メールマガジン労働情報 No.1848

■□――【メールマガジン労働情報/No.1848】

賃上げ原資確保のため、価格転嫁対策を強化/物価・賃金・生活総合対策本部 ほか

―2023年3月1日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】賃上げ原資確保のため、価格転嫁対策を強化/物価・賃金・生活総合対策本部 ほか
【統計】12月の現金給与総額4.1%増、実質賃金は0.6%減/毎勤統計確報値 ほか
【動向】中小企業の12月給与、53%が引き上げ/民間調査 ほか
【イベント】2022年度「冲永賞」の授賞図書・論文を発表/労働問題リサーチセンター ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇労働政策研究報告書 No.223『企業のキャリア形成支援施策導入における現状と課題』

 企業におけるキャリアコンサルティングの活用状況に関する調査を実施しました。
その結果、企業の従業員に対する能力開発の意欲は高い一方で、キャリアコンサルティング、
ジョブ・カード、セルフ・キャリアドック等の各種キャリア形成支援施策の導入率は低く、
一定のギャップがみられました。従業員数が多いほど支援施策の導入率は高かったこと、
45歳以上比率が低いほど、また新卒正社員採用数が直近3年間で増えているほど各種キャリア
形成支援施策の導入率は高かったこと、などが分かりました。
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2023/0223.html

◇ディスカッションペーパー 23-S-01『職業の自動化確率についての日米比較
 Frey&Osborne モデルの再現と日本版 O-NET データへの拡張』
https://www.jil.go.jp/activity/project/o-net/documents/DP23-S-01.pdf

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【JILPTからのお知らせ】
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☆ポータルサイトを開設しました!
 厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)関連のJILPT調査研究成果

 JILPTでは、様々な就職支援ツールの研究開発の蓄積を活かし、厚労省の職業情報提供
サイト(日本版O-NET)【愛称:jobtag】向けに、職業情報データベース(職業解説及び
スキルレベルや知識の重要度等を職業間で比較できるようスコア化した「数値情報」)や、
Web化した職業興味・適性検査を開発・提供しています。
 本サイトでは、関連のJILPT研究開発物や、開発経緯・過程等を取りまとめた研究成果
および「数値情報」を二次分析したディスカッションペーパー等の研究成果をご紹介します。
https://www.jil.go.jp/activity/project/o-net/index.html

◇『日本労働研究雑誌』2023年2・3月号を刊行しました!
 学界展望:労働法理論の現在
 公募特集:雇用環境・均等政策の効果と課題

 今回の「学界展望」座談会のテーマは、「労働法理論の現在」です。
2020年から2022年の業績を通じて、この3年間の労働法理論の動向を
振り返ったうえで、注目すべき文献を取り上げて、その意義や理論的な
位置づけあるいは課題などを議論します。また、公募特集として
「雇用環境・均等政策の効果と課題」に関する論文等を紹介します。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2023/02-03/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』2023年3月号を公開しました!
 「70歳まで働ける職場をつくる」

 本号では、70歳までの雇用・就業のあり方などについて議論した労働政策
フォーラム、地方での改正高齢法への対応、65歳以降の高齢者雇用の近年の
動向などを紹介しながら、どうしたら70歳まで働ける職場を円滑につくれるか
を考えます。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2023/03/index.html

☆労働政策フォーラム

「労働と健康─職場環境の改善と労働者の健康確保を考える─」(オンライン開催)
 日 時:(第1部)3月15日~20日/(第2部)3月20日14時30分~17時
 https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20230320/index.html

☆JILPTコロナプロジェクト セミナー

「コロナ期日本の働き方、家計のレジリエンス格差」(オンライン開催)
 日 時:3月17日 14時30分~16時50分
 https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/event/sm230317/index.html

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【新型コロナウイルス関連情報】
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▽最近の更新情報(2月27日更新)

 国内統計:賃金
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c10.html

 国内統計:総実労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c11.html

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【行政】
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●賃上げ原資確保のため、価格転嫁対策を強化/物価・賃金・生活総合対策本部

 政府は2月24日、第7回「物価・賃金・生活総合対策本部」を開催し、
総合経済対策・補正予算等の進捗状況のフォローアップについて議論した。
総理は議論を踏まえ、賃上げについては、「労働者の7割を占める中小企業
において、賃上げの流れが波及することが重要」とし、「原材料やエネルギー
コストのみならず、賃上げ原資の確保も含めた適正な価格転嫁の慣行を
各サプライチェーンで定着させるべく、価格転嫁対策の強化の取組を進める」
などと述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202302/24taisakuhonbu.html
(議事次第・資料)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bukka/dai7/siryou.pdf

