メールマガジン労働情報 No.1776

■□――【メールマガジン労働情報/No.1776】

男女間賃金格差情報の開示の義務化などについて議論/新しい資本主義実現会議 ほか

―2022年5月25日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】男女間賃金格差情報の開示の義務化などについて議論/新しい資本主義実現会議 ほか
【統計】2021年の所定内賃金は36万4,500円/中労委調査 ほか
【労使】大手企業の賃上げ7,430円、2.27%アップ/経団連
【動向】4月の正社員初年度平均年収は約454万円/民間調査 ほか
【海外】社会的保護を強化し、児童労働廃絶を/ILO・UNICEF共同報告書
【イベント】「管理監督者・職場リーダーのためのメンタルヘルス ラインケアセミナー」/中央労働災害防止協会 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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◇『日本労働研究雑誌』2022年6月号を刊行しました!
 特集「産業の変化と人事管理・労使関係」

 本号では、産業と労働のあり方を人事制度と労使関係に焦点をあて、産業構成の
変遷を整理するとともに、事例調査による産業別労働組合の機能と変化の考察、
企業横断的労働協約に関する法的側面からの検討など、様々な視点から論じています。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2022/06/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』2022年6月号を公開しました!
 「賃上げは実現できたのか――2022春闘の最新状況」

 付加価値の適切な分配による所得の向上と経済発展に向け、労働界だけでなく、
各界からも賃金引き上げへの期待感が高まった2022春闘。大手企業の回答が出揃い、
労使交渉もすでに後半戦にさしかかっていますが、賃上げは実現できているのでしょうか。
本号では、これまでに労働組合側に示された主要企業の賃上げ回答や、連合などの
最新の賃上げ集計データを確認しながら、賃上げの最新動向を眺めます。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2022/06/index.html

☆新刊『新・EUの労働法政策』発売中!
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/eu-labour-law.html

☆『JILPT 諸外国の制度比較 2021年度』を公開!
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2022/special/document/booklet.pdf

☆『労働関係法規集 2022年版』発売中!
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

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【新型コロナウイルス関連情報】
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▽最近の更新情報(5月24日更新)
 国内統計:賃金
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c10.html

 国内統計:総実労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c11.html

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【行政】
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●男女間賃金格差情報の開示の義務化などについて議論/新しい資本主義実現会議

 政府は20日、第7回「新しい資本主義実現会議」を開催し、人への投資
(賃金、人材育成、兼業・副業、男女間格差等)等に関する論点案等について
議論した。総理は、議論を踏まえ「労働者300人を超える事業主に対し、
男性の賃金に対する女性の賃金の割合を開示することを義務化」するとし、
女性活躍推進法の改正省令を夏までに施行すると述べた。また、「人への投資は、
新しい資本主義の最重要な核となる」として、「物価が上昇する中で、引き続き、
官民連携して賃金引上げの社会的雰囲気を醸成していく」、「中小企業の賃金
引上げを図るに当たって、転嫁を円滑化する施策を推進する」などと述べた。
「新しい資本主義」のグランドデザイン・実行計画については、「6月上旬の
取りまとめ」を求めている。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai7/gijisidai.html
(首相官邸)
http://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202205/20shihon.html
(基礎資料)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai7/shiryou1.pdf
(論点案)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai7/shiryou2.pdf

●男女間賃金格差、女性管理職率などの情報公開を提起/金融庁審議会

 金融庁の金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」は23日、
有価証券報告書の開示項目として、男女間賃金格差、女性管理職比率、
男性の育児休業取得率を多様性の情報として追加すること、人的資本の情報として、
人材育成方針、社内環境整備方針を追加することなどを提起する報告書(案)を
了承した。人的投資を持続的な価値創造の基盤と捉え、企業・投資家間での
認識の共通化を目指すとする「新しい資本主義」の議論等を踏まえたもの。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/disclose_wg/siryou/20220523.html
(報告(案))
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/disclose_wg/siryou/20220523/01.pdf
(報告の概要(案))
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/disclose_wg/siryou/20220523/02.pdf

