇用職場改善好事例の紹介」
などを行う。
https://www.jeed.go.jp/disability/activity/education/index.html