メールマガジン労働情報 No.1896

■□――【メールマガジン労働情報/No.1896】

 高賃上げの継続による「賃金と物価の好循環」、「デフレ」脱却の実現を重視/経済財政白書 ほか

―2023年9月1日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】高賃上げの継続による「賃金と物価の好循環」、「デフレ」脱却の実現を重視/経済財政白書 ほか
【統計】基調判断「生産は一進一退で推移している」として下方修正/7月鉱工業指数 ほか
【動向】企業の懲戒制度に関する調査結果を発表/民間調査 ほか
【企業】「完全週休3日制」を導入、毎週水曜を休日/伊予鉄グループ ほか
【海外】都市部年収の伸びが鈍化―2022年、国家統計局調べ/中国
【イベント】「SDGs導入支援プログラム」オンライン説明会/日本生産性本部 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム「企業で働く人の社会貢献活動と生涯キャリア」
 (オンライン開催・参加無料)
 9月23日~27日(オンデマンド配信)
  ・基調講演
   「ソーシャルキャピタルからみる日本の違和感─企業に求められる姿勢」
  ・研究報告
   「生涯キャリアと社会貢献活動─パラレルキャリアの可能性」

 9月27日(水)14:00~16:30(ライブ配信)
  ・企業の取組 「社員が企業に在籍したままNPOで働く社会貢献の形」(花王(株))
  ・NPOの取組「社会貢献活動の実践から」(藤沢市民活動推進機構)
  ・個人の取組 「60歳再雇用でNPO出向、全くの新領域での経験とその後の発展」
要申込↓
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20230927/index.html

★「東京労働大学講座・専門講座」 ※申込受付中!
 <人事管理・労働経済コース>
   9月13日(水)開講~11月30日(計15日)

※ゼミナール形式。一部の講義は「会場+オンライン(ライブ配信)」のハイブリット開催
会 場:ビジョンセンター永田町(東京都千代田区)
受講料:4万5,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html

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【行政】
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●高賃上げの継続による「賃金と物価の好循環」、「デフレ」脱却の実現を重視/経済財政白書

 内閣府は8月29日、「2023年度の年次経済財政報告(経済財政白書)」を公表した。
 物価と賃金は動き始めているとし、来年度も高い賃上げを継続することにより「賃金と
物価の好循環」を実現し、「デフレ」からの脱却を定着させていくことが重要とした(第1章)。
 家計の所得向上については、労働移動の活発化、副業・兼業の拡大や女性・高齢者の活躍
促進等が重要とし、少子化傾向の反転のためには、(1)将来の所得上昇期待を高めて結婚・
出産の後押しをすること、(2)住宅・教育費などの子育て負担の軽減、(3)出産後の女性の労働
所得が下がりにくい環境を整備し、「共働き・共育て」を支援する仕組みとして、保育所整備・
男性育休やベビーシッター利用の促進の充実整備等が必要とした(第2章)。
 企業の収益性向上については、マークアップ率(企業の価格設定力)の向上が、収益性を
改善し、投資や賃上げ余力を高めるため、経済の好循環の観点からも重要などとした(第3章)。
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/index_pdf.html
(説明資料)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2023/0829wp-keizai/setsumei00.pdf

●教師を取り巻く環境整備について緊急提言/文科省

 文部科学省は8月28日、「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策」を
提言した。教師の長時間勤務の実態や全国的な教師不足が指摘されている状況に危機感を持つ
必要があるとして、持続可能な学校の指導・運営体制を構築していくための施策を提言。
(1)学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進、(2)学校における働き方改革の実効性の
向上等、(3)持続可能な勤務環境整備等の支援の充実、について、取り組むべき施策を盛込
んでいる。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/099/mext_01551.html

●2023年度「地域雇用活性化推進事業」の採択地域、10地域を決定/厚労省

 厚生労働省は8月31日、2023年度「地域雇用活性化推進事業」の採択地域として、
北海道釧路市、埼玉県ちちぶ地域、岡山県津山市など10地域を決定した。
「地域雇用活性化推進事業」は、雇用機会が不足している地域や過疎化が進む地域が、
その特性を生かして「魅力ある雇用」や「それを担う人材」の維持・確保を図るために
創意工夫する取組みを支援するもの。
https://www.mhlw.go.jp/content/11606500/kasseikareiwa02.pdf