●経済の基調判断「持ち直しの動きがみられる」で据え置き/5月・月例経済報告

 政府は25日、5月の「月例経済報告」を公表した。基調判断は、
「持ち直しの動きがみられる」で据え置き。個別判断では、雇用情勢は
「引き続き弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きもみられる」
から「持ち直しの動きがみられる」へ上方修正した。住宅建設は「このところ
弱含んでいる」から「おおむね横ばいとなっている」に、消費者物価は
「このところ緩やかに上昇している」から「このところ上昇している」
に変更した。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2022/0525getsurei/main.pdf
(関係閣僚会議資料)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2022/05kaigi.pdf

●大学生の就職率は95.8%、前年同期比0.2ポイント低下/厚労省等調査

 厚生労働省と文部科学省は20日、2021年度大学等卒業者の4月1日現在の就職状況
を公表した。就職率は、大学(学部)95.8%(前年同期差0.2ポイント低下)、
短期大学97.8%(同1.5ポイント上昇)となった。卒業後の未就職者については、
新卒応援ハローワークと大学等が連携した就職支援や、事業主に対して卒業後
3年間は「新卒枠」で応募できるよう若者雇用促進法に基づく指針の周知徹底を
図るとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/0000184815_00035.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/000939599.pdf

●高校新卒者の内定率は99.2%、前年同期比0.1ポイント上昇/厚労省調査

 厚生労働省は20日、今年3月に高校と中学校を卒業した生徒について、
3月末現在のハローワーク求人における求人・求職・就職内定状況を公表した。
高校新卒者の内定率は99.2%(前年同期比0.1ポイント上昇)、就職内定者数は
約13万4,000人(同7.9%減)。求人倍率は2.89倍(同0.25ポイント上昇)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00034.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000939471.pdf

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【統計】
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●2021年の所定内賃金は36万4,500円/中労委調査

 中央労働委員会は10日、「2021年賃金事情等総合調査(確報)」を公表した。
所定内賃金は36万4,500円(男女計・産業計平均、2020年調査比3,600円減)、
所定外賃金6万1,800円(同1万円増)。役付手当があるのは調査対象の54.2%、
手当額(産業計)は、「部長級」7万6,800円、「課長級」4万7,200円、
「課長代理・補佐級」3万9,800円など。住宅手当は54.4%で採用し、平均額は
「借家、借間」2万5,700円、「持家」1万9,300円(定額制、産業計)など。
調査は、原則1,000人超企業を対象とし、227社について集計したもの。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/21/index.html
(調査結果の概要)
https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/21/dl/03.pdf

●3月の現金給与総額、前年同月比2.0%増/毎勤統計確報値

 厚生労働省は24日、3月の「毎月勤労統計調査」結果(確報、事業所規模5人以上)
を公表した。現金給与総額は、就業形態計で前年同月比2.0%増の28万8,709円、
うち一般労働者が同2.2%増の37万5,255円、パートタイム労働者が同1.5%増の
9万8,996円。総実労働時間は同1.1%減の136.7時間。うち、所定内労働時間は
同1.5%減の126.3時間、所定外労働時間は同3.8%増の10.4時間。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2203r/dl/pdf2203r.pdf
(統計表等)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2203r/2203r.html

●2022年5月の総人口、前年同月比73万人減/総務省人口推計

 総務省は20日、人口推計の2022年5月概算値及び2021年12月確定値を公表した。
22年5月1日現在の総人口(概算値)は1億2,505万人で、前年同月比73万人(0.58%)
の減少。21年12月1日現在の総人口(確定値)は1億2,538万人で、同70万9千人
(0.56%)の減少。年齢階層別(確定値)では、65歳以上人口は3,622万7千人で、
同17万3千人(0.48%)の増加、15~64歳人口は7,441万1千人で、同62万4千人
(0.83%)の減少、15歳未満人口は1,474万2千人で、同25万8千人(1.72%)の減少。
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202205.pdf
(統計表等)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