●雇用関係助成金ポータルを4月3日にオープン/厚労省

 厚生労働省は、雇用関係助成金の電子申請を拡大するためのポータルサイトを
4月3日に公表する。4月から開始となる助成金は、キャリアアップ助成金
(正社員化コース)とトライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の2つ。
6月からは、労働移動支援助成金、中途採用等支援助成金、キャリアアップ助成金
(正社員化コース以外)、トライアル雇用助成金(一般トライアルコース以外)、
地域雇用開発助成金、人材確保等支援助成金、通年雇用助成金、両立支援等助成金、
人材開発支援助成金が開始される。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/
(雇用関係助成金ポータルリーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001061086.pdf

●「『見える』安全活動コンクール」」の優良事例を公表/厚労省

 厚生労働省は2月27日、2022年度「『見える』安全活動コンクール」の優良事例を
公表した。企業等の創意工夫が認められた安全衛生に関する優良事例は80事例。
優良事例に選ばれた事例の類型は、転倒災害及び腰痛を防ぐための「見える化」(14事例)、
高年齢労働者の特性等に配慮した労働災害防止の「見える化」(5事例)、外国人労働者、
非正規雇用労働者の労働災害を防止するための「見える化」(6事例)など。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31367.html
(「『見える』安全活動コンクール」特設ページ)
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/concour/2022/result.html

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【統計】
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●12月の現金給与総額4.1%増、実質賃金は0.6%減/毎勤統計確報値

 厚生労働省は2月24日、12月の「毎月勤労統計調査」結果(確報、事業所規模5人以上)
を公表した。現金給与総額は、就業形態計で前年同月比4.1%増の56万7,916円、
うち一般労働者が同4.5%増の78万2,495円、パートタイム労働者が同2.5%増の
11万4,899円。一方、実質賃金は、消費者物価の上昇等の影響により同0.6%減と
9か月連続のマイナスとなったが、マイナス幅は前月から1.9ポイント改善した。
総実労働時間は同0.8%減の137.2時間。うち、所定内労働時間は同1.1%減の126.7時間、
所定外労働時間は同1.7%増の10.5時間。同日には、「毎月勤労統計調査」の2022年分
結果確報も公表された。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2212r/dl/pdf2212r.pdf
(統計表等)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2212r/2212r.html
(2022年分結果確報)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/22cr/dl/pdf22cr.pdf

●1月の生鮮食品を除く総合指数、前年同月比4%上昇/全国消費者物価指数

 総務省は2月24日、1月の全国消費者物価指数を公表した。生鮮食品を除く
総合指数は104.3で前年同月比4.2%の上昇、前月比(季節調整値)0.3%の上昇。
前年同月比での上昇に寄与したのは、ガス代24.3%(寄与度0.39)、電気代20.2%
(同0.75)、生鮮魚介17.2%(同0.21)、家庭用耐久財11.1%(同0.14)など。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
(報道発表資料)
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

●11月の介護サービス受給者、約466万人/介護給付費等実態統計

 厚生労働省は2月22日、「介護給付費等実態統計月報」(2022年11月審査分)を
公表した。受給者総数は、介護サービス466万2,900人、介護予防サービス86万7,700人、
受給者1人当たり費用額は、介護サービス20万400円、介護予防サービス2万7,600円。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/2022/dl/202211_gaiyou.pdf
(統計表)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/2022/11.html

●基調判断「生産は弱含み」で据え置き/1月鉱工業指数

 経済産業省は2月28日、1月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。
生産指数(季節調整値)は91.4(前月比4.6%の低下)で3か月ぶりの低下。業種別では、
自動車工業、生産用機械工業、電子部品・デバイス工業等の12業種が低下し、上昇は
汎用・業務用機械工業、化学工業(無機・有機化学工業・医薬品を除く)、石油・
石炭製品工業の3業種。出荷は同3.1%の低下で5か月連続の低下、在庫は同0.9%の
低下で2か月連続の低下、在庫率は同2.5%の増加で3か月連続の増加。基調判断は
「生産は弱含み」で据え置き。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
(概要)
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2015_202301sj.pdf

