■□――【メールマガジン労働情報/No.1786】
男女の賃金差の情報公表等に関する改正省令案と改正告示案の要綱を答申/労政審 ほか
―2022年6月29日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】男女の賃金差の情報公表等に関する改正省令案と改正告示案の要綱を答申/労政審 ほか
【統計】基調判断「改善を示している」で据え置き/4月・景気動向指数の改訂状況 ほか
【労使】賃上げは単純平均で5,955円、2.11%に/国民春闘共闘の春闘中間総括
【動向】2021年の新設法人数、飲食店が過去最多/民間調査 ほか
【法令】労働関係法令一覧(2022年5月公布分)
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【JILPTからのお知らせ】
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☆JILPTリサーチアイ 第73回
「透明かつ予見可能な労働条件指令」とドイツ労働法─EU指令の国内法化をめぐる一断面
労働法・労使関係部門 主任研究員 山本 陽大(6月29日)
近時、いわゆる「シフト制労働」が、労働政策の分野においてもにわかに注目を集めている。
シフト制労働とは、労働日や労働時間が、労働契約の締結時点においては確定的に定められておらず、
使用者のその都度の労働需要に応じて(例えば、1ヶ月や1週間ごとに作成される勤務シフト上で
「シフトを入れる」ことによって)初めて確定する労働形態を指す。このようなシフト制労働が
抱える問題性は、とりわけコロナ禍においては、店舗の休業や時短営業を理由に労働者が
「シフトを入れられない」という事態が、雇用調整助成金などの支給要件としての「休業」に
当たるかという形で顕在化したが、コロナ禍以前から既に、シフトの削減の適法性をめぐって
法的紛争がいくつか生起していた。
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/073_220629.html
◇『日本労働研究雑誌』2022年7月号を刊行しました!
特集「日本的雇用慣行の中の外国人労働者─エビデンスに基づいた議論」
新型コロナ感染拡大によってブレーキがかかったものの、日本で働く外国人は
近年増加しています。外国人労働者が置かれている状況は、外国人に特有の要因
というよりは日本の労働市場に根差した問題を背景にしていることが多く、
彼らが直面する課題に向き合うことは日本的雇用慣行を見直すことにもつながります。
本号では、日本における外国人労働者をめぐる冷静な議論に資するため、各分野の
研究者・専門家による客観的なエビデンスに基づいた論考を紹介しています。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2022/07/index.html
◇『ビジネス・レーバー・トレンド』2022年7月号を公開しました!
「ハラスメントのない職場をつくる」
2019年の労働施策総合推進法の改正により、2020年6月からは、事業主が
職場におけるパワーハラスメントを防止する措置を講じることが義務化され、
今年4月からは中小企業も対象となりました。ハラスメントを職場から
なくしていくため、企業などはどのように取り組んでいったらよいのでしょうか。
本号では、JILPTが開催した労働政策フォーラムでの議論、労働組合の取り組み事例
などを通して、ハラスメントのない職場づくりに向けたヒントを探ります。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2022/07/index.html
◇英文ジャーナル『Japan Labor Issues』(電子版)2022年7月号を公開しました!