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【労使】
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●大手企業の賃上げ7,430円、2.27%アップ/経団連

 経団連は20日、「2022年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況」
(第1回集計)を発表した。調査対象である従業員500人以上の主要21業種
大手252社のうち、回答が示されたのは19業種158社。うち平均金額が不明等の
77社を除く81社の賃上げ妥結水準は、加重平均で7,430円(前年同期5,544円)、
2.27%(同1.70%)のアップ。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/051.pdf

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【動向】
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●4月の正社員初年度平均年収は約454万円/民間調査

 マイナビは23日、「2022年4月度 正社員の平均初年度年収推移レポート」
を発表した。4月の正社員の初年度年収は454万7,000円で、18年以降増加
し続けているが、22年に入り特に経験者求人の年収が増加している。職種別では、
「ITエンジニア」(555万円)が最も高く、次いで「コンサルタント・金融・
不動産専門職」(549万6,000円)、「企画・経営」(519万4,000円)など。
https://www.mynavi.jp/news/2022/05/post_34073.html

●ロシア進出の上場企業、4割が事業停止/民間調査

 帝国データバンクは19日、日本企業の「ロシア進出」状況調査結果を発表した。
2022年2月時点でロシアへの進出が判明した国内上場企業168社のうち、5月17日
までにロシア事業の停止や制限・撤退を発表・公開した企業は71社で4割にあたる。
5月時点でロシア事業の停止を表明した企業は前月から11社の増加にとどまり、
4月時点の増加数(23社)の半数に減少した。ロシア事業をめぐっては
各社で温度差が見られるとしている。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p220507.html
(詳細)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220507.pdf

●困った辞め方、「退職日が急すぎる」が最多/民間調査

 エン・ジャパンは20日、「退職を伝えるタイミング」実態調査結果を発表した。
上司・同僚・部下が退職する際に、「この進め方はよくない」「困った」
と感じた人は34%。どのようなところで感じたか尋ねたところ(複数回答)、
「退職日が急すぎる」(50%)、「引き継ぎの進め方がよくない」(40%)、
「退職の伝え方がよくない」(28%)など。
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2022/29433.html

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【海外】
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●社会的保護を強化し、児童労働廃絶を/ILO・UNICEF共同報告書

 ILOと国連児童基金(UNICEF)は18日、児童労働と社会的保護についての
新しい報告書を発表した。報告書では、およそ15億人の子どもたちが世帯給付や
児童手当などを受給できておらず、このような社会的保護の網からこぼれ落ちて
いる層を減らすべきとし、社会的保護によって家計や健康面の問題から生じる
負担を軽くすることが、児童労働を減らし学校教育を促進する、などとしている。
https://www.ilo.org/tokyo/information/pr/WCMS_845567/lang--ja/index.htm
(参考:第110回ILO総会の開催、5月27日~6月11日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25787.html

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【イベント】
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●「管理監督者・職場リーダーのためのメンタルヘルス ラインケアセミナー」/中央労働災害防止協会

 中央労働災害防止協会は6月6日、「管理監督者・職場リーダーのための
メンタルヘルス ラインケアセミナー」を港区で開催する。話を聴く技法である
「積極的傾聴法」の基本の習得に加え、「部下の不調への気づきと対応」についての
事例検討を含めて、実際的なラインケアに必要な能力を実習を通して学ぶ。
参加費23,100円。定員30名。
https://www.jisha.or.jp/seminar/health/h3670_mh_linecare.html

●労働セミナー「副業・兼業制度導入と人材活用のコツ」/東京都労働相談情報センター

 東京都労働相談情報センターは6月24日と29日の両日、労働セミナー
「副業・兼業制度導入と人材活用のコツ」を品川区で開催する。
6月24日は副業・兼業制度の概要や企業が制度を整備する上での
ポイントを法的観点から解説し、6月29日は企業が抱える様々な
経営課題の解決に向け、副業プロフェッショナル人材をどのように
活用していくのか、事例を踏まえて解説する。受講無料。定員75名。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-zchuo-001222