●基調判断「足踏みを示している」へ下方修正/12月景気動向指数の改訂状況

 内閣府は2月27日、2022年12月の「景気動向指数・速報からの改訂状況」を公表した。
景気の現状を示す「一致指数」は、前月差0.2ポイント低下の99.1(速報値は98.9)。
景気動向指数(CI一致指数)に基づく基調判断は、2月以降10か月続いた「改善」から、
「足踏みを示している」へ下方修正。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202212rsummary.pdf
(統計表)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html

●建設労働需給、1月は1.2%の不足/国交省

 国土交通省は2月27日、「建設労働需給調査」(2023年1月調査)結果を公表した。
左官、配管工など8職種の全国過不足率は1.2%の不足、前月と比べ0.2ポイント
不足幅が拡大した。職種別では、鉄筋工(建築)で過剰、その他の職種で不足
となっている。東北地域は1.1%の不足、前月と比べ0.1ポイント不足幅が拡大。
8職種の今後の労働者の確保に関する見通し(3月及び4月)は、全国及び
東北地域とも「普通」としている。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00134.html
(報道発表資料)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001588699.pdf

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【動向】
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●中小企業の12月給与、53%が引き上げ/民間調査

 日本政策金融公庫は2月27日、「中小企業の雇用・賃金に関する調査」
結果を発表した。2022年12月の正社員の給与水準を前年から「上昇」させた
企業割合は53.1%、2021年実績(41.1%)から12.0ポイント上昇した。
給与水準上昇の背景は、「自社の業績が改善」(27.2%)が最多、次いで
「物価の上昇」(19.4%)、「採用が困難」(18.4%)など。2023年の見通し
については、「上昇」と回答した企業割合は53.3%。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_230227.pdf

●原材料・資材の「調達コスト増」は87%/民間調査

 東京商工リサーチは2月22日、原材料・資材の「調達難・コスト上昇に関する
アンケート」調査結果を発表した。原油・原材料価格の高騰により調達コストが
「影響を受けている」企業は86.8%、「今後影響が見込まれる」は8.4%。
「受けている」「見込まれる」企業を業種別でみると、「化学工業」、「パルプ・
紙・紙加工品製造業」などで100%。「影響を受けている」企業のうち、価格を
「転嫁できていない」は53.8%、「全額転嫁」は1.8%。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20230222_01.html

●ロシア進出企業の6割が一部・全部の事業停止/民間調査

 日本貿易振興機構は2月22日、「ロシア・ウクライナ情勢下におけるロシア進出
日系企業アンケート調査」結果を発表した。ロシア進出日系企業のうち、一部もしくは
全部の事業停止を行う割合は60.6%で、前回調査(2022年8月)比11.1ポイント増加、
「通常通り」は35.4%(同10.4ポイント減少)、「撤退済みもしくは撤退を決定」は4.0%
(同0.7ポイント減少)。撤退や事業停止の要因(複数回答)は、「ロシアビジネス
方針の変更」が最多、次いで「レピュテーションリスク」「物流の停滞」など。
https://www.jetro.go.jp/news/releases/2023/979249b4def8a139.html

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【イベント】
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●2022年度「冲永賞」の授賞図書・論文を発表/労働問題リサーチセンター

 労働問題の図書・論文を対象とする2022年度の「第37回冲永賞」
(公財・労働問題リサーチセンター主催)の授賞図書に、山本陽大氏
(労働政策研究・研修機構副主任研究員)の『解雇の金銭解決制度
に関する研究―その基礎と構造をめぐる日・独比較法的考察』と、
石田光男氏(同志社大学名誉教授)・上田眞士氏(同志社大学教授)の
『パナソニックのグローバル経営―仕事と報酬のガバナンス』が選ばれた。
https://www.lrc.gr.jp/recognize
(『解雇の金銭解決制度に関する研究―その基礎と構造をめぐる日・独比較法的考察』(労働政策研究・研修機構))
https://www.jil.go.jp/publication/sosho/dismissal/index.html

●「働く人のストレスマネジメント」/神奈川県労働福祉協会

 (公財)神奈川県労働福祉協会は3月24日、「働く人のストレスマネジメント
―認知行動療法的アプローチで改善する!ポジティブメンタルヘルス」をオンラインで
開催する。メンタルヘルス・マネジメントの専門家より、認知行動療法的アプローチ
を使ったメンタルヘルスストレスマネジメントのコツを解説する。3月25日~4月24日は
オンデマンド配信も行う。受講料4,000円。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/stressmanagement.html