ビジネス・レーバー・トレンド2023年12月号
毎月25日更新
生涯キャリアの充実と社会貢献活動
長寿社会の到来に伴い、会社をリタイヤした後も、長く勤労生活を続ける人がますます増えてくることが予想される。定年後の働き方として、再雇用制度の利用や別の会社への就職を選ぶ人が多いが、勤労者意識の多様化などにより、社会貢献活動の世界に飛び込むことも選択肢の1つとなっており、すでに、活動を希望する社員を支援する企業も出てきている。本号では、今夏の労働政策フォーラムの内容を中心に取り上げ、労働者の生涯キャリアを豊かにするために、企業等で働いてきた人がどうすれば安心して社会貢献活動に参加できるのか、また、定着・継続させるにはどうしたらよいのか、環境整備のあり方とその実践方法を考える。
目次
労働政策フォーラム
企業で働く人の社会貢献活動と生涯キャリア
2023年9月に開いた労働政策フォーラムでは、社会貢献活動などにも軸足を置いた働き方が多様なキャリアの選択肢として注目されるなか、学識者の報告とJILPTの研究成果に加え、社会貢献活動に参加する社員を支援する企業とNPOの活動実践事例をふまえ、社会貢献活動を活用した豊かな生涯キャリアづくりに向けた環境整備のあり方などについて議論した。(各報告およびパネルディスカッションの概要は調査部で再構成したものを掲載している。)
(※講師の所属・肩書きは開催当時のもの)
【基調講演】
ソーシャルキャピタルからみる日本の違和感――企業に求められる姿勢
【研究報告】
【事例紹介(1)】
企業の取組「社員が企業に在籍したままNPOで働く社会貢献の形」
【事例紹介(2)】
【事例紹介(3)】
個人の取組「60歳再雇用でNPO出向、全くの新領域での経験とその後の発展」
【パネルディスカッション】
実態調査
- 2021年にボランティア活動をした人は約17%。60歳以上では2割超に ――内閣府「市民の社会貢献に関する実態調査報告書」からみるボランティア活動の現状
- 67歳~76歳の高齢者が行う社会参加活動はスポーツ、趣味が中心で、高齢者・子育て支援を行う人は1割以下 ――厚生労働省「中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)」の第18回調査結果から
フォーカス
デフレの完全脱却と持続的な賃上げをめざし、政府は11月2日、総合経済対策を策定した。労働関連分野を中心に、対策に盛り込まれた政策メニューを紹介する。
スペシャルトピック
注目度の高い国内のトピックスを、より詳しく紹介します。
- メディア業界などの調査分析を報告。精神障害事案が増加傾向に ――2023年版「過労死等防止対策白書」
- 持続的な賃上げに向け、価格転嫁や新規開業の環境整備、同一労働同一賃金を ――「2023年版労働経済白書」
- これからの労働基準法制のあり方を検討。働き方の多様化やフリーランスへの対応についても言及 ――厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会報告書」
国内トピックス
行政、企業、労働組合などの最新動向を、政策課題担当の調査員がわかりやすく紹介します。
- 1992年の制定以降で初めて改定。配慮した夜勤体制やICT化による業務効率化の推進を打ち出す ――厚生労働省が「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」を改定
- 3年以内離職率は高校卒が37%で、大学卒が32% ――厚生労働省が新規学卒者の離職状況(2020年3月卒業者)を公表
- 2022年の年間給与の対前年増加率は、2015年以降で最高 ――国税庁の2022年分「民間給与実態統計調査」結果報告
海外労働事情
海外情報を担当する調査員が、欧米・アジアを中心に、労働市場・賃金動向・職業紹介・職業訓練・労使関係など様々な視点から最新事情を紹介します。
- アメリカ①
- UAWと自動車大手3社が暫定合意 ―4年半で25%の賃上げなど
- アメリカ②
- ハリウッドの脚本家と俳優のストライキが終結 ―AIの利用制限などに合意
- イギリス
- 労働力不足職種リストの縮小、廃止など提案 ―諮問機関
- イギリス
- より予見可能な勤務形態を求める権利の保障へ
- ドイツ①
- 鉄鋼産業、8.5%の賃上げと週32時間(週4日)勤務を要求 ―IGメタル
- ドイツ②
- 第三国の専門技能人材の獲得へ ―11月から3段階に分けて制度改正
- 韓国
- 雇用労働部、労働時間に関する大規模調査を実施 ―一部分野には週52時間の超過を認める方針か
- OECD
- OECD諸国への移民、05年以来の高水準 ―OECD国際移民アウトルック2023
ちょっと気になるデータ
最近公表された公的統計のなかから、ちょっと気になるデータを統計解析担当の調査員がピックアップし、わかりやすく紹介します。(統計解析担当)
2023年11月27日掲載