本号では、フリーランスの労働法政策を分析した論考、厚労省「2020年度雇用均等基本調査」
結果の解説を掲載しています。判例解説では、性同一性障害である職員に対するトイレ使用制限等の
適法性が争点となった国・人事院(経産省職員)事件(東京高裁2021年5月27日判決)を取り上げます。
日本の労働事情の基礎を解説するシリーズでは、日本の雇用政策の総論をまとめています。
https://www.jil.go.jp/english/jli/index.html
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【新型コロナウイルス関連情報】
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▽最近の更新情報(6月24日更新)
国内統計:賃金
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c10.html
国内統計:総実労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c11.html
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【行政】
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●男女の賃金差の情報公表等に関する改正省令案と改正告示案の要綱を答申/労政審
労働政策審議会は24日、同日の雇用環境・均等分科会の報告に基づき、301人以上の
企業に男女の賃金の差異に関する情報の公表等を定めた改正省令案及び改正告示案の
要綱を妥当と答申した。改正省令案等は、女性活躍推進法が定める一般事業主行動計画
において、全労働者、正規・非正規(パート・有期労働者)の区分ごとの賃金差の
状況把握と公表を必須とした。省令の施行、告示と関係通達の発出は7月を予定。
これらに基づく情報公表は、7月の省令施行後に始まる最初の事業年度からとなる。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26450.html
(省令案要綱)
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000956011.pdf
(告示案要綱)
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000956012.pdf
(省令、告示、通達の関係性)
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000956014.pdf
●精神障害の労災支給決定件数、請求件数とも増加/厚労省
厚生労働省は24日、2021年度「過労死等の労災補償状況」を公表した。
精神障害に関する支給決定件数は629件(前年度比21件増)、請求件数も
同295件増の2,346件となった。精神障害を出来事別に見ると、支給決定件数では
「上司等から身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」(125件)、
「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」(71件)、
「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」(66件)の順。脳・心臓疾患
については、支給決定172件(同22件減)、請求753件(同31件減)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26394.html
●感染症対応休業支援金・給付金の申請期限を延長/厚労省 新型コロナウイルス感染症関連
厚生労働省は28日、新型コロナウイルス感染症の影響で休業したにもかかわらず
休業手当を受けることができなかった労働者を対象とする休業支援金・給付金の
申請期限の延長を公表した。中小企業、大企業の労働者は、2022年1月から
3月の休業については、22年6月末から22年9月末へ申請期限を延長し、
22年7月から9月末の休業を対象として追加した(申請期限は同年12月末)。
なお、2022年4月から6月の休業の申請期限に変更はなく、22年9月末まで。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26481.html
(休業支援金・給付金)
https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html
●障害者の就職件数が2年ぶりに増加/厚労省
厚生労働省は24日、2021年度「障害者の職業紹介状況等」を公表した。
ハローワークを通じた障害者の就職件数は9万6,180件で、前年度比7.1%の増加、
増加は2年ぶり。就職件数の増加要因は、主に精神障害者の求職活動が活発化し、
新規求職申込件数が増加するとともに、障害者の就職先として比較的高い割合を
占める「医療・福祉」(求人9.4%増、就職4.3%増)、「製造業」(求人19.8%増、
就職18.5%増)、「サービス業」(求人16.9%増、就職13.2%増)を中心に
多くの産業で求人数が増加したことによるもの。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26200.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000797428.pdf
●雇用の分野における障害者差別等に関する相談実績、合理的配慮の相談が増加/厚労省
厚生労働省は24日、都道府県労働局や公共職業安定所における「雇用の分野における
障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績」を公表した。2021年度の
障害者差別および合理的配慮の提供に関する相談は244件(対前年度比0.8%減)、
うち障害者差別に関する相談は55件(同20.3%減)、合理的配慮の提供に関する相談は
189件(同6.8%増)。一方、労働局長による紛争解決の援助申立受理件数は2件と
前年度の12件から減少、障害者雇用調停会議による調停申請受理件数は10件と
前年度の5件から増加。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26346.html
●教育訓練費用を支出した企業は約5割/厚労省
厚生労働省は24日、2021年度「能力開発基本調査」の結果を公表した。
教育訓練費用(OFF-JT費用や自己啓発支援費用)を支出した企業は50.5%
(前回50.0%)。自己啓発を実施した労働者は36.0%(同32.2%)で、
雇用形態別では、「正社員」(44.6%)が「正社員以外」(20.4%)より高く、
性別では、「男性」(42.7%)が「女性」(28.1%)よりも高い。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00105.html