●9月は「職場の健康診断実施強化月間」/厚労省

 厚生労働省は、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」と位置付け、労働安全
衛生法が義務付けている一般定期健康診断の実施、結果についての医師の意見聴取、
意見を踏まえた就業上の措置の実施について、集中的・重点的に啓発を行っている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27561.html
(リーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000980141.pdf

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【統計】
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●基調判断「生産は一進一退で推移している」として下方修正/7月鉱工業指数

 経済産業省は8月31日、7月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。
生産指数(季節調整値)は103.6、前月比マイナス2.0%と、2カ月ぶりの低下。
業種別では、低下したのは、生産用機械工業、電子部品・デバイス工業、電気・情報
通信機械工業等。上昇したのは、輸送機械工業(自動車工業を除く)、自動車工業、
パルプ・紙・紙加工品工業等。出荷は同マイナス2.1%で2カ月ぶりの低下。在庫は
同0.9%で、3カ月連続の上昇。在庫率は同2.9%で、4カ月ぶりの上昇。基調判断は
「総じてみれば、生産は一進一退で推移している」として下方修正。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
(概要)
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202307sj.pdf

●消費者マインドの基調判断、「改善に向けた動きがみられる」で据え置き/8月消費動向調査

 内閣府は8月30日、8月の「消費動向調査」結果を公表した。「消費者態度
指数(二人以上の世帯、季節調整値)」は、36.2(前月比0.9ポイント低下)。
指数を構成する各指標について前月差を見ると、いずれも低下しており、「雇用環境」
が42.7(マイナス1.3ポイント)、「耐久消費財の買い時判断」が30.0(同1.1ポイント)、
「暮らし向き」が32.9(同1.0ポイント)など。消費者マインドの基調判断は、「改善
に向けた動きがみられる」で据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
(統計表等)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

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【動向】
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●企業の懲戒制度に関する調査結果を発表/民間調査

 労務行政研究所は8月30日、企業における「懲戒制度に関する実態調査」結果を
発表した。30のケース別にみた懲戒処分の適用判断などを調査。「懲戒解雇」の割合が
高かったのは「売上金100万円を使い込んだ」75.9%、「無断欠勤が2週間に及んだ」
74.1%、「社外秘の重要機密事項を意図的に漏洩させた」69.4%の順。懲戒解雇では
退職金を「全く支給しない」が63.2%、諭旨解雇では「全額支給」30.5%が最多。
 懲戒段階の設定数は「6段階」が最も多く、実施パターンでは「譴責、減給、出勤
停止、降格・降職、諭旨解雇、懲戒解雇」のパターンが最も多かった。
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000085594.pdf

●価格転嫁率43.6%、卸売業を中心に価格転嫁が進む/民間調査

 帝国データバンクは8月28日、「価格転嫁に関する実態調査(7月)」結果を発表した。
自社の商品・サービスのコスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格
転嫁率」は43.6%。2022年12月の前回調査より3.7ポイント転嫁が進んだが、依然として
6割弱のコストを企業が負担している。「全く価格転嫁できない」企業も12.9%と
1割を超える。業種別にみると、価格転嫁率が高いのは「紙類・文具・書籍卸売」
(65.7%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(64.3%)、「化学品卸売」(63.1%)など
卸売業が上位を占める。低い業種は、一般病院や老人福祉事業といった「医療・福祉・
保健衛生」(15.2%)が最も低く、「娯楽サービス」(21.6%)、「リース・賃貸」(24.8%)、
「農・林・水産」(25.6%)など。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230812.html

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【企業】
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●「完全週休3日制」を導入、毎週水曜を休日/伊予鉄グループ

 伊予鉄グループは8月28日、従業員の働き方改革、ワークライフバランスの実現などを
目的に、毎週水曜を休日とし、全社的に「完全週休3日制」を導入すると発表した。
対象は全従業員で、週平均40時間のフレックスタイム勤務とし、毎週水曜を休日とするこ
とで年間休日は170日超になる。9月に運用開始し、10月に完全移行を予定。
https://www.iyotetsu.co.jp/topics/press/2023/0828_gwkb.pdf

