NPO法人で働く人々のバーンアウトに関する研究
要約
本研究の目的は,NPO法人で働く人々のバーンアウトについて探ることにある。近年,地域が抱える諸課題への対応や災害支援において非営利組織が果たす役割が注目される一方で,そのような組織で働く人々のメンタルヘルスの問題が深刻化している。そこで本研究では,NPO法人で働く人々の労働時間および動機と経験の一致がバーンアウトに及ぼす影響に対して,活動参加の形態および東日本大震災における支援経験の有無がどのように関係するかを検討した。分析の結果,以下の3点が明らかになった。第1に,正規・非正規職員は,長時間労働という高い要求に晒されながらも,活動参加の動機が満たされやすい「高要求・高資源」の環境に置かれる傾向にある。これに対しボランティアは,労働時間の拘束は比較的少ないものの,動機が充足されにくい「低要求・低資源」の環境に置かれやすく,消耗感は少ない一方で達成感を得にくいというリスクがある。第2に,NPO法人における長時間労働は情緒的消耗感を促進するが,「目的の達成」や「自己実現」に寄与し,結果的に個人的達成感の低下を抑制する働きを持つ。第3に,動機と経験の一致はバーンアウトを抑制するが,災害支援経験がある正規・非正規職員においてはバーンアウトを促進する働きを持つ。本研究の知見は,NPO法人のマネジメントにおいて,参加形態や活動環境に応じた支援策の設計が不可欠であることを示している。
2026年特別号(No.787) 自由論題セッション●第4分科会
2026年1月26日 掲載