(調査結果の概要)
https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/000953325.pdf
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【統計】
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●基調判断「改善を示している」で据え置き/4月・景気動向指数の改訂状況
内閣府は27日、2022年4月の「景気動向指数・速報からの改訂状況」を公表した。
景気の現状を示す「一致指数」は、前月と変わらず96.8(速報値も96.8)。
基調判断は、「景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している」で据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202204rsummary.pdf
(統計表)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
●海外現地法人の売上高3.6%増/経産省調査
経済産業省は28日、2022年1~3月の「海外現地法人四半期調査」の結果
を公表した。売上高(全地域合計)は、前年同期比3.6%増で6期連続の増加。
地域別に見ると、アジアはASEAN10や中国の輸送機械などの増加により同6.9%増で
6期連続の増加。一方、北米は輸送機械などの減少により同1.1%減で3期連続の
減少、欧州も同6.1%減で2期連続の減少。日本企業の海外現地法人の従業者数は
419万人、同0.2%増で2期ぶりの増加。
https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220628002/20220628002.html
(結果の概要)
https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220628002/20220628002-c.pdf
●建設労働需給、5月は1.0%の不足/国交省
国土交通省は27日、「建設労働需給調査」(2022年5月調査)結果を公表した。
左官、配管工など8職種の全国過不足率は1.0%の不足、前月と比べ0.3ポイント
不足幅が縮小した。職種別では、型わく工(土木)で均衡、その他の職種で不足
となっており、型わく工(建築)での不足率2.7%が最も大きい。東北地域は1.0%の
不足、前月と比べ0.8ポイント不足幅が拡大した。8職種の今後の労働者の確保
に関する見通し(7月及び8月)は、全国及び東北地域とも「普通」としている。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00093.html
(報道発表資料)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001487085.pdf
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【労使】
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●賃上げは単純平均で5,955円、2.11%に/国民春闘共闘の春闘中間総括
全労連などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:小畑雅子・全労連議長)は
6月23日、都内でオンラインを併用して第2回単産・地方代表者会議を開き、
2022年春闘の中間総括を確認した。5月26日時点の賃上げ集計では、回答引き出し
組合の単純平均が5,955円、2.11%。中間総括は、「生活をまもるための要求、
物価の高騰からすると大変不満」としながらも、「ここ20年で額・率ともに
最高の引き上げとなる前進回答を引き出した」ことを評価。小畑代表幹事は、
「大幅賃上げ・底上げの流れをつくるとりくみを、職場・地域から一層強めていく
ことが求められている」と訴えた。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20220629.html
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【動向】
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●2021年の新設法人数、飲食店が過去最多/民間調査
東京商工リサーチは27日、2021年の飲食店の新設法人数(個人企業除く)が
7,810社だったと発表した。2012年以降、最多を記録。新型コロナの感染が
広がった20年は6,825社で、コロナ前の19年から10.5%減と大幅に減少。
2021年はその反動もあるとみられるが、アフターコロナを見据えた法人設立
が重なり、これまで最多だった2019年の7,634件を上回った。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220627_01.html
●非正規雇用の外国人採用は47%、前年比10ポイント増/民間調査
マイナビは24日、「非正規雇用の外国人・シニア層に関する企業調査」結果を
発表した。非正規雇用の外国人採用は全体で47.4%(前年比10.8ポイント増)。
業種別では、「コンビニ・スーパー」(68.5%)が最多、次いで「ホテル・旅館」
(62.5%)、「飲食・フード」(59.6%)など。非正規雇用のシニアを採用している
企業は67.4%(同2.4ポイント増)、業種別では、「警備」(88.2%)が2019年から
4年連続で最多、次いで「清掃」(83.7%)など。
https://www.mynavi.jp/news/2022/06/post_34342.html
●仕事のストレス、「テレワークメイン」より「出勤メイン」の方が13ポイント上回る/民間調査
エン・ジャパンは23日、「ストレスと解消法」調査結果を発表した。
現在の仕事でストレスを感じるか尋ねたところ、7割が「ストレスを感じる」
と回答。勤務スタイル別では、「出勤のみ/出勤多め」は71%がストレスを感じ、
「テレワークのみ/テレワーク多め」の58%より13ポイント高い。ストレスを
感じる点は、「給料が仕事内容・仕事量に見合わない」(36%)が最多、
次いで「上司との関係」(25%)、「仕事量が多い」(23%)など。
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2022/29888.html
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【法令】
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●労働関係法令一覧(2022年5月公布分)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hourei/202205.html