●人事制度と報酬体系を改定、役割と発揮価値に応じた処遇へ/シミックヘルスケア

 医薬品開発支援のシミックヘルスケア・インスティテュートは8月28日、2023年10月より
人事制度改定と報酬水準改定(ベースアップ)を実施すると発表した。近年、希少疾患への
開発領域のシフトや医療機器の多様化に伴い、高度な知識やノウハウを持った人財の獲得・
育成が求められているとして、役割と発揮価値に応じた人財登用と処遇の実現を目指す。
 基幹事業の担い手である治験コーディネーターなど専門職種の市場価値と物価上昇等の
社会情勢を踏まえ、全体で平均7%程度の報酬アップを行うとしている。
https://www.cmicgroup.com/news/20230828?cl=navi

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<中国>
▽都市部年収の伸びが鈍化―2022年、国家統計局調べ

 中国国家統計局はこのほど、2022年における都市部非私営企業と私営企業の従業員の
平均年収を発表した。非私営企業の平均年収は11万4,029元で前年比7,192元、名目6.7%
増加したが、前年比で3ポイントの減少となった。一方、私営企業の平均年収は
6万5,237元で前年比2,353元、名目3.7%増加したが、こちらも前年比で5.2ポイント
減少。非私営、私営企業とも年収の伸びが鈍化している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/08/china_02.html

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【イベント】
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●「SDGs導入支援プログラム」オンライン説明会/日本生産性本部

 日本生産性本部では、SDGs導入支援プログラムとしてSDGsカードゲームの研修(気軽に
SDGs の必要性や2030年の世界の変化を体験する2.5時間の体験型ワークショップ)等を
実施している。その説明会を9月6日(水)、13日(水)に無料・オンラインで開催する。
「SDGs導入・取組み支援説明会」
 第1回 2023年9月6日(水)15:00~16:00
 https://www.jpc-net.jp/seminar/detail/006523.html

 第2回 2023年9月13日(水)15:00~16:00
 https://www.jpc-net.jp/seminar/detail/006524.html

●セミナー「女性活躍推進を通じた組織づくりに本気で取り組む!」/東京商工会議所

 東京商工会議所は、セミナー「女性活躍推進を通じた組織づくりに本気で取り組む!
―『Wのキセキ』のキーマンに聞く」を9月22日(金)、千代田区で開催する(共済:
日本商工会議所)。セミナーでは、女性活躍推進の課題として「家庭と仕事との両立」、
「女性社員のキャリアップ」を取り上げ、課題解決のポイントや取組意欲向上の方法に
ついて学ぶ。女性活躍推進に取り組んでいる企業担当者より事例紹介もある。参加無料、
定員40名。HPより申し込む。
https://myevent.tokyo-cci.or.jp/detail.php?event_kanri_id=202256

●合同開催/国際産業保健学会&アジア太平洋仕事の心理社会的要因に関する学会

 国際産業保健学会「職場の組織と心理社会的要因科学委員会」およびアジア太平洋
仕事の心理社会的要因に関する学会の合同学会が、9月19日(火)~22日(金)の4日間、
「Imagine! Decent Work Beyond COVID-19」をテーマに、千代田区一橋講堂で開催される。
基調講演、シンポジウムは同時通訳付き。「働きがいのある人間らしい働き方」と
訳されるディーセント・ワークの実現に向け、各国最新動向を把握し国際的に検討。
参加費:関連学会員(詳細下記HP参照)7万円、非会員8万5,000円、関連学会学生
2万8,000円、学生4万2,000円。
https://hp3.jp/icoh-wops_apa-pfaw2023/jpn/

●セミナー「持続的な社会保障制度と包摂的社会の実現への課題」/京都勤労者学園

 京都勤労者学園は、9月・10月に労働関連法セミナー「持続的な社会保障制度と
包摂的社会の実現への課題」を京都市中京区及びオンラインで開催する。9月20日(水)
「男女が希望どおり働ける社会づくりについて」等、全3回。参加無料。定員は各回、
会場25名、オンライン30名(先着順)。
テーマは、男女が希望どおり働ける社会づくりについて(9月20日)、勤労者皆保険の
現実と将来像について(9月27日)、日本で働き暮らす外国人に必要な支援について
(10月4日)。いずれも18:30~20:30。
https://www.labor.or.jp/gakuen/archives/11110